オウンドメディアは、うまく活用すれば、中長期的にブランディング効果やリード獲得が見込める集客資産となります。しかし、その費用対効果をどのように評価すべきか悩む企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、オウンドメディアにおける費用対効果の考え方や指標、費用対効果を高めるための運営のポイントを徹底解説します。
これからオウンドメディアを始める方や、既存の運営を見直したい方に向けた実践的な内容です。
目次
オウンドメディアにおける費用対効果は目的によって大きく異なる
オウンドメディアの費用対効果は、企業が設定する運用目的によって評価の軸が大きく変わります。企業がオウンドメディアを運用する目的はそれぞれ異なり、主に以下のような目的が設定されることが多いです。
- リード獲得
- 売上貢献
- 認知拡大・ブランディング
- 採用活動
たとえば、リード獲得を目的とする場合「どれだけの見込み客をどれくらいのコストで獲得できたか」が重視されます。一方、認知拡大を目的とする場合はPV数や指名検索数などが評価されます。このように、目的ごとに見るべき評価指標が異なる以上、費用対効果の測り方も一律ではありません。
また、オウンドメディアは成果が出るまでに一定の時間を要するのが特徴です。運用初期は、成果が出ず費用だけがかかる可能性が高いですが、中長期的に運用を続けることでコンテンツが蓄積され、費用対効果が改善していきます。そのため、オウンドメディアの費用対効果を正しく評価するためには、運用目的や運用フェーズを整理することが大切です。
「そもそもオウンドメディアとは何?」という方向けに、以下の記事で詳しく解説しています。
成果につながるオウンドメディアとは?立ち上げ方を解説
オウンドメディア運用にかかる主な費用

適切な予算管理と費用対効果の最大化のためには、オウンドメディアを運用する際に必要な費用項目を明確に把握することが大切です。このセクションでは、主な費用項目とその詳細を解説します。
初期構築費用
オウンドメディアの立ち上げ時に発生する費用には、Webサイトのデザイン・コーディング費用やドメイン取得費用、CMS(コンテンツ管理システム)の導入費用が含まれます。テンプレートを利用して自社で構築する場合は、比較的低コストで済みますが、オリジナル性を重視する場合は一定の初期投資が必要です。
コンテンツ制作・運用費用
運用フェーズでは、サーバーの維持費とコンテンツ制作費用が継続的に発生します。維持費には、WebサーバーやCMSの月額利用料、セキュリティ対策関連の費用が含まれます。また、SEOツールやデータ分析ツールなどを導入する場合、これらのサブスクリプション費用も加味しなければなりません。
また、記事や動画、インフォグラフィックなどの制作費用も発生します。社内で制作する場合は、ライティングやデザインにかかる人件費、外部パートナーへの委託する場合は外注費用がかかります。自社内で対応するか、外注を活用するかで費用も大きく変動するでしょう。
広告費(必要に応じて)
オウンドメディアへの流入を促進するために広告を活用する場合、リスティング広告やSNS広告の費用も発生します。オウンドメディアのみでは成果が出るまでに時間がかかるため、初期段階で広告を併用することは選択肢の一つです。特定のコンテンツの露出を強化したい時などにも有効でしょう。
これらの費用項目を事前に把握し、適切に管理することで、オウンドメディアの運用をスムーズに進めることが可能です。
【目的別】オウンドメディアの費用対効果を測る指標

オウンドメディアの費用対効果は、運用目的によって評価すべき指標が異なります。リード獲得、売上貢献、認知拡大といった目的ごとに適切なKPIを設定しなければ、正しい効果測定はできません。ここでは、目的別に費用対効果を判断する代表的な指標を整理します。
リード獲得を目的とする場合
リード獲得を目的とするオウンドメディアでは、「どれだけの見込み客を、どの程度のコストで獲得できたか」を軸に費用対効果を評価します。代表的な指標がCPL(リード獲得単価)です。CPLは1件のリードを獲得するのにかかった費用を指します。
| 計算式: CPL = 総費用 ÷ 獲得リード数 |
たとえば、オウンドメディアの運用に月間100,000円を費やし、20件のリードを獲得した場合、CPLは5,000円になります。
CPLとあわせてCV数やCVRを確認することで、流入経路からリード獲得までの効率も把握可能です。たとえば、CVRが高い流入経路を特定して次の企画で活用、CVRが低いページはコンテンツ内容や導線の課題を発見して改善に活かすことで、成果を向上させられます。
売上貢献を目的とする場合
売上貢献を目的とする場合の代表的な指標は、ROAS(広告費用対効果)やCPA(顧客獲得単価)です。
| ROAS(広告費用対効果):広告費に対してどれだけの売上を得られたかを示す 計算式: ROAS = 売上 ÷ 広告費 × 100 |
| CPA(顧客獲得単価):1件の顧客を獲得するのにかかった費用を示す 計算式:計算式: ROAS = 売上 ÷ 広告費 × 100 |
ROASは広告活用時の重要な指標で、CPAはリードが顧客に転換するまでの費用効率を評価できます。
また、BtoB商材などではLTV(顧客生涯価値)も重要な指標です。LTVは顧客が取引期間中にもたらす利益を表し、中長期的な視点を持つオウンドメディアにおいては評価軸に含めた方が良いでしょう。
オウンドメディアを使ったマネタイズ方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
オウンドメディアのマネタイズ方法を紹介!手順と成功させるポイントを解説
認知拡大を目的とする場合
認知拡大を目的とするオウンドメディアでは、直接的な売上よりも接触機会を生み出すことが成果指標となります。代表的な指標はトラフィック数やPV数で、あわせてPV単価を見ることで費用効率を把握できます。
| PV単価:サイトのトラフィックに対するコストを示す 計算式: PV単価 = 総費用 ÷ ページビュー数 |
また、エンゲージメント率やSNSシェア数は、ユーザーがコンテンツにどれだけ興味を示しているかを測る指標です。特に指名検索数の増加やSNSでの拡散は、認知拡大やブランディングを判断する重要な材料となります。
他のマーケティング施策との費用対効果の比較
オウンドメディアの費用対効果を図るうえで、他のマーケティング施策との比較も効果的です。それぞれの施策が持つ特徴や費用対効果を知ることで、自社にとって最適な選択が見えてきます。
オウンドメディア vs Web広告
Web広告は短期間での認知度向上や特定のターゲット層へのリーチが可能な点が強みです。ただし、運用するための費用が継続的に必要であり、広告出稿を停止すると効果も止まります。一方で、オウンドメディアは初期投資が必要ですが、作成したコンテンツが検索エンジンに評価されることで中長期的に成果を生み出し続けます。このように、広告は即効性が高い一方で、オウンドメディアは長期的な資産形成に優れています。
オウンドメディア vs SNSマーケティング
SNSマーケティングは拡散力が高く、多くのユーザーに短期間でリーチできる点が強みです。また、ユーザーとの直接的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することも可能です。しかし、SNSプラットフォームのアルゴリズム変更やアカウントの凍結など、外部要因による影響を受けやすいデメリットもあります。オウンドメディアは、プラットフォーム依存が少なく、自社の資産として独立性を保てるのが大きなメリットです。
このように、それぞれの施策には独自の導入メリットがありますが、オウンドメディアは中長期的な戦略において、安定した集客とブランド価値の向上に貢献します。
オウンドメディアの費用対効果を高めるために必要なこと

