Webマーケティングとは、オンライン上でのプロモーション手法のひとつです。近年では多くの企業が取り組んでいますが、始め方がわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、マーケティング初心者の方に向け、Webマーケティングの始め方や注意点、成功ポイントを詳しく解説していきます。効果を最大化するための分析と改善方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
【知識編】Webマーケティングの基本
まずは、Webマーケティングの概要と主な流れについて解説します。
はじめに知るべきWebマーケティングの概要
Webマーケティングの目的とビジネスの効果を確認していきましょう。
Webマーケティングの定義と目的
Webマーケティングとは、インターネットを活用して商品やサービスを宣伝し、成約につなげるマーケティング手法です。
新規顧客の獲得や商品の認知拡大だけではなく、顧客との関係を深化させてリピーター化を促進するための活動も含まれます。また、自社のブランドイメージを高めて信頼性や魅力を伝えることもWebマーケティングの目的です。
ビジネスへの効果
Webマーケティングはオンライン広告やSNSを活用するため、従来からあるテレビCMや新聞広告といったマス広告に比べて少ない予算からでもスタートしやすく、広告費用の削減につながります。
さらに、Webサイトの閲覧履歴などさまざまなデータをもとに顧客の興味・関心を分析できるため、ターゲット層に合わせた施策を展開することによって効率的で効果的なアプローチも叶います。
Webマーケティングの主な流れ
Webマーケティングの主な流れを見ていきましょう。
コンテンツの作成
デジタルチャネル上で情報を提供するための文章や画像などを作成します。コンテンツがユーザーに受け入れられて反応が得られるよう、継続的に改善を行いながら取り組みます。
アクセス解析
Webサイトやアプリのアクセスログを分析して、ユーザーの行動やニーズを把握します。また、トラフィックやコンバージョン率などから問題点を見つけ、新たなマーケティング戦略の立案や施策の改善に役立てます。
広告運用
目的に応じた広告の種類を決めて配信・運用するのもWebマーケティングの重要なプロセスです。広告配信後は、マーケティング活動の目標を達成するために広告の最適化と改善を行います。
【準備編】Webマーケティングの始め方【7ステップ】
Webマーケティングを始める際は、次のようなステップで進めるのが効果的です。
- 目的を明確にする
- 現状を分析する
- 自社の課題を把握する
- ペルソナを決める
- ペルソナの購買プロセスと行動を分析する
- KPIを設定する
- KPIに適したWebマーケティング手法を決める
step1.目的を明確にする
まずはWebマーケティングを行う目的を明確にします。一般的には、下記のようなことを目的にするケースが多いです。
- 問い合わせ数を増やす
- リーチを拡大させる
- CV数を増やす
- CVRを増やす
- CPAを下げる
- 認知拡大
- ブランディング など
step2 .現状を分析する
次に、目的達成に向けた現状分析を行います。分析の際は「自社分析」「競合分析」などを行うことが多いと思いますが、ターゲットに合わせた施策を打つことができるWebマーケティングでは「4C分析」という分析方法も役立ちます。
「4C」とは、
「Customer Value(顧客にとっての価値)」
「Customer Cost(顧客の負担)」
「Convenience(利便性)」
「Communication(コミュニケーション)」
の4つの頭文字をとったもので、自社サービスの強みや弱みを顧客視点から分析する方法です。
4C分析には、商品やサービスの提供に必要な要素を把握でき、効果的なマーケティング戦略の策定に役立つというメリットがあります。
4C分析をする際は、サービスのスペックや認知度、利便性などを可視化したうえで、「顧客やユーザーはどう感じるだろうか」という目線で各所に分類するのがポイントです。
step3.自社の課題を把握する
分析結果から「自社の課題」と「自社の強み・弱み」をリストアップします。ここでは、自社Webサイトの課題と強み・弱みを見てみます。
(例)
- 強み:コンバージョン率が高い
- 弱み:アクセス数が少ない
コンバージョン率(成約率)が高いということは、サイトの動線や入力フォームの最適化には問題はないと考えていいでしょう。言い換えれば、分母となるアクセス数が増えれば、コンバージョンのさらなる向上も期待できるということです。
