企業がビジネスを成長させるために、「人材」の活用が重要であることはいうまでもありません。自社に合った人材を採用し、活躍してもらうことでビジネスは飛躍的に成長していきます。
しかし採用の難易度は年々増しており、深く考えずにとりあえずお金を払って求人サイトに求人を掲載しても、自社に合った人材を採用できるとは限りません。そんな時代において、自社に合った人材を採用するために現在注目を浴びているのが「オウンドメディアリクルーティング」です。
言葉自体は聞いたことがあったとしても、「具体的にどんなものかわからない」「実践の仕方がわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。
そこで本記事では、オウンドメディアリクルーティングの定義や取り組むメリット、また実践の具体的な流れ・手順と成功させるためのポイントを、網羅的に徹底解説します。
オウンドメディアリクルーティングにより自社に合った人材を採用し、ビジネスを飛躍的に成長させたいとお考えであればぜひ本記事をお読みください。
目次
オウンドメディアリクルーティングとは
オウンドメディアリクルーティングとは、「オウンドメディアを活用して自社に合った人材を採用すること」です。
オウンドメディアリクルーティングについて理解するためには、まず「オウンドメディア」について理解しなくてはいけません。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは「自社が所有しているメディア」のことです。「owned(オウンド)」とは「所有している」という意味であり、「media(メディア)」とは「情報発信の媒体」のことです。
自社が所有していることを前提として、オウンドメディアには以下のようなものがあります。
- ホームページ
- ブログやWebメディア
- TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSアカウント
このような自社が所有している情報発信の媒体が、オウンドメディアです。自社が所有しているため、オウンドメディアからは自由に情報発信ができます。
他の採用手法との違い
オウンドメディアリクルーティングは、様々ある採用手法の一つです。代表的な採用手法として、例えば以下のようなものがあります。
- 求人サイト
- 人材紹介
- 求人検索エンジン
人材採用に取り組んでいる多くの企業が、「求人サイト」に求人広告を掲載しています。また「リクルートエージェント」や「doda」などの人材紹介サービスを活用し、エージェントから人材の紹介を受けています。
その他にも、「Indeed」や「求人ボックス」、「スタンバイ」などの求人検索エンジンに無料で求人情報を掲載し、求職者に自社のことを見つけてもらい採用につなげる手法もあります。
これらの手法は、「待ちの手法」といえます。求人サイトや人材紹介サービスに求人情報を渡した後は、求職者に自社のことを見つけてもらい応募してもらうまで待つ必要があるからです。
しかしオウンドメディアを活用したオウンドメディアリクルーティングは、「能動的な手法」です。自社の好きなタイミングで自由に情報発信ができ、また求人サイトに掲載する求人広告のように、発信できる情報に制限があるわけではありません。そのため、自社に合った人材を採用するために必要な情報を漏れなく、自由なフォーマットで届けられます。これは他社との差別化になり、採用優位性を高めることにつながります。
オウンドメディアリクルーティングがなぜ注目されているか
オウンドメディアリクルーティングは近年、注目を集めている採用手法の一つです。注目を集めている理由には、時代的な背景や求職者の価値観の変化など、様々なものがあります。
ここでは、オウンドメディアリクルーティングが注目されている理由を3つ紹介します。
労働市場は売り手市場が続いており、採用において差別化が重要であるため
労働市場は年々、売り手市場の様相を強めています。労働市場における売り手市場とは、「求人数が多く、求職者数が少ない状態」のことです。あらゆる企業が人材採用のために求人を出していますが、求人数に対して求職者が少ない状態であるため、売り手市場の状態とは「採用の難易度が高い状態」であることを意味します。
ただ求人サイトに求人広告を載せただけでは、期待した数の応募を集めることが難しいです。さらに「自社に合った人材」からの応募を集めることはさらに難しいです。
