ビジネスを成功させるためには、「ニーズ」と「ウォンツ」が顕在化している「今すぐ客の獲得」が重要です。
しかしオンラインマーケティングの競争が激化し今すぐ客の取り合いが続いている近年では、ニーズとウォンツの両方が顕在化していない「まだまだ客」や片方しか顕在化していない「そのうち客」を今すぐ客に育成することが求められます。(今すぐ客は全体の1%、まだまだ客は80%と言われている)
そこで今回は、見込み客を意識レベル別に見たときの特徴やアプローチ方法について詳しく解説します。意識レベル別のコンテンツ作成手順も具体的に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「まだまだ客」を「今すぐ客」に育てるためのコンテンツ活用は、コンテンツマーケティングの一部です。コンテンツマーケティングについてあまり理解できていない方は、ぜひ以下の記事も併せてお読みください。
コンテンツマーケティングとは?基礎から実践までわかりやすく解説
目次
見込み客の意識レベル
見込み客は、「ニーズ」と「ウォンツ」の度合いに応じて4種類に分類されます。
「ニーズ」とは、何らかの課題点や問題点に対して「何とかしたい」と思う欲求を指す言葉です。「ウォンツ」とは、ニーズを満たすための具体的なサービスや特定の商品を「欲しい」と思う気持ちを指す言葉です。それぞれの意識レベルの違いによって、下図のように分類されます。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.今すぐ客
「今すぐ客」は、商品やサービスをすぐにでも利用したいと考えている顕在的な見込み客です。例えば「突然の結婚式に持参するギフトを探している人」や「家電の故障を直す商品・サービスを利用したい人」などが該当します。
オンラインビジネスでは魅力的なプロモーションを提供して、突発的なニーズにも対応できるようにすることが大切です。急を要するニーズはコンバージョン率が高いというメリットもあります。
2.お悩み客
「お悩み客」は、特定の問題や課題を抱えている潜在的な見込み客です。専門的な知識や解決策を求めているケースが多いため、ウォンツ育成をすれば「今すぐ客」になる可能性があります。
「お悩み客」に対しては効果的な商品やサービスを紹介するだけではなく、価値の提供と共感を重視したアプローチが求められます。
3.そのうち客
「そのうち客」は、将来的に商品やサービスを購入する可能性がある潜在的な見込み客です。現時点で直接的な購買意欲はありませんが、情報収集や検討は行っています。
ビジネスでは「そのうち客」に対して関心を引くコンテンツや情報を提供し、自社の商品やサービスへの興味と信頼を得ることが大切です。
4.まだまだ客
「まだまだ客」は、ニーズとウォンツのどちらも低い見込み客です。商品やサービス自体を知らない、または、名前だけは聞いたことがあるといったレベルと考えていいでしょう。
インターネット利用者の80%前後は「まだまだ客」と言われているため、この層をターゲットにしたマーケティングは大変重要になります。
コンバージョンには時間がかかりますが、継続的なアプローチを行ってニーズとウォンツを刺激することで「今すぐ客」へと育成したいところです。
4種類の区分と見込客へのアプローチ
商品やサービスの購入といった成果、すなわちコンバージョンに直結するのはニーズもウォンツも高い「今すぐ客」です。しかし「今すぐ客」はインターネット利用者の1%程度とも言われているため、獲得の難易度が高く、「今すぐ客」だけをターゲットにしたマーケティング施策だけではすぐに手詰まりとなってしまいます。
そのため中長期的な視点でビジネスの成長を目指すためには、「そのうち客」および「お悩み客」を「今すぐ客」に育成することが求められます。また「まだまだ客」は「ニーズ」と「ウォンツ」の2段階の育成が必要です。
「まだまだ客」と「今すぐ客」それぞれに効果的なコンテンツ活用法
「まだまだ客」と「今すぐ客」の特徴を踏まえ、どんなコンテンツが効果的か詳しく見ていきましょう。
ブログ記事
ブログ記事は、見込み客の興味を引くトピックや情報を提供して関係を深めることのできるコンテンツです。
「まだまだ客」に対しては関心を喚起するだけではなく、製品やサービスの必要性と価値を説明する記事を作成してコンバージョンの可能性を高めます。
「今すぐ客」向けのブログ記事では、問題の具体的な解決方法や製品の主な特徴、利用者の体験談などを提供して購買を促します。
ブログはさまざまなターゲットの関心を維持できるため、多くの企業がコンバージョンの向上に活用しています。
メールマガジン
メールマガジンは、見込み客との直接的なコミュニケーション手段です。
