「セッション数とPV数の違い」について、正確に説明してほしいと言われると少し自信がないという方もいるのではないでしょうか。Googleアナリティクス(GA)などのアクセス解析ツールでよく見る指標ですが、意味やカウント方法の違いを正しく理解しておかないと、分析や施策に誤解が生じてしまいます。
この記事では、セッション数とPV数の定義や違い、使い分け方を初心者向けにわかりやすく解説します。
セッション数とPV数とは?基本定義を整理

「セッション数」と「PV数(ページビュー数)」は、Webサイトのアクセス状況を把握するための基本的な指標です。まずはそれぞれの意味を正しく理解することが、アクセス解析やWebマーケティングを進めるうえでの第一歩となります。
セッション数の意味(Googleの定義に基づく)
セッション数とは、ユーザーがWebサイトを訪れてから離脱するまでの一連の行動を1回とカウントする指標です。ページを何枚見たかに関係なく、「1回の訪問=1セッション」として扱われます。
例:
- ユーザーAが朝に訪問→セッション1
- 同じユーザーが午後に再訪問→セッション1(合計2)
※GA4では、30分以上操作がないとセッションが自動的に終了する設定が標準となっています。加えて、「日付が変わったタイミング」や「参照元(キャンペーン)が変更された場合」も、新しいセッションとしてカウントされます。
PV数(ページビュー)の定義
PV数とは、Webページが閲覧された回数を表す指標です。ユーザーが1回の訪問で複数ページを閲覧すれば、その分だけPV数も増加します。
例:
- ユーザーが3ページ閲覧した場合 → PV数3
- 同じページを再読み込みしてもカウントされます
つまり、セッション数が「訪問回数」なら、PV数は「見られたページの合計数」といえます。
指標 | 定義 | 単位 | 重複カウント |
---|---|---|---|
セッション数 | ユーザーの訪問1回分 | ユーザーの行動単位 | 30分無操作で切れる |
PV数 | ページが表示された回数 | ページ単位 | 同一ページ再読込もカウント |
セッション数とPV数の違いをわかりやすく解説

セッション数とPV数は混同されがちですが、カウントの基準が異なるため、実際の数字にも大きく差が出ます。ここでは、具体的なシナリオを使ってその違いを解説します。
1人の訪問でカウントされる仕組みの違い
たとえば、あるユーザーがあなたのサイトを訪れて、以下のように行動したとします。
- トップページを見る
- サービス紹介ページへ移動
- ブログ記事を閲覧
- 離脱(約5分後)
この場合のカウントは次のようになります。
- セッション数:1(訪問は1回)
- PV数:3(3ページ閲覧)
さらに、同じユーザーが3時間後に再訪問し、別の2ページを見た場合は、次のようにカウントされます。
- セッション数:+1 → 合計2
- PV数:+2 → 合計5
このように、「1回の訪問=1セッション」「ページを1つ読むたびに+1 PV」というルールで数値が加算されていきます。
セッション数とPV数が一致しない理由
セッション数とPV数は、「カウント対象」が異なるため、通常は一致しません。以下のように、1人のユーザーの行動でも、行動の中身によって数値に差が生まれます。
- ブログ記事が1ページのみ読まれる → セッション1、PV1
- ランディングページ→お問い合わせページ→完了ページ → セッション1、PV3
- 滞在中に他ページを何度も行き来する → セッション1、PVが多数に
つまり、「PV数が多い=回遊性が高い」「セッション数が多い=多くの訪問を集めている」というように、それぞれの数値には異なる意味があります。
指標としての使い分けと見方
セッション数とPV数は、単に数値を比較するものではありません。「何を目的に分析するか」によって、重視すべき指標が変わってきます。それぞれの活用シーンを正しく理解し、シーンに応じて適切に使い分けることが、正確なサイト分析には欠かせません。
「サイト全体の集客」にはセッション数
セッション数は、どれだけの人がサイトに訪れたかを示す指標で、「訪問者数」を把握するのに役立ちます。流入経路やキャンペーンの効果など、集客の成果を評価する目的でよく使われます。たとえば、以下のようなシーンで活用されます。
- 広告キャンペーンの効果測定
- SNSシェアやメールマガジンの反応測定
- ユーザー数と比較して新規率・リピーター率を算出
このように、「人ベース」での評価を行いたい場合は、セッション数をチェックすることが重要です。
「ページ単位の人気・改善」にはPV数
PV数は、各ページがどれだけ閲覧されたかを示す指標です。特定の記事の読まれ具合や、サイト内で人気のあるページを把握するのに適しています。次のような場面で特に活用されます。
- ブログ記事の人気ランキング
- ページごとの回遊率・離脱率との併用
- 広告掲載やスポンサー向けの資料作成
このように、コンテンツの評価や改善を行ううえで、PV数は欠かせない指標となります。
コンバージョンとの関連での活用法
目標(コンバージョン)との関連を見る場合は、「セッションあたりのCV率」や「PVあたりのCV発生率」といった指標を用いるのが一般的です。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
- セッション数が多いがCVが少ない → 訪問者に対して魅力が弱い
- PV数が多くCVも高い → 回遊導線がうまく機能している可能性あり
このように、数値だけを見るのではなく、訪問者の行動やサイト構造など文脈も含めて分析することが重要です。
よくある勘違いとQ&A