ここでいう自社に合った人材とは、単純に「自社で活躍できそうな人材」のことです。どんな人が自社で活躍できそうな人材であるかについては様々な考え方があるかと思いますが、「採用ポジションの職務を全うする能力(もしくはポテンシャル)があり、自社の目指すところや大切にしている価値観などに共感してくれて、社風と合う人材」は自社で活躍できそうな人材(自社に合った人材)であるといえるでしょう。
このような自社に合った人材からの応募を受けて採用につなげるためには、求人サイトに載せる求人広告のように決められたフォーマットで情報を発信するだけでなく、自社の好きなフォーマットで自由に伝えたいことを伝えることが重要です。そしてそれを実現してくれるのが、オウンドメディアリクルーティングなのです。
情報収集の方法が多様化しているため
スマートフォンの普及やSNSの流行、検索エンジンを経由して世界中のありとあらゆる膨大な情報に自由にアクセスできるようになったことなどが理由で、求職者は様々な方法で情報収集を行うようになりました。
一昔前はテレビや新聞、雑誌などから情報収集を行っていた人々が、インターネットを活用してスマートフォンから情報収集を行うようになり、また若者を中心に、検索エンジンだけでなくSNSから情報収集を行うのも一般的になりました。SNSやWebサイトから誰もが自由に、世界中の人々に向けて情報発信を行えるようになったことにより、情報収集の方法は多様化の一途をたどっています。
このような時代背景がある中で、求職者に自社のことを見つけてもらうための露出・接点の増加のために、あらゆる媒体を活用することが重要であるといえます。その媒体の一つがオウンドメディアであり、オウンドメディアを活用した採用活動(オウンドメディアリクルーティング)を行うことには基本的にメリットしかありません。
当然新たな採用手法に取り組むにあたって時間や労力はかかりますが、特に余裕がある場合は取り組まない手はないといえます。
働き方に関する価値観が多様化しているため
近年、ワークライフバランスという言葉が流行し、仕事に精を注ぎすぎずにプライベートを充実させることを重視し、仕事とプライベートのバランスを取りながら人生を豊かに生きようと考える人が増えました。
それに伴い時短勤務のための制度が多くの企業に取り入れられ、また新型コロナウイルスの影響もありリモートワークで仕事ができる環境も多くの企業で整えられています。
一昔前は、給料や会社規模を特に重視して会社選びを行う求職者が多い時代でしたが、今では働き方の多様化と働き方に関する価値観(何を重視して働くか、働く目的など)が多様化したことにより、個々人の価値観であらゆる判断軸を持って、求職者が会社選びを行うようになりました。
求職者は様々な価値観・判断軸を元に会社選びを行うということを前提に、自社のことをよく知ってもらうためオウンドメディアから様々な切り口で求職者に興味を持ってもらうための情報を発信することで、より多くの求職者に自社のことを見つけて、応募してもらいやすくなります。
オウンドメディアリクルーティングに取り組むメリット
オウンドメディアリクルーティングに取り組むことで、多くのメリットを得られます。ここでは、オウンドメディアリクルーティングに取り組むことで得られるメリットを4つ紹介します。
自社に合った人材を採用できる
オウンドメディアリクルーティングに取り組むことで、自社に合った人材を採用できる可能性が高くなります。
オウンドメディアから自社に合った人材(自社で活躍してくれそうな人材)に向けて情報発信を行うにあたり、主に以下の2点が重要です。
- 自社のことを見つけてもらうこと
- 自社に興味を持ってもらうこと
自社に合った人材とはどんな人材かを定義し、採用ターゲットに刺さるコンテンツ(情報)を発信することで、自社に合った人材にピンポイントでアピールできます。そのようなコンテンツは採用ターゲットに届きやすく、またコンテンツを通じて自社に興味を持ってもらえます。
何度もお伝えしている通り、オウンドメディアからは自由に情報発信ができます。そのため、以下について深く考えてコンテンツを作成し、発信することで自社に合った人材と接点を持ち、応募へとつなげられるようになります。
- 自社に合った人材に見つけてもらうために、どんなコンテンツが必要か
- 自社に合った人材に興味を持ってもらうために、どんなコンテンツが必要か
採用コストを削減できる
オウンドメディアリクルーティングに取り組むことで、採用コストを削減できる可能性が高いです。
採用手法として多くの企業が取り組んでいる「求人サイトに求人広告を掲載する」という手法ですが、多くの人が閲覧する求人サイトに広告を掲載するためには、当然ながら広告費がかかります。広告のみに依存して採用活動を行う場合、広告費の支払いを止めたら自社のことを求職者から見つけてもらえず、その結果応募が入ってこなくなります。
