Googleの検索結果画面(SERPs)はより良い検索体験をユーザーに届けるために、日々ユーザビリティの改善が行なわれています。「強調スニペット」もそのひとつ。
2020年6月4日より、強調スニペットの機能は拡張され、強調スニペットをクリックするとページ内の該当箇所まで自動スクロールされるようになりました。このように、SEO施策を有利にさせる強調スニペットについて詳しく解説します。
目次
そもそも強調スニペットとは何か?

まずはじめに、そもそも強調スニペットとは何かについて解説します。強調スニペットとは、検索ユーザーの質問クエリ(例:○○とは)に対する回答を検索結果画面の最上部に強調して表示する仕組みのことをいいます。英訳では「Featured Snippets」と呼ばれます。
強調スニペットでは、該当のページ内の回答にあたる部分が選定され表示されます(上記画像の赤枠の箇所)。ただし、強調スニペットは全ての自然検索活動で表示されるわけではありません。以下の「Google検索 ヘルプ」に記載されているように、”検索クエリが質問の意図を内包している”と判断された場合、自動のシステムで強調スニペットのページが選ばれます。
強調スニペットは、ユーザーの探している情報が見つけやすくなると判断された場合に表示され、実際にリンクをクリックしたときの内容やページに関する説明を見ることができます。 ・・・・ 強調スニペットは、ウェブ検索結果から作られます。Google では、あるページが特定の検索リクエストに対してハイライト表示すべきスニペットとして適しているかどうかを、自動システムで判断します。 ※ 参照元:Google検索 ヘルプ「Google の強調スニペットの仕組み」 |
基本は「テキスト+画像」の組み合わせ
強調スニペットの基本的なかたちは、「テキスト+画像」の組み合わせです。検索クエリに対する回答にあたる部分が該当ページ内の段落タグ(pタグ)から抽出されて表示されます。また、ページ内の画像も合わせて表示されます。※
基本的な強調スニペットには「1. ページタイトル」「2. 回答にあたるテキスト」「3. ページ内画像」「ページのURL」を1セットとしてカードのようなかたちで表示されます。
※ 画像は表示されず、テキストのみの強調スニペットも存在します
強調スニペットは検索0位!?
基本的に強調スニペットは検索画面の最上部に表示されます。検索1位のページよりも上に表示されますので、実質的には検索0位ともいわれます。しかし、SEO施策の競合分析で人気の『ahrefs』の調査データによると、強調スニペットのページは検索1位のページよりもクリック率(CTR)は低いという報告がされています。
【原文】 When there’s a featured snippet at the #1 position, it only gets ~8.6% of clicks (on average), while the page that ranks right below it will get ~19.6% of clicks (on average). How does it compare to a regular #1 ranking page with no featured snippet above it? That page will get ~26% of all clicks. In other words, it looks like the featured snippet is stealing clicks from the #1 ranking result. Featured snippet is stealing clicks from the #1 ranking result / from @ahrefs study |
【翻訳】 1位に強調スニペットがある場合、クリック数は(平均で)8.6%にとどまりますが、そのすぐ下にランキングされているページでは(平均で)19.6%のクリック数になります。 通常のランキング1位のページで、その上に強調スニペットがない場合と比べてどうでしょうか? そのページは、全体の26%のクリックを得ることになります。 つまり、強調スニペットがランキング1位の結果からクリック数を奪っているように見えます。/@ahrefsの調査より ※ 参照元:afrefs blog「Ahrefs’ Study Of 2 Million Featured Snippets: 10 Important Takeaways」 |
このように、強調スニペットのページは検索1位のページよりもクリック率は低い傾向にあるそうです。しかし、強調スニペットが表示されていない場合と比べると検索1位のクリック率は下がることから、強調スニペットに表示されると本来、検索1位に流れていたユーザーを奪えると考えられます。
強調スニペットの種類
強調スニペットというと、先ほど画像で添付した「テキスト型」をイメージしがちですがそれだけではありません。強調スニペットには、「リスト型」「表型」などの種類があります。
「リスト型」の強調スニペット

リスト型の強調スニペットは、検索クエリの質問の意図にリスト(箇条書き)で回答したほうがわかりやすいとGoogleのシステムが判断した場合に表示されます。リスト型の場合は、ページタイトルに加えて、ページ内でリストタグ(olタグ・ulタグ・liタグ)で記述されている箇所の中から、検索クエリの回答として適切な箇所が抜き出されます。
リストで抜き出されるのは最大で8つまでであり、9つ目以降は「その他アイテム…..」という風に表示されます。「●●のおすすめ10選」や「●●のランキング」などに関する検索クエリや、「●●の手続きの流れ」「●●の作業の進め方」などの手続きを示す検索クエリの場合、よく表示されます。
「表型」の強調スニペット

表型の強調スニペットは、検索クエリの質問の意図に表組みで回答したほうがわかりやすいとGoogleのシステムが判断した場合に適用されます。一般的なのは、価格表や比較表などです。
htmlで表組みを作成する際に記述されるtableタグをもとに、Googleが自動で強調スニペットに表を反映させます。ただしこちらもリスト型と同じく、表の列や行が多い場合は「他●●行/列」といったかたちで一部のみ表示されます。
動画は強調スニペット?

