近年、多くの企業で導入が進んでいるオウンドメディアは、ブランディングや集客に欠かせないツールとなりつつあります。しかし、単純にオウンドメディアを立ち上げたからといって、理想的な成果が上がるわけではありません。
オウンドメディアによる効果を高めるためには、運営体制を整えた上で始めることが大切です。この記事では、オウンドメディアの運営体制について、必要メンバーや活用したい運営ツールなどを解説します。
目次
オウンドメディア運営体制
オウンドメディアをスムーズに運営するためには、運営メンバーを揃える必要があります。自社内で全員揃えられない場合は、外部委託を利用するのもひとつの方法です。それぞれのメンバーの役割について詳しく解説します。
編集長
編集長は、いわゆるプロデューサーの役割を担います。オウンドメディア全体を統括する役割で、メンバー全体の舵取りをしなければなりません。そのため、基本的には外部委託ではなく、社内のスタッフが業務を担当するのが一般的です。
編集長の主な業務は、KPIやKGIの設定やコンセプト設計です。また、社内でまとめたオウンドメディアの方向性をもとに、進捗状況をチェックしながら調整を行っていきます。広い視野で全体を見る役目なので、コンテンツの制作業務に直接関わることはあまりないといえます。とはいえ、オウンドメディアの成功に置いて要となる役目です。そのため、社内でも責任のある役職を担い、俯瞰した視野を持てる人が担当になるケースが多いでしょう。
ディレクター
現場のまとめ役を担うのがディレクターです。記事制作やコンテンツの企画の指揮をとり、品質チェックを行う現場監督の業務を行います。編集長が決定したオウンドメディアの方向性を、いかに実現させるかがディレクターの大切な役目です。
チームによっては、ディレクター本人が作業を行うケースもありますが、基本的にはフィードバックをしながら編集者やライターの育成に当たります。オウンドメディアの品質は、ディレクターの手にかかっているといっても過言ではなく、SEO対策やwebライティングなどのスキルが高い人が担当するケースが多いでしょう。
また、プランナーや現場スタッフとの連携を図る必要があるため、コミュニケーションスキルも問われます。
ライター
オウンドメディアに欠かせない記事の執筆を担うのがライターです。また、企画構成や編集作業を担う編集者を立てるケースもあります。ライターは執筆だけではなく、取材や撮影、記事デザイン等を手がけることもあるでしょう。
オウンドメディアにおいてSEOは大きな要です。そのため、ライターはSEO対策に関する知識やニーズをリサーチするスキル、キーワード分析などの能力が問われます。また、編集長やディレクターの指示に対して、臨機応変に対応することも大切です。
オウンドメディアの効果を上げるためには、コンテンツの豊富さに加えて、高い品質を保たなければなりません。特に、法律や医療に関わる記事などは、専門的な知識が必要であり、社内では賄えないことも多いでしょう。そのため、外部に委託するケースも少なくありません。
デザイナー
オウンドメディアのデザインを担当するのがデザイナーです。最近は、誰でもオウンドメディアを始められるオープンソース型のシステムがあるため、デザインの専門知識がなくてもある程度の作業は可能です。
しかし、オウンドメディアは、ページを開いた始めの画面(ファーストビュー)で、ユーザーの滞在時間が決まるといわれています。そのため、マーケティングの知識を踏まえた上で、ユーザーにとって見やすいデザインに仕上げる必要があり、改善時に速やかな対応できるスキルも問われます。
こうした背景を踏まえると、オウンドメディアの効果を高めるためには、デザインに関する専門知識を持った人が担当した方が有利といえるでしょう。
エンジニア
オウンドメディアを世の中に発信するためには、サイトの構築をするエンジニアの力が欠かせません。エンジニアは、オウンドメディア上のシステムを開発する業務を担います。
そのため、主にオウンドメディアを立ち上げる段階で業務に携わるケースがほとんどです。ただし、安定的に稼働させるための保守・運用業務を担当する場合は、長期的に連携をとる必要があります。
すでにシステムが組み込まれたソフトウェアを使うこともできますが、イメージ通りのオウンドメディアに仕上がるとは限りません。そのため、専門的な知識を持ったエンジニア担当を採用したり外部に委託したりするのが一般的です。依頼するエンジニアのスキルや経歴をチェックした上で、自社が求めるオウンドメディアに近いサイトを手がけた経験のある人を選ぶとよいでしょう。
SNS運用担当
オウンドメディアを多くの人に周知させるためにはSNSとの連携が大切です。そのため、InstagramやFacebook、TwitterといったSNSが持つ特性を理解し、アルゴリズム分析を行って自社アカウントを運営していくメンバーが欠かせません。
中には、SNSを利用しない企業もありますが、若年層を中心にSNSを利用する割合が高いため、ターゲット次第ではSNSを使った戦略なしで集客できない可能性もあります。SNSにおいてファンが増えれば拡散される機会も増え、ユーザーとの相互関係が深まります。
オウンドメディアの運営ツール

オウンドメディアを運営する際にはツールを活用します。制作や分析など目的によって利用するツールは様々です。続いては、オウンドメディアの運用に欠かせないツールを、それぞれが持つ特徴を踏まえて解説します。
CMS