「採用活動において応募を獲得するためには、広告を出さなければいけない」というロジックを前提に採用活動に取り組むと、採用のたびに多額の費用を要することになるため、事業の成果によっては採用活動がストップしてしまうかもしれません。採用活動のストップは、そのまま事業成長の鈍化につながります。
また人材紹介サービスを活用して採用活動を行う場合でも、人材の紹介を受けたり、紹介してもらった人材の採用が決定すると成果報酬料として多額の費用を支払う必要があります。
しかしオウンドメディアから情報を発信して求職者に自社のことを見つけてもらい、自社への興味を喚起して応募へとつなげるオウンドメディアリクルーティングにおいては、情報発信に広告費などの直接的な費用がかからないため、うまく活用できれば採用コストを削減できます。
採用力を強化できる
オウンドメディアリクルーティングへの取り組みを通じて、採用力を強化できます。
ここでいう採用力とは、「自社に合った人材を採用するための、他社と比較した力」のことです。オウンドメディアリクルーティングで成果を出すためには、採用ターゲットを明確にして、ターゲットが自社に興味を持ち「この会社に入りたい!」と思ってもらえるようなコンテンツをいかに発信していくかが重要です。
採用ターゲットの明確化や、ターゲットに刺さるコンテンツの企画・作成、発信を通じて、自社に合った人材をより多い人数採用できる可能性を上げられます。
「自社商品を販売するためにターゲットを明確にして、ターゲットが抱えている課題を解決するために自社商品が効果的であることを伝えて、商品を購入してもらう」というのが「マーケティング」の基本です。そしてこれはオウンドメディアリクルーティングにも当てはまります。
「採用ターゲットを明確にして、どんな情報を届ければ自社に興味を持ってもらえるかを考えて情報を発信し、自社に応募してもらう」ことが重要であり、オウンドメディアリクルーティングへの取り組みを通じて自社の採用力を強化できます。
中長期的に費用対効果が高い
オウンドメディアから情報発信を行い、自社に合った人材を集客するオウンドメディアリクルーティングは、中長期的に高い費用対効果を実現できる手法です。
費用対効果とは「かけた費用に対して、得られた効果がどれくらいか」を示すものです。例えば求人広告の掲載に毎月50万円支払っているにもかかわらず、30万円分の効果しか得られていない(期待した数の応募者を集められていない)場合、費用対効果は20万円分のマイナスになります。
企業が何か施策に取り組むにあたり、この費用対効果は当然ながら重視しなくてはいけませんが、実はオウンドメディアリクルーティングに取り組んでからしばらくは、費用対効果がかなり高い確率でマイナスになります。オウンドメディアから情報を発信して求職者からの応募を集められるようになるまでには、ある程度の期間が必要です。
オウンドメディア、特に採用サイトをまだ持っていない場合は外注などを活用して作る必要がありますし、戦略策定や体制構築、発信するコンテンツ作成には多くの労力・時間がかかります。金銭的な負担のみならず、要した労力や時間も含めた「費用」をかけても、しばらくは応募者が集まらない(「効果」が出ない)ため、短期的には費用対効果がマイナスになります。
しかし自社に合った人材からの応募を集めるために、中長期的に採用ターゲットに向けて情報発信を継続して行うことで、発信したコンテンツ(情報)がどんどん蓄積されていき、GoogleやYahoo!などの検索エンジン経由で多くの採用ターゲットを集客(応募獲得)できます。
オウンドメディアリクルーティングは、取り組み続けることにより中長期的に莫大な集客効果を発揮する採用手法です。そのため短期的に求職者からの応募を集めたい場合は、求人サイトへの求人広告の掲載なども並行して行うのが良いでしょう。いずれにせよ、自社に合った人材を採用するためのオウンドメディアからの情報発信(オウンドメディアリクルーティング)にはできる限り取り組むべきです。
オウンドメディアリクルーティング実践の10ステップ
ここまで、オウンドメディアリクルーティングの定義や注目を集めている理由、また取り組むメリットについてお伝えしてきました。
改めて、オウンドメディアリクルーティングとは「オウンドメディアを活用した採用手法」のことです。オウンドメディアリクルーティングに取り組むことで、採用コストを抑えながら自社に合った人材(自社で活躍してくれそうな人材)を採用できます。