「まだまだ客」に新たな情報や特典を提供すれば、継続的に興味を引くことができます。
一方、「今すぐ客」には、限定オファーや割引クーポンなどの即時的な利益を提供すると、購買意欲を喚起する効果があります。
メールマガジンはターゲットに合わせたカスタマイズが容易なので、ブログや動画などと合わせて活用するといいでしょう。
動画
動画は情報を視覚的に伝える強力なツールです。
「まだまだ客」に対しては認知拡大を図るエンタメ動画や、ユーザーの興味を高めるインタラクティブ動画などを採用するといいでしょう。「今すぐ客」には商品やサービスのデモンストレーションや詳細な説明を行って、購買意欲を刺激します。
動画は短時間でも多くの情報を伝えられるため、見込み客の意識レベルを問わず興味と購買意欲を高めるのに効果的です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、専門的な知識や解決策などを提供して、見込み客の興味と関心を引くコンテンツです。
「まだまだ客」には初心者向けのガイドや用語集などを作成し、自社との接点を作るところから始めます。ダウンロードと引き換えに個人情報を獲得すれば、ナーチャリングにも活用可能です。
「今すぐ客」に対してはホワイトペーパーではなく、即時的な情報や特典を提供できるコンテンツのほうが効果的です。
セミナー
セミナーは「まだまだ客」向けのコンテンツです。初心者向けの話題と合わせて商材に関する深い理解と付加価値を提供すれば、興味と関心を高められます。セミナーは参加者との対話を通じながら、中長期的な関係性を築く大きなチャンスです。
「今すぐ客」は、セミナーよりも迅速に情報を提供できるアクション指向のコンテンツが適しています。セミナーは特定の日程や参加手続きなどが必要となるため、即時性の高いニーズへの対応は困難です。
プレスリリース
プレスリリースは「今すぐ客」に効果的なコンテンツです。新製品の情報や重要なアップデートが主な内容となるため、既存顧客や関心の高い顧客層に向けた訴求が一般的です。
「まだまだ客」に対しては、プレスリリースよりも広範囲で理解しやすいブログ記事や動画コンテンツのほうが適しています。
「まだまだ客」や「そのうち客」を「今すぐ客」に育成することが重要
顧客の購買行動を促進してビジネスを成長させるためには、「まだまだ客」や「そのうち客」の態度を変え制約に導く必要があります。
具体的には、見込み客のレベルに適した情報やオファーを活用することで「今すぐ客」への移行を促します。そのためには、適切なメディアを使ってコンテンツやプロモーションを公開していくことが重要です。見込み客のニーズやタイミングを見極めるだけでなく、コンテンツとメディアの関係性の理解も求められます。
弊社のWebコンテンツ診断サービスでは、見込み客のレベルに応じて「適切な」メディアから「適切な」情報やオファーを届けられているかどうかなど、サイトのアクセス数とコンバージョン数を増やすために適切なサイト運用・コンテンツ発信ができているか診断いたします。プロのWeb集客コンサルタントによる無料相談を受け付け中ですので、興味があればまずはぜひ資料をダウンロードしてサービス内容をご確認ください。
「まだまだ客」や「そのうち客」へのアプローチに効果的なメディア
「まだまだ客」や「そのうち客」へのアプローチには「トリプルメディア」の活用が効果的です。
近年のマーケティングでは、各メディアの相互作用によって見込み客を獲得して「今すぐ客」へと育成するのが主流です。
各メディアの特徴を詳しく見ていきましょう。
アーンドメディア
アーンドメディア(Earned Media)は、ユーザー側から情報発信されるメディアです。SNSやブログ、商品レビューなどが該当します。
アーンドメディアは基本的に、既存顧客や自社商材に対する関心度の高い顧客が自発的に共有するケースが大半です。実際のユーザーから発信される口コミ情報は他のユーザーにとっても信頼性が高く、特に「まだまだ客」や「そのうち客」は、他の顧客体験から興味関心を刺激され、購買意欲を高める可能性が高まります。
ユーザーとの双方向コミュニケーションを図れる点もアーンドメディアの特徴です。シェアされやすい形で自社商材についてのトピックを発信すれば、それがユーザーによって拡散されて思わぬ効果を生むこともあります。
ただし、情報の発信・拡散の主体はあくまでユーザー側になるため、コントロールの自由度はほとんどありません。ネガティブな内容も瞬時に拡散される恐れがあります。
ペイドメディア
ペイドメディア(Paid Media)は、商材を提供する側が費用をかけて情報発信するメディアです。Web広告や動画広告などが該当します。