セッション数とPV数に関しては、特に初心者が混乱しやすいポイントがいくつかあります。ここでは、実際によくある質問とその答えを、Q&A形式でわかりやすく紹介します。
Q1:PVが多ければ成果が出ているってこと?
A:必ずしもそうとは限りません。
PV数は「ページがどれだけ読まれたか」を示しますが、「読まれただけ」でコンバージョンに繋がっているかは別問題です。たとえば、PV数が多くても直帰率が高い場合は、「ユーザーが求めていた情報がなかった」可能性があります。
成果を正しく判断するためには、PV数だけでなく、CV率(コンバージョン率)や平均滞在時間など他の指標と組み合わせて評価することが重要です。
Q2:セッションとユーザー数の違いは?
A:ユーザー数は「訪問者の人数」、セッション数は「訪問回数」を表す指標です。
このように、1人のユーザーが何度も訪問すると、セッション数はユーザー数を上回ることがあります。特に、新規ユーザーとリピーターの割合を分析する際には、この違いを正しく理解しておくことが重要です。
Q3:直帰率や平均ページ数とどう関係する?
A:PV数とセッション数の関係から導かれるのが平均ページ数です。
たとえば、以下のような場合を考えてみましょう。
- セッション100、PV300 → 平均ページ数=3
- セッション100、PV100 → 平均ページ数=1(=直帰率が高い可能性)
このように、平均ページ数が少ない=1ページだけ見て離脱している可能性が高い、つまり直帰率が高いと推測できます。直帰率は「最初の1ページだけ見て離脱した割合」を示す指標なので、PV数が多くても、直帰率が高ければコンテンツや導線に課題がある可能性があります。
このように、単一の数字だけを追いかけるのではなく、複数の指標を組み合わせてその関係性を見ることが、正確なサイト分析には不可欠です。
セッション数とPV数をGA4で確認する方法
Googleアナリティクス4(GA4)では、セッションとページビューの定義や表示方法が従来のユニバーサルアナリティクス(UA)と異なります。ここでは、GA4でセッション数とPV数を確認する方法と、注意点を紹介します。
GA4でのセッションとイベントベースの違い
GA4では、すべての行動が「イベント」として記録される仕様に変わっています。セッションやページビューも例外ではなく、「イベントの一種」として記録されているため、従来のUA(ユニバーサルアナリティクス)と比べて見方に少し慣れが必要です。
- session_start:セッションが始まったときに発生するイベント
- page_view:ページが表示されるたびに発生するイベント
つまり、GA4ではセッション数もPV数も、イベントの発生回数として記録されるという点が、従来と大きく違います。
レポート画面での確認方法と指標の位置
GA4でセッション数やPV数を確認するには、「レポート」メニューを使います。以下の手順で進めてみましょう。
- 左メニューの「レポート」 →「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」へ進む
- 表の列に「表示回数(PV)」と「セッション」が表示される
- 期間を切り替えたり、セグメントを使って詳細分析も可能

また、GA4の探索(Explore)レポート機能を使えば、セッション数とPV数の関係をより柔軟に分析することができます。
GA4では用語や仕様が変わったことで戸惑う場面があるかもしれませんが、本質的な意味は変わらず、「セッション=訪問」「PV=閲覧ページ数」と理解すればOKです。
まとめ
セッション数とPV数は、Webサイトのパフォーマンスを正しく評価するために不可欠な基本指標です。
- セッション数は訪問回数(ユーザー視点)
- PV数はページの閲覧回数(ページ視点)
このように役割が異なるため、目的に応じて見るべき指標を使い分けることが重要です。
また、Googleアナリティクス4では指標の表示方法が変わっているため、イベントベースの仕組みや新しいレポート画面に慣れることも、今後の分析に役立ちます。
シンプリックでは、GA4の使い方やアクセス解析の導線設計まで幅広くサポートしています。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。