ここでは、オウンドメディアリクルーティングの具体的な実践ステップをお伝えします。ここで紹介する「実践の10ステップ」通りに進めれば、オウンドメディアリクルーティングに取り組み自社に合った人材を採用できる可能性を大幅に上げられます。
弊社シンプリックでは現在、オウンドメディア集客の中でも特に重要な「SEO」に関する無料相談を受け付け中です。プロのSEOコンサルタントがお客様のWeb集客のお悩みに真剣に寄り添い、課題・悩み解決に役立つ情報をご提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
【ステップ1】目的の明確化
まずはオウンドメディアリクルーティングに取り組む目的を明確にするところから始めましょう。とはいえ、オウンドメディアリクルーティングへの取り組みを検討している時点で、すでに目的が明確になっている方も多いかと思います。
目的を明確にするということは、つまり解決したい課題を明確にするということです。オウンドメディアリクルーティングへの取り組みを検討していたり、すでに取り組んでいる企業は「自社に合った人材を採用したい」という思いを持っているはずです。
しかしここで明確にするべき目的とは、「なぜ自社に合った人材を採用したいのですか?」への回答にあたるものです。この問いへの回答は、企業によって様々なはずです。
以下、オウンドメディアリクルーティングに取り組む目的の例です。
- 今期の売上目標を達成するため
- 将来的に自社の中核として活躍してもらう幹部候補を育成するため
- 会社のファイナンス力を強化するため
- システム開発のスピードを上げるため
- 社員数を増やして、会社としてのブランディングを行うため
目的を明確にすることで、「具体的にどんな人材を採用する必要があるか」「そのためにオウンドメディアからどんなコンテンツ(情報)を発信する必要があるか」といったことを決められます。
【ステップ2】採用ポジションの職務と必要なスキルの明確化
オウンドメディアリクルーティングに取り組む目的が明確になったら、次に以下3点を明確にしましょう。
- どのポジションにおいて人材を補充したいか
- 具体的にどんな仕事を任せるか
- 仕事の遂行にあたり、どんな知識・スキル・経験を保有している必要があるか
この3点を明確にすることで、「募集要項」の作成ができます。ポジションごとに募集要項を作成し、オウンドメディアから情報を発信する準備をしておきましょう。
「どのポジションで人材を補充し、どんな仕事を任せて(どんな成果を期待して)、そのためにはどんな知識・スキル・経験を保有しているのが望ましいか」が明確になれば、「誰に向けてこれからオウンドメディアで情報発信を行うのか」が明確になります。この「誰に」というのを定めずに情報発信を行っても、誰にも興味を持ってもらえない、刺さらない情報発信となります。そしてそのような情報は、誰にも届かない可能性が高いです。
【ステップ3】採用目標の設定
次に採用目標を設定しましょう。先ほど「ステップ1」でオウンドメディアリクルーティングに取り組む目的の明確化を行いましたが、「目的」と「目標」は意味が異なります。
目的が「何のために取り組むか」という「理由」であるのに対して、目標は「目的達成のための指標」のことです。例えば「システム開発のスピードを上げるため」という目的を設定した場合、オウンドメディアリクルーティングにおける目標としては「半年以内にWebエンジニアを3名採用する」といったように設定します。
目標は達成できた結果、目的の実現につながっている必要があります。「半年以内にWebエンジニアを3名採用する」という目標が達成できたら、「システム開発のスピードを上げる」という目的の実現ができそうです。
また目標は「数値で期限を切って」設定する必要があります。例えば「Webエンジニアを3名採用する」だと期限が抜けていますし、「半年以内にWebエンジニアを採用する」だと具体的な数値が抜けています。「半年以内にWebエンジニアを3名採用する」といったように、「数値で期限を切って」目標を設定しましょう。
そしてこの目標ですが、「KGI」と「KPI」の大きく2つに分けられます。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)とは「最終目標」のことです。先ほど紹介した例でいうと、「半年以内にWebエンジニアを3名採用する」がKGIにあたります。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは「中間目標」のことです。これはKGI(最終目標)を達成するために複数設定する必要があります。
例えば「半年以内にWebエンジニアを3名採用する」というKGIを達成するために、以下のようなKPIが設定できます。