オウンドメディアの制作においては基本的にCMSが欠かせません。CMSとは、(Contents Management System)の略称で、オウンドメディアのコンテンツ管理や編集をスムーズに行うためのツールです。CMSなしではオウンドメディアの運営は難しいでしょう。
CMSは様々な種類がありますが、オウンドメディアの作成に向いているのはWordPressです。使用料は基本的に無料のため、すぐに使えるのが魅力でしょう。また、ユーザーが世界中にいるほど浸透しているCMSなので、トラブルが合っても解決しやすい点もメリットです。
さらに、WordPressには拡張機能が豊富にあるため、自社のオウンドメディアに必要な機能を組み込みやすい点も見逃せません。ただし、セキュリティに関して脆弱性を持つ機能も見られるため、信頼できるアプリケーションを選ぶ必要があります。
キーワードプランナー
オウンドメディアの運営において欠かせないのが豊富な記事数です。しかし、記事が増えればコンテンツが重複する可能性が高くなるため、効果的なキーワード選定をしていく必要があります。初めのうちはキーワードを選定しやすいものの、記事が増えることで選定できるキーワードが少なくなり、選定が難しくなります。
また、オウンドメディアを効果的に運用するためには、定期的に測定を行いながらターゲットキーワードを見直す必要があります。そこでおすすめなのが、Googleが提供する「キーワードプランナー」というツールです。Google広告に登録すると無料で使えるので重宝します。
キーワードプランナーを使うと、オウンドメディアに欠かせないキーワード選定が比較的簡単に行えるようになり、入力したキーワードの月間予測検索回数を調べることが可能です。また、関連するキーワードの検索回数も調べられるので、記事を増やす上で欠かせない存在といえるでしょう。
サイト分析ツール
オウンドメディアである程度のアクセス数が獲得できたら、次にユーザーの評価がどれくらいあるか、評価されているキーワードは何かなどを分析する必要があります。より効果的なオウンドメディアに成長させるために、この分析結果をもとに改善を繰り返します。
そこで、活用できるのがAnalyticsやSearch Consoletといったサイト分析ツールです。どちらもGoogleが提供しており、基本的には無料で使えます。
Analyticsは、オウンドメディアを訪れたユーザーがどのような行動をとったのかを分析するツールです。訪問者数だけではなく、経由先や使用デバイスなどもチェックできます。Search Consoleは、以前Google web master toolといわれていました。検索画面上での見え方やGoogle検索エンジンにおける流入キーワードやクリック率などをチェックできます。
競合分析ツール
オウンドメディアのアクセス数を伸ばすためには、競合他社が運用するオウンドメディアの分析が欠かせません。競合他社のコンテンツを分析することで上位に上がりやすいキーワードを選定できます。また、業界全体のトレンドを知るのにも役立つでしょう。
こうした競合分析を行うツールも様々です。中でも、Ahrefs(エイチレフス)は、世界で60万人の人が使う人気ツールです。圧倒的なリンクデータを保有しており、1.8兆ページものURLを網羅しています。更新頻度も高く、いつもフレッシュな状態の分析ができるのも特徴です。
使用料金は月額99ドルからのため、無料で利用できるわけではありませんが、体験プランもあるので初めて利用する場合でも使いやすいでしょう。
マインドマップ
マインドマップとは、思考や情報を整理する際に便利なツールです。オウンドメディアでユーザーのニーズに見合った記事を書くためには、属性やキーワードなど多岐にわたる情報を整理しなくてはなりません。ユーザーがどのようなことを求めているか、悩みは何かなどを把握した上でコンテンツ制作をすると、自ずとアクセス数が増えていくでしょう。
マインドマップを使って、上位検索されているサイトや検索サジェストを抽出し、キーワードやペルソナを書き出していくと、正確にユーザーのニーズを見出せるでしょう。
文章校正ツール
オウンドメディアに限らず、文章を作成する際には誤字脱字が発生することがあります。しかし、あまりにも誤字脱字が多いとユーザーに不快な印象を与えかねません。
そのため、公開する前には必ず文章のチェックをする必要があります。声に出して読み上げることや複数人でチェックする方法もありますが、効率を上げるためには文章校正ツールを使うのもひとつの方法です。必ずしも必要なツールではありませんが、余裕があれば活用するとよいでしょう。
運営は外部委託もできる
オウンドメディアの運営はチームで行う作業です。編集長からライター、SNS運用担当までチーム一丸となって作ることで、よりスムーズな運営ができます。
とはいえ、ユーザーのニーズを正確に捉えたオウンドメディアを制作し運営していくためには、それなりの知識やスキルが欠かせません。社内にwebデザインやSEO対策の知識を持ったスタッフがいれば問題ありませんが、必ずしも在籍しているとは限らないでしょう。
そういう場合に活用できるのが外部の専門業者です。特に、デザインやライティングなど専門知識が問われる作業は外部委託した方がスムーズに運営できる場合が多いでしょう。シンプリックでは、オウンドメディア運営におけるサポートを行っています。オウンドメディアの運営にお悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。