Googleでミュージックビデオや映像に関するキーワードを調べると、上記画像のように検索最上部にYoutube動画が大きく表示されますが、これは強調スニペットなのでしょうか。強調スニペットと同じだと捉えられがちですが、実は動画の表示は強調スニペットではありません。
強調スニペットの場合は、表示下部に薄い字で「強調スニペットについて」の表記があるのに対し、動画の場合は表示されません。またYouTube自体、Googleのサービスであり「第三者サイト」とは言えないと思いますので、強調スニペットには含まれないのです。
強調スニペットに表示されるにはどうすればいいのか?
では、強調スニペットを狙って表示させるには、どうすればよいのでしょうか?
まず結論から説明すると、強調スニペットに確実に表示されるような方法は存在しません。これはGoogleより正式に発表されている内容です。そのため、ここからは”いかにして強調スニペットに表示される確率を上げるか”の解説を行ないたいと思います。
まずは検索上位に表示させる
強調スニペットに表示させるには、質問系の検索クエリで自サイトのページを検索上位に表示させる必要があります。これはいわゆる、純粋なSEO対策を行なって検索10位以内、できれば5位以内までに入るようPDCAをまわすということです。
検索上位に入るには、該当サイト全体の内部施策もさることながら、一番重要なのは検索キーワードの検索ニーズを満たすページ(コンテンツ)づくりです。競合上位のサイトにどのような情報が含まれているか、検索キーワードのサジェストワードや共起語からイメージを膨らませ、ユーザーの検索インサイトを読み解きましょう。
そのうえでユーザーが求める情報の順番(構成)や情報の量、専門性を盛り込んだ独自なコンテンツを作成し掲載することで、検索上位表示の確率は高まります。
質問クエリに対する回答を明確に記述する
強調スニペットでは質問系クエリに対する回答が表示されます。よって、検索クエリの中に含まれる質問の意図を正しく汲み取り、回答にあたる部分を明確に記述するよう心がけましょう。このとき注意が必要なのが、回答部分は文法的に適切で冗長になりすぎないよう意識するということです。
確かに、回答となる文章が具体的で専門性が高いことはコンテンツの魅力を高めます。しかし、強調スニペットに表示されるテキストの特徴を見てみると、簡潔でスマートに、文法的に無駄のないかたちで記述されているケースが多く見受けられます。強調スニペットの表示を狙うには、簡潔で明確な回答を記述しましょう。
Googleのポリシーを準拠する

強調スニペットの表示を狙ってコンテンツを作成する場合は、Googleのポリシーを準拠するようにしてください。「Google 検索ヘルプ」には、強調スニペットに関するポリシーが以下のように記載されています。
強調スニペットがすべてのユーザーにとって便利な機能となるよう、GoogleではGoogle検索の全般的なポリシーやこのような検索機能に関するポリシーに違反しているスニペットを表示しないようにするシステムを構築しています。 ・危険なコンテンツ ・不正行為 ・ハラスメント コンテンツ ・ヘイト コンテンツ ・操作されたメディア ・医療のコンテンツ ・露骨な性的描写を含むコンテンツ ・テロに関するコンテンツ ・暴力や残虐行為 ・下品な言葉や冒とく的表現 ※ 参考元:Google 検索ヘルプ「Google の強調スニペットの仕組み」 |
HTMLタグを適切に記述する
強調スニペットはテキスト型であれば「pタグ」、リスト型であれば「ulタグ・olタグ・liタグ」、表型であれば「tableタグ」などのようにHTMLタグから要素が参照され表示されます。そのため、サイトおよび該当のページは、W3Cで定義されている基準に則り記述するようにしましょう。
サイトのHTMLは、W3Cの基準に基づき適切に記述すると、Googleのクローラーのクローラビリティが高まります。クローラビリティが高まるとインデックスされやすくなり、正しくページが評価されます。また、質問系クエリに対する回答部分のHTMLが正しく検索エンジンに理解されることで、強調スニペットに表示されやすくなります。
地道に、丁寧なコンテンツづくりを
強調スニペットに確実に表示される方法があるのではないか、と期待してこのページを開いた方には申し訳ないですが、そのような方法はありません。そのため、強調スニペットに表示されないからといって一喜一憂するのは賢明ではないでしょう。
強調スニペット表示を狙うのであれば、記事でご紹介したような一歩踏み込んだコンテンツの設計が必要ですが、まず最初の関門となるのが指定の検索キーワードで上位表示されることです。上位表示を獲得するには、検索ニーズを満たす、専門的で独自なコンテンツづくりが欠かせません。本質を見失わず、ユーザーのインサイトにじっくり向き合う姿勢が大切です。
2005年よりSEOに従事、年間3000本以上のSEOコンテンツを制作しているシンプリックコンテンツマーケティング事業部の監修記事です。