ユーザーの質問や依頼に対しチャット形式で回答してくれる対話型AIサービス「ChatGPT（チャットGPT）」。2022年11月に一般公開され、その後「GPT-4」「GPT-5」と進化を続けています。

ChatGPTの回答精度は日々向上しているため、検索エンジンで検索していたことをChatGPTに聞くユーザーも増えています。また、Googleの検索結果の上部には、Googleの生成AI「Gemini」の回答も表示されることが増え、AIの回答にどうやって採用してもらうかという新たな対策「LLMO対策」も求められ、SEO対策は新しい時代に入りました。2025年夏には「AIモード」というAI検索モードがGoogleに搭載され、ユーザーの行動形態は今後さらに変化をしていくことが予想されます。

　本記事では、今後どのようにChatGPTをはじめした大規模言語モデルを「どうSEO対策やSEO記事制作に活用していくべきか」、弊社のこれまでの経験や知見に基づき、具体例を交えて解説していきたいと思います。

「記事制作で使える具体的なプロンプト」を確認したいという方は、以下の記事も併せてお読みください。

【ライティングでのChatGPT活用法】プロンプト例を多数紹介

ChatGPT（チャットGPT）とは？

「ChatGPT」とは、大規模言語モデル（大量のテキストデータを学習し高度な解を導き出すことのできるアルゴリズム）を使ったチャットボットです。ChatGPTは、Microsoftなどが出資するOpenAIが開発しています。その他の対話型AIサービスには、Googleが開発する「Bard」などがあります。

※GPT：「Generative Pre-training Transformer」の略称、カタカナ読みは「ジーピーティー」

ChatGPT進化の歴史

ChatGPTは2022年11月の公開以来、急速に進化を遂げ、SEOやコンテンツ制作の現場でも欠かせない存在となっています。特にGPT-4以降は高度な推論力を備え、検索意図を正確に捉えた記事構成や、読者に響くコピーライティングの生成など、従来のライティング支援ツールを大きく超える活用が可能になりました。

2023年11月には「GPTs」と「GPT Store」が登場し、企業ごとのニーズに合わせたカスタマイズが容易になり、SEO専用のワークフローを自動化する取り組みも進んでいます。

株式会社シンプリックでは、社内でGPTを作成し記事制作業務などに活用しています。コンテンツの制作レギュレーションや表記ルール・トンマナに合致したGPTの制作受託も可能です。お気軽に【ご相談】ください。

2024年4月にリリースされたGPT-4oでは、画像解析やマルチモーダル対応により、記事に必要な図解やビジュアルの提案まで含めて制作支援ができるようになりました。

そして2025年にはGPT-5系列が登場し、文脈理解と長文生成能力が一段と強化されています。これにより、記事制作の初稿作成だけでなく、既存記事の改善、構造化データの提案、SEO施策のアイデア出しといった「運用フェーズ」においても活用範囲が広がっています。

年月	リリース内容	特徴
2022年11月	ChatGPT 公開 (Research Preview)	GPT-3.5を基盤にした対話AIを初公開。数日でユーザー数100万人を突破。
2023年3月	GPT-4 リリース	複雑な推論・高度な指示理解が可能に。ChatGPT Plus (月額20ドル) で利用開始。
2023年11月	GPTs と GPT Store 公開	個別カスタマイズされたChatGPT（GPTs）の作成・公開が可能に。
2024年4月	GPT-4o (Omni) リリース	高速・低コスト化。テキストだけでなく音声・画像入力に対応。無料プランでも利用可能に。
2025年（現在）	GPT-5 系列 (最新世代)	推論能力・マルチモーダル処理の強化。より自然な思考プロセスと長文理解に対応。

「AI生成コンテンツ＝スパム」ではない

Googleは自社の公式ブログで「AI や自動化は、適切に使用している限りは Google のガイドラインの違反になりません」とAI生成コンテンツを評価するとアナウンスしています。以下のとおり、AIが生成しているかどうかではなく、「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」であるかにより評価されるのです。

＊AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
AI 生成のものを含め、自動化を利用したコンテンツすべてがスパムであるとは限らないことを認識することは重要です。自動化はこれまでも長い間、スポーツの試合結果、天気予報、文字起こしなどの有用なコンテンツの生成で使用されてきました。AI は表現と創作の新しいかたちを生み、優れたウェブ コンテンツの作成に役立つ重要なツールとなる力を備えています。

