成果を生み出すデジタルマーケティングを行うためには、その評価と効果を判断できる「KPI(Key Performance Indicator)」の設定が欠かせません。しかし、設定すべきKPIや設定したKPIの活用方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デジタルマーケティングにおけるKPIの設定やデータの評価、具体的な改善方法などについて詳しく解説します。
目次
デジタルマーケティングとKPIの基本理解
まずは、デジタルマーケティングの重要性とKPIの基本から確認していきましょう。
デジタルマーケティングの重要性と目的
ネット環境の普及が著しい近年では、デジタル媒体を活用したマーケティングが不可欠となっています。企業やブランドの存在感を高めるためには、オンライン広告やオンラインでのプロモーション活動を通してターゲットにリーチしなければいません。
デジタルマーケティングを展開すれば、地理的な制約を超えて広範囲のユーザーにリーチできます。また、Webサイトでのユーザーの行動やソーシャルメディアの反応といった多様なデータをマーケティング戦略の最適化に活用できます。
デジタルマーケティングの手法
デジタルマーケティングの代表的な手法には、以下のようなものがあります。
- コンテンツマーケティング
- オウンドメディアマーケティング
- SEO(コンテンツSEO)
- メールマーケティング
- リスティング広告
- SNS広告
- ディスプレイ広告
- 動画マーケティング
製品の特性やターゲットによって効果的な手法は異なりますが、パーソナライズされたコミュニケーションを実現できるのが、デジタルマーケティングの大きな特徴です。
KPIの定義と設定の重要性
デジタルマーケティングにおいては、KPIの設定が大変重要です。KPIとは「重要業績評価指標」のことで、目標の達成度合いを計測・評価するために使われます。
適切なKPIを設定することで、施策の成果を最大化し、ビジネスの成長につなげられます。
デジタルマーケティングにおける主要なKPI
デジタルマーケティングには、さまざまなKPIが存在します。ここでは、以下の3つに関するKPIを紹介します。
- 到達(Reach)
- エンゲージメント(Engagement)
- コンバージョン(Conversion)
それぞれ見ていきましょう。
到達(Reach)に関するKPI
デジタルマーケティングにおける「到達性」を評価する指標です。施策の最終的な目標と戦略に合わせて適切なKPIを選択すれば、マーケティングの初期段階ともいえる「リーチ」の成果を測りやすくなります。
主なKPI | 概要 |
---|---|
ページビュー(PV) | Webサイトやランディングページの閲覧された回数 |
ユニークユーザー(UU) | Webサイトやアプリを訪れたユーザーの数 |
セッション数 | Webサイトやアプリを訪れたユーザーの数 ※2回以上の訪問もカウントする |
インプレッション数 | Webサイトやページ、広告が表示された回数 |
クリック数 | ボタンやリンク、広告がクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | UU・PVに対し、ボタンやリンク、広告がクリックされた割合 |
直帰率 | 1ページの閲覧のみでWebサイトを離れたユーザーの割合 |
エンゲージメント(Engagement)に関するKPI
デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントを評価する指標です。適切なKPIを選択して定期的にモニタリングすれば、ユーザーとの関与度を把握しながら適切な戦略を立案できます。
主なKPI | 概要 |
---|---|
フォロー数 | SNSアカウントをフォローしたユーザーの数 |
いいね数 | 投稿がいいねされた回数 |
コメント数 | WebサイトやSNSに寄せられたユーザーのコメント数 |
閲覧時間 | Webサイトや動画コンテンツの閲覧時間 |
コンバージョン(Conversion)に関するKPI
デジタルマーケティングにおけるコンバージョンの評価に関する指標です。より利益と親密な数値について確認できます。
主なKPI | 概要 |
---|---|
顧客獲得単価(CPA) | 1コンバージョン(購入、登録、資料請求など)獲得に必要な費用 |
コンバージョン率(CVR) | ユニークユーザー数やページビュー数に対するコンバージョンの割合 |
広告費用対効果(ROAS) | 広告費に対しどれだけ売上獲得があるか:「売上÷広告費×100」 |
離脱率 | Webサイトや商品カートなどからユーザーが離脱した割合 |
Google Analytics4(GA4)を活用したKPIの設定とモニタリング
GA4はUAとは異なり、ほとんどのデータが「イベント」で送信されます。ページビューやセッションなどもイベントで計測されるため、アプリにも対応可能です。Webとアプリを横断した分析もでき、両方を跨いだユーザーの動きも正しく認識されます。
GA4のイベントの種類
GA4には、次のようなイベントがあります。
- 自動収集イベント
- 拡張計測機能イベント
- 推奨イベント
それぞれ見ていきましょう。
自動収集イベント
GA4が自動的に計測を行うイベントです。主に下記のようなイベントがあります。
イベント | 概要 |
---|---|
session_start | アプリ、Webの利用時 |
croll(Web) | 各ページの最下部までスクロール(垂直方向に 90% も含む) |
user_engagement | アプリのフォアグラウンド表示Webページの1秒以上フォーカス |
