リードマーケティングとは「新規の見込み顧客を獲得し、育成していく」手段であり、自社のマーケティング活動を整理する上で有効な考え方の一つです。
新規顧客の獲得ができなかったり、獲得した顧客情報を活かしきれなかったりと、どの企業もマーケティング活動で課題を抱えているものです。
本記事では、リードマーケティングの全体像を解説し、自社の施策に当てはめることができるように、具体的な手法を紹介していきます。
リードマーケティングとは?
マーケティング業界でLead(リード)とは、「見込み顧客」を意味します。Webサイトや展示会への訪問者など、見込み顧客の種類は分類できるものです。
効率的なマーケティングを進めるために、リードを細分化して考えていきます。
リード(見込み顧客)は分類できる

リードマーケティングでは、見込み顧客を分類し、できたグループによって異なるアプローチをとり、フォローアップしていきます。
また、HPからの問い合わせなどによって獲得したリードは、契約に至るまで段階を踏んでいきます。この段階ごとに顧客を分類してアプローチすることも重要です。
分類方法は様々存在し、企業によって考え方は異なります。ここではデマンドウォーターフォール(Demand Waterfal)モデルを一例として紹介します。
1.Inquiry :問い合わせ段階
Inquiryとは、問い合わせを意味します。
まず、顧客情報を得なければアプローチすることはできません。ホームページ上での資料請求や、展示会での名刺交換などを通じて、住所や電話番号の個人情報を教えてくれた顧客を「Inquiry」として分類します。
2. Marketing Qualification Lead:比較検討段階
問い合わせをした見込み顧客は、サービスを購入する会社を1社に絞り込んでいるわけではなく、他社の商品と比較検討段階に入っている状態です。
効果的なマーケティング施策を打ち、自社商品に興味を持ってもらう必要がある顧客を「Marketing Qualification Lead(MQL)」として分類します。
3. Sales Qualification Lead:商談段階
比較・検討する段階が終わり、商品やサービスを購入するときに、見込み顧客はサービスの詳細を詳しく聞きたいと考えます。
営業担当者は顧客と実際に会うなどして商品やサービスの魅力を伝え、購買意欲が高まるようにします。営業活動をする必要がある顧客を「Sales Qualification Lead」と定義します。
4. Close:契約
商談の結果、契約に結びついた顧客を「Close」と呼びます。
リードマーケティングを実践する上で理解しておきたい2つのプロセス
リードマーケティングを実践する上では、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」という2つのプロセスについて理解を深めておくことが重要です。
リードジェネレーションとは?
リードジェネレーションは、新規顧客を獲得するための活動をいいます。具体的な活動として、展示会に出展して名刺交換をする、ネットに広告を出稿して認知度を上げるなどの手法が挙げられます。
リードジェネレーションの手法として代表的なものを「オンライン」と「オフライン」に分けて紹介します。自社で取り組めるものがないか、これから取り組みたいと考えているものがないか確認し、具体的な方策を考えましょう。
リードジェネレーションの手法:オンライン

・コンテンツマーケティング
読者にとって価値あるコンテンツを発信して、見込み顧客を獲得・育成するマーケティング手法です。
商品に対するニーズが顕在化した顧客をターゲットにするのではなく、ニーズが顕在化していない、つまり商品購入への動機が強くない潜在顧客に対して、企業名や商品やサービスを認知してもらい、購買客に育てていきます。
コンテンツは制作すれば後に残る財産になり、掛け捨ての広告にはない蓄積効果が得られます。
・ネット広告
ネット広告には、バナー広告・リスティング広告・インフィード広告などの種類があります。広告は出稿すれば、多くの潜在顧客に商品やサービスの魅力を伝えることができるため即効性のある手法です。また、ネット広告には、効果測定がしやすいというメリットもあります。
・ソーシャルメディア運用
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSアカウントを通して、商品やサービスを認知してもらう手法です。SNSは、若い世代を中心に個人が気軽に利用しています。SNS経由で商品やサービスに興味を持ってくれそうな潜在顧客に接触し、”いいね”や”コメント”などのアクションを引き出していきます。
SNSは自社商品について投稿しているユーザーに対して、直接コンタクトを取りやすいのがメリットといえるでしょう。
・オンラインセミナーの開講
インターネット上で実施する講演会や教育研修などのことをいいます。ネットがつながる場所であれば、どこからでも参加できるのが利点です。幅広い参加者に配信できれば、通常のセミナーよりも多くの新規顧客獲得につなげられます。
・一括資料請求サイト等の他媒体の利用
コンテンツ制作、広告運用を社内で進めるのが難しい場合は、企業が運営している一括資料請求サイトなどの媒体を利用するのも一つの方法です。
媒体出稿は、人通りの多い道に看板広告を出すのと同じことです。集客はサイト運営会社に任せ、問い合わせがあれば見込み顧客の情報を入手し、自社でアプローチしましょう。ただし媒体の形態によっては、自社サービスに対する興味が薄いケースもあります。広告の効果測定は欠かせません。
リードジェネレーションの手法:オフライン