【ChatGPT活用法】SEO対策

SEO対策では、戦略設計が成果を左右します。ChatGPTを活用すれば、キーワードリサーチから競合分析、構造化データの設計や効果測定まで、従来時間がかかっていた作業を効率化し、より戦略的なSEO施策に注力できるようになります。

検索意図の分析と分類

SEOにおいて最も重要なのは、ユーザーが「なぜそのキーワードで検索しているのか」を理解することです。単に検索ボリュームが多いキーワードを狙うのではなく、検索意図を正しく把握し、それに応じたコンテンツを用意することで初めて成果につながります。検索意図は一般的に「情報収集型（Know）」「比較検討型（Compare）」「取引・購入型（Do）」の3つに大別でき、この分類を誤ると順位が上がってもコンバージョンにつながらないといった問題が生じます。

ChatGPTは、この検索意図分析を効率化する強力なツールとなります。たとえば、複数のキーワードリストを展開し、それぞれを「情報」「比較」「取引」というように分類できます。さらに、検索上位の記事タイトルやディスクリプションを整理し、「どの意図が検索結果で優勢か」を分析することも可能です。これにより、単にキーワードを狙うのではなく、ユーザーの行動心理に即したコンテンツ制作が実現できます。

検索意図の分析は従来アナリストが時間をかけて行っていた領域ですが、ChatGPTを活用すればフレームワークに沿った効率的な分類が可能となり、戦略的にリソースを振り分ける判断がしやすくなるのです。

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ChatGPT活用の具体的なプロンプト例

• 「次のキーワードを、検索意図ごとに分類してください。（情報収集／比較検討／取引・購入）」
• 「このキーワード群を意図ごとに分け、SEO戦略上の優先順位を提案してください」
• 「検索意図を踏まえて、当社記事に不足しているトピックを明示してください」

競合サイト分析とコンテンツギャップ発見

SEOで成果を上げるためには、自社サイトの改善だけでなく、競合サイトの状況を把握することが欠かせません。競合がどのようなテーマを扱い、どの検索意図を満たしているかを分析すれば、自社に不足している切り口やテーマ＝「コンテンツギャップ」を明確にできます。これにより、やみくもな記事追加ではなく、検索意図に合致した戦略的なコンテンツ拡充が可能になります。

ChatGPTは、この競合分析を効率化する強力なパートナーです。たとえば競合記事のタイトルや見出し一覧を展開すれば、それらをテーマ別に分類し、検索意図に沿ったマッピングを自動で行えます。さらに自社の記事リストを展開し比較させることで「不足しているテーマ」「競合が強く押さえている領域」を整理でき、戦略的な優先順位をつけやすくなります。

ChatGPTは単なる情報整理ツールにとどまらず、「競合との差分をどう施策に落とし込むか」という思考プロセスを支援する存在です。

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ChatGPT活用の具体的なプロンプト例

• 「この競合記事リストと自社記事タイトル一覧を比較し、扱えていないテーマを指摘してください」
• 「競合が強く取り上げている検索意図（情報／比較／取引）を分類し、当社が不足している部分を明示してください」
• 「競合との差分から、今後制作すべきコンテンツ案を優先度付きで提案してください」

構造化データやスニペット対策の支援

検索結果でより目立ち、クリック率を高めるためには、通常の青いリンク表示だけでなく「リッチリザルト」を狙うことが重要です。GoogleはFAQ、レビュー、レシピ、イベントなどに対して構造化データを読み取り、検索結果に直接表示する仕組みを整えています。また、特定の質問に対する直接回答（スニペット）を獲得することで、競合より上位に表示されるケースも少なくありません。

従来、構造化データの設計やFAQスキーマの作成はエンジニア寄りの作業とされてきました。しかしChatGPTを活用することで、対象ページに適したschema.org形式のコード提案や、スニペットを獲得しやすいQ&A形式のコンテンツ草案を簡単に生成できます。さらに、既存ページのテキストを渡せば「この内容を構造化データに落とし込むとどうなるか」をシミュレーションすることも可能です。