- 半年以内に採用サイトの募集要項ページに750名に訪問してもらう
- 3ヶ月以内に250名に訪問してもらい、Webエンジニアを1名採用する
- 2ヶ月以内に50名に訪問してもらう
もちろん、KPIは適当に設定してはいけません。KPI(中間目標)を達成できた結果としてKGI(最終目標)を達成できるよう、KPIは根拠を持って正しく設定する必要があります。例えば上記KPIを設定した根拠は、以下です。
↓↓↓↓↓
1名のWebエンジニアから応募してもらうためには、採用サイトの募集要項ページを50名に訪問してもらわなくてはいけない
上記の根拠はあくまで仮のものですが、実際にKPIを設定する際は、「なぜそのKPIを設定したのか」を詳しく具体的に説明できるよう、明確な根拠を持って設定する必要があります。
【ステップ4】採用ターゲットの設定
次に、採用ターゲットを設定します。「【ステップ2】採用ポジションの職務と必要なスキルの明確化」で、以下3点を明確にしました。
- どのポジションにおいて人材を補充したいか
- 具体的にどんな仕事を任せるか
- 仕事の遂行にあたり、どんな知識・スキル・経験を保有している必要があるか
これにより「誰に向けてオウンドメディアから情報発信を行うか明確になる」とお伝えしましたが、ここでは「誰に」の部分をより明確にしていきます。
上記3点を明確にすることで募集要項の作成ができるようになり、どんな人材を採用したいかの「概要」が決まりますが、ここでいう採用ターゲットとは、具体的に「ペルソナ」のことです。
オウンドメディアリクルーティングにおけるペルソナとは「自社に合った人材の理想像」のことであり、ある一人を明確にイメージできるぐらいまで具体的に設定します。以下3つの質問は、採用ターゲット(ペルソナ)の設定に役立ちます。
- あなたの会社で活躍している人材の共通点はなんですか?
- どんな価値観・考え方・行動特性を持つ人材が、あなたの会社では活躍できそうですか?
- 採用するポジションにおいて発生する仕事で成果を出すために、どんな知識・スキル・経験を保有していると有利ですか?
特に、すでに自社で活躍している人材の共通点を抽出することで、採用ターゲットの精度を上げられます。また人材のスペック(保有している知識・スキル・経験、資格など)も重要ですが、会社の社風に馴染めるかどうかも重要です。例えば毎週部署のみんなで飲み会に行くような会社が好きな人もいれば、嫌悪感を示す人もいます。
他にも、学歴や容姿、人生観など、会社によって自由に項目を設定して採用ターゲットの明確化に取り組みましょう。
【ステップ5】自社の魅力を洗い出す
次に、自社の魅力を片っ端から洗い出してみましょう。ある人が求人に応募する際、その裏には必ず何かしらの「魅力を感じたポイント」があるはずです。自社の魅力を今一度考えてみることで、採用ターゲットに求人に応募してもらうために、押し出すべき魅力や発信するべきコンテンツが見えてくるはずです。
また自社の魅力を洗い出すことで、「自社にはこんな魅力があったのか」という気づき・発見を得ることにもつながります。自社の魅力を社内のメンバー自身が気づき、理解することは採用力の強化にもつながります。
【ステップ6】特に押し出す魅力を決める
自社の魅力を洗い出せたら、採用ターゲットに興味を持ってもらえそうな魅力、つまり「特に押し出すべき魅力」を決めましょう。
採用ターゲットによって、どこに魅力を感じるかは異なります。例えば「チャットでのコミュニケーションが活発で、オンラインやオフラインで直接顔を合わせてコミュニケーションを取るよりもスムーズで楽」という点を魅力と感じて洗い出した場合、これは直接顔を合わせずにチャットでコミュニケーションを完結させたい人にとっては魅力となりますが、直接顔を合わせてコミュニケーションを取りたい人にとっては魅力にはなりません。
採用ターゲットのことを第一に考えて、ターゲットに興味を持ってもらえる魅力(特に押し出す魅力)を決めましょう。
【ステップ7】コンテンツの企画
どのポジションにどんな人材を何名補充したいか、また自社のどんな魅力を押し出すことで採用ターゲットの興味を惹きつけ求人応募してもらうかを決められたら、次に「どんなコンテンツ(情報)を発信するか」を決めます。
オウンドメディアリクルーティングに取り組み、採用ターゲットに自社のことを見つけてもらい求人応募を獲得するためには、当然ながらコンテンツの発信が必要です。
発信するコンテンツの種類としては、例えば以下のようなものがあります。
- 募集要項
- 自社が大切にしている価値観