そしてアクセス数が少ない原因が「現状の検索順位の低さ」であるならば、課題は「早急なSEO対策」です。開設したばかりのサイトであれば、広告運用の併用も検討する必要があるでしょう。
次に、競合他社との違いからも自社の課題を明確にしていきます。
自社 | 競合A社 | |
---|---|---|
知名度 | 低 △ | 中 ◎ |
料金 | 安い ◎ | 普通 △ |
取扱商品 | 2社のみ △ | 複数社 ◎ |
従業員の知識量 | 高い ◎ | 普通 △ |
問い合わせ対応 | 即日 ◎ | 2~3日以内 △ |
Webサイトのデザイン | 見やすい | 見やすい |
過去の実績 | 少ない △ | 多い ◎ |
「対応の早さ」「料金の安さ」「知識量の多さ」などの強みは「コンテンツ作成」や「広告配信」をする際に全面に押し出しましょう。
そして「知名度の低さ」「取扱商品の少なさ」「過去の実績の少なさ」などの弱みは「専門性の高さ」や「ユーザー満足度」などをアピールすることでカバーしたいところです。
step4.ペルソナを決める
ペルソナとは、ターゲット層の代表的な顧客を想定した架空の人物像です。年齢や性別、職業、趣味嗜好などのデモグラフィックな情報や、価値観や生活スタイルなどの心理的な情報を総合的に分析してイメージします。顧客の視点に立った商品開発やマーケティング戦略の立案には、ペルソナの設定が欠かせません。
ペルソナの例を見てみましょう。
このように、実在しそうなユーザー像を絞ってペルソナを設定します。ただし、理想や主観で設定するのはNGです。アンケートや既存データ、アクセス解析などの結果からユーザーニーズを把握したうえで客観的に設定しましょう。
step5 .ペルソナの購買プロセスと行動を分析する
購買行動プロセスとは、商品やサービスを購入する際の消費者心理を時系列に沿って段階的に表したものです。
購買行動プロセスにはいくつかのモデルがありますが、Webマーケティングにおいては、購買までの過程に「検索」や「シェア」が入る「AISAS」というモデルを採用すると、打つべき施策をイメージしやすくなります。
各段階でのユーザー心理や感情、行動などを意識し、より効果的なチャネルを選んで施策を展開しましょう。
可能な限りユーザーと早く接点を持ちたい場合は、情報収集の内容を徹底的に調査したうえで競合他社より早く見つけてもらえるようにしましょう。
step6.KPIを設定する
「KPI(Key Performance Indicator、主要業績評価指標)」とは、組織や企業が設定した最終目標や戦略目標を示す指標「KGI(Key Goal Indicator、経営目標達成指標)」を達成するために必要な「行動指標」のことです。KPIを設定する際は、数値化可能なもの、かつ短期的で具体的な目標にすることがポイントです。
(例)
KGIである「売上向上」を達成するために、Webマーケティング施策を実行して「アクセス数を増やす」「顧客単価を上げる」「CVRを上げる」ことをKPIに設定する。
step7.KPIに適したWebマーケティング手法を決める
最後に、KPIを達成するのに適した手法を決めます。SNS運用や広告展開、SEO対策など、Webマーケティングの手法は様々あります。リソースを有効活用する意味でも、step4&5で設定したペルソナの購買プロセスと照らし合わせながら、もっとも効果が高いと思われる手法を厳選しましょう。
施策の実行後はプロセスごとに分析を行い、KPIの目標値をクリアしているかどうか確認することも大切です。
【実践編】よく使われるWebマーケティング手法
よく使われるWebマーケティング手法は、次の5つです。
- SEO対策
- SNSマーケティング
- コンテンツマーケティング
- メールマーケティング
- Web広告
SEO対策
SEO対策とは、検索エンジンでの上位表示を目指してWebサイトの構造やコンテンツ、リンク、タグなどの最適化を行うことです。
内部リンクや外部リンクの最適化、サイトの表示速度の改善、各種デバイスに対応したレスポンシブデザインの採用などもSEO対策になります。
SEO対策を行うことで検索エンジンからのアクセス増加やブランドの認知拡大などが期待できますが、常に改善が求められるため、継続的な取り組みが必要です。
弊社シンプリックでは現在、SEO対策で成果を出したいWeb担当者様向けに「SEO対策の無料相談」を実施中です。プロのSEOコンサルタントが「SEO対策で成果を出すために重要なこと」などSEOのノウハウを伝授しますので、ぜひお気軽にお申込みください。
SNSマーケティング