費用は発生しますが、ターゲットを絞って効率的にアプローチしたり、投稿頻度や投稿内容などをコントロールしたりすることも可能です。即効性も高くコンバージョンも期待できますが、利用を続ける限り費用が発生します。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社のWebサイトや自社ブログなど自分たちが情報発信するメディアの総称です。ターゲットに対して価値のある情報やコンテンツを提供し、興味や関心を喚起します。
情報を発信するタイミングや内容は企業側でコントロールできるため、ターゲット層にカスタマイズしたコンテンツの提供が可能です。ペイドメディアのように継続的なコストもほとんど発生しません。
オウンドメディアの活用については、以下の記事で詳しく解説しています。
見込み客の意識レベルに適したコンテンツの作成方法
ここからは、見込み客の意識レベルに適したコンテンツの作成方法を詳しく解説していきます。
【今すぐ客】向けコンテンツの作成方法
今すぐ客に向けたコンテンツは、アクションを促す効果の高い内容にすることが大切です。ユーザーは購入を決めている状態なので、次のような点を意識しながらコンテンツを作成していきましょう。
- 要点の明確化:キャッチーなタイトルやサブタイトルで、冒頭にコンテンツの主要なポイントと特典を明確に伝えます。
- 簡潔なフォーマット:読みやすい段落や箇条書きを多用して、情報を理解しやすくします。
- エンゲージメントを高める要素の追加:映像や画像、グラフィックなどを組み込むとエンゲージメントが高まります。
- メリットの強調:商品やサービスのメリットと特徴を、具体的な成功事例を交えて説明しましょう。
- 緊急性を演出:限定オファーや特別価格を強調して、行動を促す緊急性を演出します。
- コール・トゥ・アクション(CTA)の設定:具体的な行動を促すための「今すぐ購入」「無料トライアルを始める」などのCTAをコンテンツ内に設定します。
- シンプルなフォームとリンク:わかりやすいフォームとリンクを設置して、ユーザーが簡単にアクションをとれるようにします。
コンテンツ作成後は、A/Bテストなどを通じて最適化と改善を続けましょう。SNSやメールマーケティングを活用してコンテンツを広めることも大切です。
今すぐ客向けコンテンツの具体例
株式会社「雨宮」のオウンドメディアでは、シロアリ駆除の費用を紹介しています。
参照:株式会社雨宮「シロアリ駆除費用の相場はどれくらい?料金が安すぎるとリスクが高まる理由」
キーワードは「シロアリ 駆除 費用」などが想定され、ユーザーは「今すぐにでもシロアリを駆除したい」と考えている「今すぐ客」です。
ここをターゲットに、記事では簡潔に駆除費用の相場を紹介した後で、文中にCTAを設置してスムーズに移行できるようになっています。悪質な業者の事例を紹介した後で自社の施工方法にリンクも貼り、専門性と安全性をアピールしています。
【お悩み客】向けコンテンツの作成方法
お悩み客向けのコンテンツは、問題解決の具体的な方法の提供に焦点を当てましょう。
- 事前のリサーチ:ユーザーの疑問や関心を喚起するトピックを提供するために、キーワードや競合をリサーチします。
- 興味を引くタイトルと導入文:キャッチーなタイトルと興味を引く導入文を使って、ユーザーの興味を引きます。
- 価値ある情報の提供:役立つ情報やインサイトを提供して、ユーザーが新たな知識やアイデアを得られるようにします。詳細な内容にする必要はありませんが、十分な情報は得られるように適度なバランスを意識しましょう。
- アクションに導くアドバイス:ユーザーが行動しやすいアドバイスやステップを提供して購買意欲を高めます。
- 拡散と共有:読者に共有してもらえるよう、InstagramやX(Twitter)などへのリンクを設置します。コメントやフィードバックを募集するのも効果的です。
お悩み客向けコンテンツの具体例
「ディノス」では、寝具バイヤーが厳選した「おすすめ枕8選」の記事を公開しています。
参照:dinos「枕のおすすめ8選をご紹介!寝具バイヤーが自分に合う選び方も解説<2023年度版>」
お悩み客のニーズは「安眠したい」と考えられるでしょう。それを果たすためのウォンツ「最適な枕が欲しい」を満たす内容となっています。
また「安眠したい」というニーズは枕以外の寝具でも満たされる可能性が高いため、記事の最後に「ベッド・寝具・布団のおすすめ特集」も設置してさらなる購買意欲につなげています。各SNSへのシェアボタンやメールマガジンの登録リンクを設置しているのもポイントです。
【そのうち客】向けコンテンツの作成方法
そのうち客向けのコンテンツは、興味に合った情報を提供してニーズを高めながら「今すぐ客」に移行するような内容にします。