拡張計測機能イベント
管理画面でイベントを有効にすると計測可能となるイベントです。主に下記のようなイベントがあります。
イベント | 概要 |
---|---|
page_view | ページビュー |
click | クリック数 ※外部リンクが対象 |
video_progress | 動画の再生時間 |
file_download | ファイルのダウンロード数 |
推奨イベント
必要に応じて手動で設定するイベントです。主に下記のようなイベントがあります。
イベント | 概要 |
---|---|
join_group | グループに参加 |
login | ログイン |
purchase | 購入 |
sign_up | ユーザー登録 |
カスタムイベント
上記3つのイベント以外を計測をしたいときに設定するイベントです。独自のイベント名とパラメータ名を付けられます。GA4の管理画面やGTMから設定することが可能です。
Google Analytics4でKPIを設定・計測する方法
Google Analytics4でKPIを設定・計測する方法を詳しく見ていきましょう。
- 拡張計測機能をオンにする方法
- 推奨イベントとカスタムイベントの設定方法
順に見ていきましょう。
拡張計測機能をオンにする方法
拡張計測機能をオンにする方法は、以下のとおりです。
1.GA4にログインして左下の「管理」をクリックして「データストリーム」を選択します
2.「ウェブ」を選択します
3.イベント欄の右側の歯車マークをクリックしてイベントを選択します
4.選択したイベントのトグルをオンにして設定完了です
推奨イベントとカスタムイベントの設定方法
推奨イベントとカスタムイベントを設定する方法は、以下のとおりです。
1.GA4にログインして左下の「管理」をクリックして「データストリーム」を選択します
2.「ウェブ」を選択します
3.「イベントの変更」を選択します
4.「作成」をクリックします
5.詳細を設定します
Google Analytics4で設定したイベントを確認するる方法
Google Analytics4で設定したイベントは、管理画面の「イベント」から確認できます。
計測結果が反映されるまでに数時間から24時間以上かかるケースもあります。時間を置いてから確認したほうがいいでしょう。
KPIに基づくデジタルマーケティング戦略の改善
KPIは設定するだけではなく、結果に基づいて適切な改善をしなければいけません。具体的な改善策を詳しく見ていきましょう。
到達(Reach)の改善策
リーチが少なければ、その後の施策が機能しなくなりえます。Webサイトやメディアの開設初期であれば、即効性の高いデジタル広告の活用を視野に入れたほうがいいでしょう。
検索エンジン最適化(SEO)も必須です。広告戦略の展開と合わせてコンテンツの質を高めながら、ユーザーニーズに適した情報を提供しましょう。
SNSアカウントを運用している場合は、適切なコンテンツの投稿や広告キャンペーン、インフルエンサーとの提携などを通じたリーチの増やし方も可能です。
エンゲージメント(Engagement)の改善策
エンゲージメントに関するKPIの数値が低い場合は、魅力的で興味深いコンテンツを作成できるよう、企画から再検討しましょう。クイズや投票、アンケートといったインタラクティブなコンテンツの活用もひとつの方法です。
コンテンツの質が低い場合、検索結果の表示順位に悪影響を及ぼします。ユーザーニーズを的確に把握したうえで、ユーザーに有益で興味関心度を高められるようなコンテンツを作成しましょう。
コンバージョン(Conversion)の改善策
コンバージョンに関するKPIの数値が低い場合は、Webサイトやランディングページのレイアウトを改善しましょう。
各種ボタンの色や文言、配置場所などを変えるだけでも、コンバージョン率は上がることがあります。使いやすく直感的なナビゲーションによる導線の確保も重要です。
また、フォームの入力項目を最小限にして、ユーザーの手間を省きましょう。冗長な項目や複雑な手続きは、ユーザーの離脱を招く可能性が高まります。
A/Bテストを活用した改善
A/Bテストとは、異なるバージョンを比較して、どちらが優れた結果をもたらすのかを検証する手法です。サイトのデザインやボタン類の配置、CTAの文言などが比較の対象となります。
たとえば、デザインが異なる「ランディングページA」と「ランディングページB」のクリック率を比較・分析すれば、優れたパフォーマンスを示したバージョンの採用が可能です。
マーケットやユーザーニーズは常に変化しているため、A/Bテストは継続的に行う必要があります。最新のトレンドや効果の高い要素を把握しながら、テストと改善を繰り返しましょう。
【まとめ】デジタルマーケティングKPIの設定と活用
デジタルマーケティングを成功させるには、目標に適したKPIの設定が欠かせません。KPIは設定するだけではなく、定期的に分析を行ってマーケティング戦略の改善や施策の最適化に活用しましょう。
設定やデータの分析には、無料ツール「Google Analytics」を使うと効率的です。設定やデータの分析方法は難しくないので、初心者でもデジタルマーケティングに役立てられるでしょう。
KPI自体の評価やその先のマーケティング導線など、デジタルマーケティングに興味がある方は、ぜひ弊社シンプリックの無料相談をご活用ください。お客様の現在抱えている課題や今後取り組もうとしていることなどをヒアリングしたうえで、弊社クライアントおよび弊社自身の成功事例をもとに、お客様が今取り組むべきことをお伝えし、弊社がどのような支援をできるかご説明させていただきます。