- 商品・サービスについてわかりやすく解説したページ
- 社長メッセージ
- 先輩社員の声(社員インタビュー)
- 教育・研修制度について
- 福利厚生について
- その他、採用ターゲットが興味を持ちそうな記事コンテンツ等
また発信するコンテンツの企画にあたり、以下の2点について深堀り・調査を行うべきです。
- 採用ターゲットが、自社のことを認知してから興味を持ち、求人応募して選考を受け、採用に至るまでの各工程ごとにどんなコンテンツを届けると効果的か
- オウンドメディアリクルーティングに取り組み成果を出している企業が、どんなコンテンツを発信しているか
例えば自社のオウンドメディアに初めて訪れた人に対して、「事業にかける想いや目指すところ」を伝えることで共感を獲得し、会社に興味を持ってもらったうえで他の様々なコンテンツに触れてもらうことで求人応募のアクションを起こしてもらいやすくなるかもしれません。
自社のことをよく理解してもらったうえで求人応募してくれた求職者は、よりスムーズに採用に結びつけられるでしょう。「応募者数を増やすこと」と「そのうち、自社に合った応募者の率を増やすこと」の2点を実現するために、どんな順番でどんな情報を届けるのが良いかを考えながらコンテンツ設計を行いましょう。
またどんなコンテンツを発信すれば良いかイメージが湧かない場合は、オウンドメディアリクルーティングに取り組み成果を出している企業が発信しているコンテンツを参考にすると良いです。
【ステップ8】オウンドメディアの作成
まだオウンドメディアがない場合は、作成しましょう。作成するには以下の3通りの方法があります。
- 外注する
- 自社エンジニアにある程度工数をかけて作成してもらう
- 簡単に作成できるツールを活用し、クイックに作成する
オウンドメディアの作成を外注する場合は、オウンドメディアリクルーティングに強みを持っているWeb制作会社に外注しましょう。リクルーティングに特化したオウンドメディア制作の実績が乏しい場合は、成果の出るリクルーティング特化のオウンドメディア制作ができない可能性が高いです。
ここまでのステップで決めてきた募集ポジションや採用ターゲット(ペルソナ)、押し出す自社の魅力や発信予定のコンテンツ、またオウンドメディアリクルーティングに取り組む目的などを伝えて、目的の実現に効果的なオウンドメディアを制作してもらいましょう。
また社内に十分な工数を割けるエンジニアがおらず、外注費の工面が難しい、もしくは外注費をかけずに社内でクイックにオウンドメディアを作成したいという場合は、専用のツールを活用するのがおすすめです。
オウンドメディアなどのWebサイトをコーディングなしで手軽に作成できるツールは数多く存在しますが、その中でも「engage」は多くの企業が活用している採用サイト制作ツールです。また多少のWebの知識は必要になりますが、「WordPress」を活用して無料もしくは低価で採用サイトを制作するのもおすすめです。
【ステップ9】コンテンツの作成
オウンドメディアが作成できたら、「ステップ7」で企画したコンテンツを作成していきましょう。作成するコンテンツの種類は様々かと思いますが、オウンドメディアリクルーティングにおいて作成するコンテンツは、大きく「ジョブディスクリプション」と「シェアードバリューコンテンツ」に分けられます。
- ジョブディスクリプション:職務内容を記載した募集要項。仕事の内容が具体的にイメージできるもの
- シェアードディスクリプション:会社が大切にしている価値観やビジョンを伝えて、共感を獲得する
自社に合った人材を採用するためには、募集ポジションごとに仕事内容を伝えることはもちろん、会社が大切にしている価値観や考え方、目指しているビジョンなど「共感」を獲得するためのコンテンツを発信することが重要です。
また「シェアードディスクリプション」は、大きく以下の2つに分けられます。
- パーパスコンテンツ:会社の存在価値・意義を伝える
- カルチャーコンテンツ:会社が大切にしている価値観や文化などを伝える
パーパスコンテンツとカルチャーコンテンツを発信して、それらのコンテンツに触れた求職者からの応募を受けることで、採用のミスマッチを軽減できます。「求職者が求めている情報は何で、採用のミスマッチを防ぐためにどんな情報を発信すると良いか」を念頭に、コンテンツを作成して発信しましょう。
【ステップ10】効果測定と改善
オウンドメディアリクルーティングの取り組みにおいて、「効果測定」と「改善」は欠かせません。「ステップ3」で設定した目標(KGIとKPI)に対して進捗を確認し、進捗が悪い場合は何が原因かを考えて改善施策を講じる必要があります。