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ChatGPT活用の具体的なプロンプト例

• 「以下のテキストからFAQスキーマを作成してください（JSON-LD形式）」
• 「このページの内容をもとに、構造化データのArticleスキーマを提案してください」
• 「次の見出しと本文を、検索スニペットを獲得しやすいQ&A形式に書き換えてください」

SEOレポート作成・効果測定の効率化

SEO施策を継続的に改善するには、検索順位やセッション数といった単なる数値の確認にとどまらず、「どの施策が成果に直結したのか」を定期的に評価することが欠かせません。しかし、多くの担当者はGA4やSearch Consoleのデータを集計するだけで時間を費やし、肝心の分析や意思決定に十分なリソースを割けていないのが現状です。

ChatGPTは、レポート作成の効率化に大きく貢献します。例えば、エクスポートしたCSVデータを読み込ませれば、重要な変動点をまとめたり、特定キーワードの順位推移をわかりやすく解説したりできます。また、CTRやコンバージョン率の変動を踏まえて「どのページの改善が優先か」といった示唆を得ることも可能です。これにより、数値集計から戦略的な洞察抽出までを短時間で行えるようになり、戦略構築に多くの時間を配分することができます。

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ChatGPT活用の具体的なプロンプト例

• 「以下のSearch Consoleデータを要約し、重要な順位変動を抽出してください」
• 「次のCSVから、CTRが低下しているページを特定し、改善施策を提案してください」
• 「SEOレポートを経営層向けにわかりやすく説明する要約文を作成してください」

【ChatGPT活用法】SEO記事制作

弊社では、ChatGPTを活用し記事制作の検証を日々行っています。「ChatGPTで出力した文章はあくまでも素案」というのが弊社のスタンスです。ファクトチェックを行うのは当然ですし、必ず人の編集を入れます。AIができる読みやすさと人間ができる読みやすさには違いがありますので、それぞれの良さを活かしたコンテンツ制作が重要です。

弊社おすすめのChatGTP活用方法をご紹介します。

1.記事タイトル候補や見出し案、コピー案などコンテンツアイデアの作成

記事タイトルや記事の見出し、キャッチコピーなどのアイデア出しに活用できます。生成AIが出力するコンテンツアイデアは統計的に最適化されたものなので、あくまでもアイデアとして活用するのがおすすめです。出力されたものを編集し活用してください。

＜プロンプトの例（対話を進めたうえでの利用イメージ）＞

○○コンテンツのタイトル案を検索上位10サイトを参考に、3点記述ください

以下がポイントです
・キーワードを検索するユーザーがクリックをしたくなるキャッチーでくだけすぎないものとする
・他のサイトを参考に必要に応じて記号を使う
・キーワードはなるべくタイトルの先頭、少なくても前半で利用する
・タイトルの文字数は、全角で28〜33文字とする
・特定のサイト名や固有名称は含まないように作成する

以下は、カスタマージャーニーマップに関する記事のタイトル案を出力結果です。

2.文章の要約や文章案の作成

長い文章を要約したり、書き出しやまとめ文章の作成ができます。出力されたものは編集を前提とし、作業スピードを向上させるための活用がおすすめです。

＜プロンプトの例（対話を進めたうえでの利用イメージ）＞

コンテンツのペルソナを分かりやすく記述ください

文章のまとめに記述すべき内容を200文字程度で記述ください

以下は、カスタマージャーニーマップに関する記事のペルソナとまとめ文章を出力結果です。

3.情報収集および表作成などのデータ加工

情報収集および収集した情報を表にするなどデータの加工に活用できます。

情報収集に活用すれば、記事内容のリサーチ時間を短縮できます。網羅的な情報収集にも向いています。
以下は、「ChatGPTのような大規模言語モデルには他にどのようなものがあるか」についての回答です。

収集したデータを視覚的に表にまとめる際に、ChatGPTを活用できます。読み手の理解を助ける客観的なデータを作成できる点は、パワフルな要素の一つです。
以下は、「人気のSNSとその利用人数」を表加工したデータです。

ChatGPTをデータ収集に活用した際は、データが本当に正しいものであるか、必ずファクトチェックをするようにしてください。

弊社シンプリックでは、ChatGPTを活用した記事制作のお引き受けが可能です。クライアントさまと効果検証しながら、より良い制作フローや制作体制構築にこれまでのSEOの知見を生かし取り組みます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