SNSマーケティングは、ソーシャルメディアを活用したマーケティング手法です。SNS上のアカウントで自社製品に関するトピックを投稿したり、コンテンツを共有したりして認知拡大や顧客獲得を目指します。
SNSはターゲット層に直接アプローチでき、思わぬ拡散も期待できるため、現代のビジネスおいて欠かせないマーケティング手法のひとつになっています。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、有用な情報をユーザーに提供しながら商品やサービスの認知拡大と顧客の獲得を目指すマーケティング手法です。
集客フェーズの潜在顧客だけではなく、既存顧客に対するリピート率と顧客満足度の向上にも活用できます。
メールマーケティング
メールマーケティングは、顧客や見込み客にメールを送信して、商品やサービスの宣伝・告知をするマーケティング手法です。セールや新製品の紹介などをメールで配信し、顧客の興味を引いて購入につなげます。
購入履歴や行動履歴を元にパーソナライズされたメールも配信できますが、タイミングや受信者の属性を誤るとスパム行為になるので注意が必要です。
Web広告
Web広告は、Webサイトや検索エンジンなどに広告を掲載して、集客や認知拡大を図るマーケティング手法です。Web広告にはバナー広告やテキスト広告、動画広告、SNS広告などの種類があります。
短期的な効果が期待できますが、表示場所やタイミングが不適切だと逆効果になる可能性があるので、配信方法や配信先の選択には時間をかけたほうがいいでしょう。
Webマーケティングの失敗例
Webマーケティングを行う際によくやりがちな失敗例を見ていきましょう。
- 施策を単発で終えてしまう
- 大手企業と同じことをしてしまう
- 外注に丸投げしてしまう
- 短期間で成果を求めてしまう
施策を単発で終えてしまう
企業の課題がひとつのみであるケースは少ないため、マーケティング活動を展開する際には、複数の手法を併用するのが一般的です。
近年ではユーザーの購買行動も複雑化・多様化しています。そのため、例えば集客目的のSEO施策でキーワードを「家具」に設定した場合、このキーワードで上位表示できただけで問合わせと売上が増えるほど甘くはありません。
SEO施策ひとつをとっても、ユーザーの行動を分析したうえで多様なキーワードによる施策を展開し、さまざまな角度から見込み客にアピールする必要があります。
大手企業と同じことをしてしまう
大手企業と中小企業では、確保できるリソースが全く異なります。そのため、やみくもに施策や方法を真似しても、いずれ継続できなくなる可能性が高いです。
中小企業や個人事業主の場合は、大手の競合のやり方をそのままなぞるのではなく、自分たちの強みを生かした「一点集中型施策」や「コミュニケーションの充実度」などを全面に押し出して、専門性や信頼性をアピールしたほうがいいでしょう。
外注に丸投げしてしまう
Webマーケティングの外注先としてはSEO会社やコンテンツ制作会社、広告代理店などが考えられます。ただこうした企業はあくまでも「施策や戦術のプロ」であるということを忘れないようにしましょう。
自社の製品やサービスのプロは当然ですが「自分たち自身」です。そのため、実行する施策の判断と長期的な運用は自社で行わなければいけません。
また、外注に丸投げをすると社内にノウハウが蓄積できなくなり、継続的に外注費が発生します。外注はあくまでも自社内では手が足りない部分を補填する「サポート」として利用し、最終的には自社内完結での運用を目指すのがよいでしょう。
短期間で成果を求めてしまう
Webマーケティングの成功には経営者の理解と忍耐力も必要になります。質の高いコンテンツを作成しても、Googleに正しく認識されて結果が出るまでにはある程度時間がかかります。
施策の成果が表れるまでの期間は、SEOで最低半年、SNSマーケティングでも数カ月はかかると思ったほうがいいでしょう。メディア全体の価値が認められるまでには、年単位の時間を要することもあります。
いずれにしても、短期間で諦めてしまうと成果が出始めていることに気づかず終わってしまうため、中長期的な視点で取り組むことが大切です。
Webマーケティングを成功させるためのポイント
Webマーケティングを成功させるために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
コンテンツの品質向上と拡充を図る
検索エンジンは「質の高いコンテンツ」を検索結果の上位に表示します。つまり、マーケティング手法の中でも特にSEO対策におけるコンテンツの品質向上は大変重要なのです。ユーザーの検索意図に沿った的確な情報をわかりやすくまとめて、「知りたかったことがスッキリ解決できた」と感じてもらえるコンテンツを提供しましょう。