・展示会への出展
展示会にはテーマが設定されていて、そのテーマに興味を持った見込み客が来場することから、企業側が集客方法に悩むことはありません。もちろん出展料はかかりますが、商品やサービスに興味を持ってくれた人と名刺交換でき、直接話もできます。見込み客と関係性を構築がしやすく、商談に持ち込みやすい手法です。
・セミナーの開催
セミナーを開催する目的は、商品やサービスの見込み顧客を作ることです。見込み顧客に有用な情報やノウハウをセミナーの中で提供し、自社商品・サービスへの興味を深めてもらいます。また、提供する情報に信頼性や説得力を感じてもらうことで、自社への信頼度を高めて成約に導きます。
・テレアポ(電話営業)
見込み顧客に対し直接電話をかけ、自社の商品やサービスを案内して契約に結びつけていきます。人件費と電話代以外のコストはかかりませんが、ニーズがあるか分からない顧客にアプローチするため成約率が低く、件数をこなすことが求められます。
・飛び込み営業
営業担当者が各企業に直接訪問し商談をします。契約件数は「訪問数×成約率」で考えますが、成約率は営業パーソンの能力に左右されます。話を聞いてもらえればその場でニーズを聞き出すこともできますが、効率の良さという点ではほかの手法が勝ります。
リードナーチャリングとは?
リードジェネレーションで興味を引き付けた顧客には、リードナーチャリングの手法を用いましょう。リードナーチャリングとは、マーケティング活動や営業活動で獲得した見込み顧客に対し、メールや電話などで有益な情報を提供し、見込み顧客の購買意欲を高めていく手法をいいます。
顧客を育成するリードナーチャリングの手法

・メールマガジン
商品やサービスに対する購買意欲が低い見込み顧客に対し、定期的に情報をメールで届け、購買意欲を高めさせる手法です。
見込み顧客に、定期的に新商品情報を届け、どのようにサービスを提供するのかをメールで伝え、自社への認知を深めてもらうとともに、自社の存在を認識させます。
既存顧客に対し、メルマガ限定のクーポンなどを配信して、購買を促す手法も有効です。
・ブログ運用
商品やサービスが気になっていて、さらに情報が欲しいと思っている見込み顧客に対し、ブログで情報を提供します。
・セミナー
セミナーは、顧客育成の手法としても活用できます。ここでは、商品に興味を持っているものの、購買に至っていない見込み顧客に、必要な情報を届けることが目的です。
商品やサービスの詳しい情報や使い方や活用事例を紹介して理解を深めてもらい、質疑応答の時間を用意して、購買意欲をかき立てていきます。
・ホワイトペーパー
ホームページなどWebで紹介していない、より具体的な活用方法や成功事例を顧客情報と引き換えに提供する手法です。段階をつけて情報共有することで、見込み顧客を育成するとともに、商品・サービスへの理解を深めてもらいます。
商品やサービスを説明せずとも、見込み顧客が自ら理解を深めてくれることが期待でき、すぐに商談・成約につながることもあります。
リードナーチャリングの注意点
リードナーチャリングは見込み顧客を育成する手法ですが、専属の担当者をつけることが成功のカギと言えます。担当者がいなければ、それぞれの見込み顧客がどのような段階にいるのか、把握するのが難しくなってしまうでしょう。
見込み顧客の購買意欲を育てるためには、プロセスの設計と管理が重要です。専任の担当者を決め、運用することを心がけましょう。
リードを正しく分類し、適切なアプローチを実践する
リードマーケティングは、新規の見込み顧客を獲得し、購買意欲を育てていくマーケティング活動です。顧客を「リード」で分類し、各グループに対して適切なアプローチをすることが求められます。
本記事でご紹介したリードの分類方法や、リードジェネレーション・リードナーチャリングの手法を参考に、自社のリードマーケティングの方向性を考えましょう。
2005年よりSEOに従事、年間3000本以上のSEOコンテンツを制作しているシンプリックコンテンツマーケティング事業部の監修記事です。