効果測定のポイントとしては、例えば以下のようなものがあります。
- 最終的な採用数
- 内定を出した数
- 最終選考の実施数
- 求人応募数
- オウンドメディアの訪問者数
- コンテンツ数
そもそも目標(KGIとKPI)の設定ができていなければ、施策の効果が良いか悪いかを判断することができません。適切に効果測定を行い改善を繰り返しながら施策の精度を上げていくためにも、目標設定は必ず行っておきましょう。
オウンドメディアリクルーティングのコンテンツの種類
オウンドメディアから発信するべきコンテンツの種類は、様々です。種類が豊富に存在するからこそ、「どんなコンテンツを発信すれば良いかわからない」と悩む採用担当者、Web担当者もいるでしょう。
ここでは、オウンドメディアリクルーティングで多くの企業が作成しているコンテンツの種類をいくつか紹介します。
募集要項
募集要項とは、採用ポジションについて業務内容や必要なスキル、求める人物像などを記載したもののことです。オウンドメディア内に掲載する場合もあれば、Indeedやその他求人サイトなどに募集要項を掲載する場合もあります。
以下は、楽天グループの会社の募集要項例です。
自社が大切にしている価値観
自社が大切にしている価値観は、会社のミッションやビジョン、バリューなどにより伝えられます。価値観を発信することで、それに共感した求職者からの求人応募が入るようになり、結果として採用ミスマッチの軽減につながります。
以下は、株式会社Legaseedの企業理念ページです。
事業内容についてわかりやすく解説
事業内容を具体的にイメージできないと、「入社してからどんな仕事をすることになるか」「仕事を通して社会にどんな価値貢献ができるか」のイメージもできないでしょう。そのため、事業内容をわかりやすくイメージできるコンテンツを発信するのは効果的です。
以下は、ソニー株式会社が発信している事業内容の解説動画です。
社長メッセージ
会社の代表である社長のメッセージは、求職者の共感を得るのに効果的です。「この人が経営している会社で働きたい」「この人が経営している会社は、きっと素晴らしい会社に違いない」という思いを持ってもらい、採用へとつなげるのに役立ちます。
以下は、トクラス株式会社の社長メッセージのコンテンツです。
先輩社員の声(社員インタビュー)
会社では実際にどんな人が働いているかを知ることで、「この人が働いている会社で働きたい」という動機付けができます。仕事のやりがいや入社の決め手などをインタビュー形式の記事や動画などで発信すれば、「人」を武器に採用力を強化できるでしょう。
以下は、株式会社リクルートの社員インタビュー記事です。
教育・研修制度について
求職者の誰しもが、「自分はこの会社に入って活躍できるのだろうか」という不安な気持ちを多少なりとも持っています。入社してから知識やスキル不足で周りについていけず仕事をうまくこなせないのではという不安の解消や、スキルアップのための機会が用意されていることを伝えるために、会社の教育・研修制度について発信するのは効果的です。
以下は、株式会社オプテージの教育・研修制度を紹介するコンテンツです。
福利厚生について
会社の福利厚生も、多くの求職者が興味を持つポイントの一つです。有給休暇の日数や住宅手当、自己啓発支援、女性の産休・育休に関する制度など、アピールできるポイントはできる限りアピールするべきです。
以下は、株式会社ベネッセコーポレーションの福利厚生コンテンツです。
オウンドメディアリクルーティング成功の鍵は、作成するコンテンツにあり!
本記事では、オウンドメディアリクルーティングの定義や取り組むメリット、また実践の具体的な流れ・手順とコンテンツ例を解説しました。
オウンドメディアリクルーティングを成功させるためには、採用ターゲット(自社に合った人材)に興味を持ってもらい、魅力を感じてもらえるコンテンツを作成することが欠かせません。
弊社シンプリックは、オウンドメディアリクルーティングを成功させるための「コンテンツ作成」に強みを持つ編集プロダクションです。求人応募を集めて採用へとつなげるためのコンテンツ作成にはある程度専門的な知見が必要ですが、弊社はコンテンツ作成のプロが多数在籍しているため、ただ作成するだけでなく「成果が出る」コンテンツの作成が可能です。
コンテンツ作成についても、すぐのご依頼ではなくとも相談やオウンドメディアリクルーティングに関する質問の段階から真剣にお客様と向き合い、価値を提供します。現時点で少しでもコンテンツ作成の外注に興味がある、またオウンドメディアリクルーティングについて聞いてみたいことがあるという場合は、ぜひ一度ご相談ください。