ユーザーにとって有益で独自性の高いコンテンツを作成するだけではなく、競合他社や上位サイトと比較して内容に不足がないかどうかを確認することも大切です。
PDCAサイクルを確立する
PDCAサイクルは、Plan-Do-Check-Actionの頭文字をとった管理サイクルです。計画(Plan)を立て、その計画に基づいて実行(Do)を行い、その結果を確認・評価(Check)し、改善(Action)をします。PDCAサイクルを継続し続けることによって効率的で効果的な業務プロセスを確立し、品質や生産性の向上、コストの削減などを実現できます。
分析と改善のポイント
PDCAサイクルの「Check」では、計画した目標や指標との比較を行い、達成度を評価します。適切なデータを収集して正確に分析することが大切です。
Webマーケティングの達成度評価には、主に下記のような指標が使われます。
指標 | 内容 |
---|---|
アクセス数 | 特定のサイトやページの訪問回数 |
ユニークユーザー数 | 特定のサイトやページを訪問したユーザーの数 |
ページビュー | 特定のページが表示された回数 |
離脱率 | 訪問後に別サイトへ移動したりやブラウザを閉じたりした割合 |
CVR | 商品の購入や申込みなどの目標を達成した割合 |
サイクルを回す頻度は施策によっても異なりますが、下記のように3カ月を1タームとするところから始めてみるといいでしょう。
- 1カ月目:Plan ⇒ Do
- 2カ月目(運用後):Check
- 3カ月目:Action ⇒ Plan…
改善点が特になかった場合は「Action」を飛ばしても問題ありませんが、世の中のニーズは常に変化していくものなので、課題を把握するCheckフェーズは必ず定期的に実施しましょう。
分析に欠かせない無料ツール3選
マーケティングの分析に欠かせないツールを3種類ご紹介します。各ツールでできることを理解して使い方をマスターしておきましょう。
1.Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、基本的な分析指標を網羅的に調べられる基本的なツールです。データの計測や解析結果はサイトの改善に役立ちます。
2.Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、SEO対策に欠かせないツールです。検索ユーザーが使ったキーワードの調査や、掲載順位の測定などができるため、内部・外部対策に活用できます。
3.キーワードプランナー
キーワードプランナーは、検索ボリュームや関連ワードの調査、分析に役立つツールです。SEOの効果測定や施策立案に必須です。
マルチチャネルマーケティングを実践する
複数のチャネルを組み合わせたマルチチャネルマーケティングの実践も重要です。Webサイト、各種SNS、メールなどのチャネルを組み合わせて、多様なユーザーにリーチしましょう。
デジタル化が進んでいる近年のユーザーは、複数のデバイスや様々なアプリ間を頻繁に往来しています。そのため、ユーザーの目に触れる機会が多くなるほど接点が増え、自社のメッセージも一貫して届きます。
ユーザーの行動や反応を多角的に分析すれば、より精度の高いマーケティングを実現することも可能です。
効率的な広告運用を意識する
効果的な広告運用に欠かせないのは予算配分です。ターゲットとなるユーザーの状況や時期的なニーズの変化などを見極めたうえで適切に予算配分することで機会損失を防ぎましょう。
配信先とターゲットの最適化も重要です。例えば、Webマーケティングの目的が「認知拡大」なら、ターゲットの範囲を広くしたほうが効果的です。また「クリック率の向上」が目的なら、広告配信先となるターゲットの詳細な設定が必要になります。
基本的には「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「SNS広告」を軸としながら、複数のWeb施策を組み合わせて成果を最大化していきましょう。
【まとめ】Webマーケティングのポイントを押さえて成果につなげよう
Webマーケティングを始めるのは決して難しくありません。目的を明確にしたうえで現状分析を行えば、自社の課題と取り組むべき施策が見えてきます。
そして、ただ施策を展開するだけではなく、定期的にPDCAサイクルを回して評価と改善を繰り返しましょう。すべての工程を人力で行うのは物理的に難しいので、マーケティング活動やSEO対策に役立つ各種ツールも導入して効率化したいところです。
自社が抱える課題や商品・サービスの特徴をよく分析し、自社に適した戦略を採用して、Webマーケティング施策の効果を最大化させましょう。