AI時代に求められる編集機能とは

前章でご紹介したように、ChatGPTは文章作成に活用できることが見えてきています。

ライターや記事制作会社に頼まなくても、記事制作が進められるのではないかと感じたかもしれません。

たしかに、一定レベルの記事コンテンツはAIで作成できるようになりましたが「ユーザー満足を導ける記事品質をAIだけで実現するのは難しい」というのが弊社の見解です。”AI時代に記事制作会社が求められる機能”について解説していきたいと思います。

1.正確性・信憑性の確認、ファクトチェック

AIは大量のデータを学習することで、的確な回答を導くものです。さまざまな情報ソースから取得したデータをもとに、情報の正誤を算出するため、信頼できるものである可能性は高いですが、誰も正確性の保証をしてくれません。

そのため、記事制作会社では信頼できる情報元を定め、AIが作成したテキストのファクトチェックを担う必要があります。特に、YMYL（Your Money or Your Life）と呼ばれる金融や医療などの領域は、専門家によるファクトチェックや編集が必要になるため、そのような専門家のキャスティングも記事制作会社には求められます。

参考：Google公式「検索品質評価ガイドライン」

先ほど、ご紹介した「人気のSNSとその利用人数」の表には、「Twitter」が存在していません。再度質問したところ、以下の通り「漏らしていた」との回答。ランキングにも少しおかしなところがあり、正確性の確認は必須といえるでしょう。

2.体験を基にしたコンテンツ制作

Googleは、2022年12月15日に「体験（Experience）」を基にしたコンテンツを評価していくというアナウンスを出しました（品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加）。AIは機械ですので、自身の実体験を基にしたコンテンツの作成ができません。AIの学習はあくまでも擬似体験ですので、ユーザーが求めている”リアルな体験”を基にした情報発信を行うために、コンテンツ制作会社には企画力や提案力とその実行力が求められます。

＊E-E-A-T と品質評価ガイドラインについて
Google の自動システムは、さまざまな要因に基づいて優れたコンテンツをランク付けするように設計されています。関連するコンテンツを特定した後、最も役に立つと判断されたコンテンツに高い優先順位を付けます。そのために、どのコンテンツが、エクスペリエンス（Experience）、高い専門性（Expertise）、権威性（Authoritativeness）、信頼性（Trustworthiness）、すなわち E-E-A-T の面で優れているかを判断するための要素の組み合わせを特定します。

mybestさんの「売れ筋の人気酸素系漂白剤全22商品を徹底比較！」という記事は、「実際に漂白剤22商品を利用」したうえで比較コンテンツが作られています。このような実体験に基づいたコンテンツ作成を記事制作会社はリードしていく必要があります。

出典：mybest「売れ筋の人気酸素系漂白剤全22商品を徹底比較！」

3.独自性のある構成や内容の企画・表現

AIサービスの浸透とともに、情報を調べたりまとめたりという役割はAIが担うようになるでしょう。ただし、どのようにAIを活用するか、どのようなコンテンツを記事内に配置し、ユーザー満足を導くかなど、コンテンツの企画は今後も記事制作会社が担う必要があります。

編集ディレクターには、検索上位の記事が満たせていないインサイトを分析し、どのような経験や知見のあるライターをアサインするか、独自性のあるコンテンツとして何を盛り込むかなど、クリエイティブな企画力が今まで以上に求められます。

SEO対策のプロフェッショナルこそChatGPTを有効活用できる

ChatGPTなどの生成AIサービスが一般的に利用されるようになり、SEO対策は新たな局面を迎えています。ChatGPTは、非常に有用なツールではありますが、AIの回答を鵜呑みにして、そのままSEO対策の方向性を決めたり、AIが出力した文章をそのまま記事に使うのは悪手です。

Googleの重視する”誰がどのような体験を元にその情報を発信しているか”＝「E-E-A-T」を押さえることは欠かせませんし、さまざまなWebサイトの最適化に従事してきたSEOコンサルタントだからこそ、調査分析による確度の高い仮説のもと、ChatGPTをツールとして的確に活用できると考えています。

弊社シンプリックでは、ChatGPTを活用したSEO対策や記事制作のお引き受けが可能です。クライアントさまと効果検証しながら、より良い制作フローや制作体制構築にこれまでのSEOの知見を生かし取り組みます。お客様専用のGPTの制作も承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。