- 顧客の悩みを理解:具体的な問題やニーズを理解しましょう。適切な課題を把握できるかどうかが、コンテンツの質を大きく左右します。
- 具体的なタイトルとサブタイトル:キャッチーなタイトルとサブタイトルを使用して、提供する解決策やアプローチを明確にしましょう。
- 問題の説明と共感:顧客の悩みや課題を説明するだけではなく、共感を含めた内容の導入文と本文を書きます。
- 解決策の提案:悩みを解決する具体的な解決策やアドバイスを提供します。専門性と信頼性を提示しながら手段を解説していきましょう。簡潔でわかりやすい文章や箇条書きも活用して、ユーザーが情報をスムーズに吸収できるようにします。
- 事例の共有:成功事例を共有して、同じ悩みを抱えるユーザーに希望と信頼を提供します。
- アクションへの誘導:解決策に基づく具体的なアクションへの誘導を行います。
- コンタクト情報の記載:コンテンツの最後に問い合わせ先の情報を掲載して、必要性が生じた際のサポートを求めやすくします。
そのうち客向けコンテンツの具体例
「新宿西口歯科医院」では、虫歯で悩んでいるユーザーに向けた記事を公開しています。
参照::新宿西口歯科医院「虫歯って放置するとどうなるの?」
導入文で「虫歯の痛みが気になっても放置してしまいがち」「しかし、そのままにしておくのは良くない」と問題の説明と共感をしたうえで、早急な治療の必要性を説明しています。
虫歯治療の必要性を感じても「そのうち」と考えてしまう人は少なくありませんが、記事の最後に「当院の虫歯治療について」のリンクがあるため、「今すぐ客」へスムーズに移行させることができています。
【まだまだ客】向けコンテンツの作成方法
まだまだ客向けのコンテンツでは、初心者や興味を持ち始めたユーザーに価値のある情報を提供します。
- ニーズの分析:価値のある情報や解決策を把握するために、検索意図やキーワード、競合サイトなどを分析します。
- わかりやすい内容:まだまだ客向けのコンテンツは、初心者向けの基本的な情報が主体です。内容が難解だと離脱を招きます。専門的な用語や概念は簡潔に説明しましょう。用語集を作成するのも、ひとつの方法です。
- ビジュアル要素の活用:イラスト、グラフ、チャートなどのビジュアルを活用して情報を視覚的に伝えます。クイズやアンケートといった双方向型の要素を組み込んでもいいでしょう。
- 質問への回答:「よくある質問Q&A」形式のコンテンツを作成して、疑問をわかりやすく解決します。
- 関連情報への導線:関連するコンテンツやリソースへのリンクを提供して、まだまだ客の学習や深掘りをサポートします。
- フィードバックの受け付け:ユーザーからのフィードバックを受け付けて、改善やカスタマイズの方向性を確認します。
まだまだ客向けコンテンツの具体例
「ソフトブレーン」株式会社では、自社運営のメディアでSFAに関する初心者向けの記事を公開しています。
参照:eセールスマネージャーRemix「SFAとは?CRM・MAとの違いや導入時のポイントを解説」
イラストやグラフを多用して初心者にもわかりやすく解説しているのがポイントです。また、「よくある質問」や「お問い合わせフォーム」を設けて「まだまだ客」が情報を深掘りできるようサポートしています。
見込み客の意識レベル別コンテンツの作成が成功のカギ
顧客の意識レベルは、興味の度合いに大きな影響を与えます。マーケティングで成功するために、意識レベルに適したコンテンツを提供できるようにしましょう。
適切なトーンや情報と深さでコンテンツを調整すれば、見込み客を段階的に育ててコンバージョンへと導くことができます。
「効果的に見込み客を育成していきたいけれど、社内のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ弊社シンプリックの無料相談をご活用ください。弊社クライアントおよび弊社自身の成功事例をもとに、お客様が今取り組むべきことをお伝えし、弊社がどのような支援をできるかご説明させていただきます。
シンプリックのSEO事業全体を監修。海外のマーケティングカンファレンスにも足を運び、最新のSEOおよびコンテンツマーケティング動向に精通。「競合が少なくコンバージョンを生み出せるキーワードの選定」「読みやすくロジカルな記事コンテンツの監修」を得意としています。
【実績】2005年に設立した株式会社ブルトア(サクラサクマーケティング株式会社)では、多数のクライアント、パートナー企業の検索エンジン集客に貢献し、SEO事業を年商7億規模に伸張させる。その後、設立した株式会社シンプリックでは、自社の海外通販事業を検索エンジンからの集客により2年で月商3000万規模に拡大。