オウンドメディアの費用対効果を高めるには、「効果(成果)を上げる」「費用を削減する」の2つの側面からのアプローチが必要です。ここでは、費用対効果を高めるための実践的なポイントを解説します。
1.成果から逆算して戦略を設計する
オウンドメディアにおいては、売上やリード獲得、認知拡大などの成果を明確にし、そこから逆算して運用戦略を設計することが大切です。たとえば、リード獲得が目的であれば、CVにつながりやすいテーマやキーワードを優先して設計する必要があります。
目的が曖昧のまま進めてしまうと、不必要なコストがかかってしまう可能性もあり、費用対効果の向上にはつながりません。まずはじめにKGI(重要目標達成指標)と中間目標であるKPI(重要業績評価指標)を明確に設定して、戦略に落とし込むようにしましょう。
KGI・KPIについては、以下の記事で詳しく解説しています。
オウンドメディアのKPIを一挙紹介!適切な設定方法と達成のポイントを解説
2.SEOに取り組む
SEOは、オウンドメディアの費用対効果を高める重要な施策です。
SEOでは、ユーザーの検索意図を理解したキーワードの選定と、価値のある情報を提供するための高品質なコンテンツの作成が求められます。ただし、リソースには限りがあるため、コンテンツ制作に優先順位をつけることが重要です。具体的には、以下の要素を考慮して優先順位を決定します。
- 検索ボリュームが多いキーワード
- ターゲット層が直面している課題や悩み
- 企業の強みや専門性を活かせるテーマ
SEOに取り組んでコンテンツが上位表示されるようになれば、広告などにコストをかけずに安定したトラフィックの獲得が可能です。
SEO対策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
コンテンツSEOとは?メリットや手順を徹底解説!
SEOキーワードの選定方法をどこよりもわかりやすく解説!
3.既存コンテンツのリライトを行う
オウンドメディアは、中長期的に蓄積されるコンテンツが大きな資産となります。新規コンテンツ制作だけでなく、既存コンテンツの更新やリライトを行うことで、過去の資産を有効活用できます。
リライトは一から新規コンテンツを制作するよりコストを抑えやすく、費用対効果が高い点も特徴です。情報が古いコンテンツや検索意図とズレが生じているコンテンツは優先的にリライトを行いましょう。これにより、検索エンジンでの評価が継続的に向上します。
4.AI活用やコンテンツ再利用で工数を減らす
オウンドメディア運用は多様な業務が発生し、工数が増大しやすいです。コスト削減のためにAIを有効活用しましょう。KWの分析や構成案・コンテンツの作成などにAIを活用することで、制作時間を大幅に削減できます。ただし、AIにすべてを任せるのではなく、コンテンツの質が下がらないよう、人の目で文章確認や事実確認を行うことが大切です。
また、コンテンツのリパーパス(再利用)もコスト削減に有効です。たとえば、コンテンツを動画化やホワイトペーパー化して配信・提供すれば、一つのコンテンツから複数の成果を得られるようになります。
5.ツールを活用してデータを分析する
効果的なオウンドメディア運営には、データに基づいた意思決定が欠かせません。Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどで分析ツールを活用することで、流入経路やCVR、検索クエリなどを把握できます。
これらのデータを分析し、成果を上げているコンテンツと改善が必要なコンテンツを特定して、次の施策に活かして仮説検証を繰り返すことが重要です。
6.長期運営に適した体制を構築する
オウンドメディア運用はすぐに成果がでる施策ではないため、長期的に運用できる体制づくりが大切です。業務が偏ったり属人化してしまうと、質の高いコンテンツを継続して提供することが難しくなります。
長期的な資産化を実現するためには、専任のチームや外部パートナーの活用が重要です。また、リソース配分を最適化し運用ルールや制作マニュアルを整備して、継続的に運営できる仕組みを構築しましょう。
内製と外注の費用対効果比較
オウンドメディアにおいて、内製と外注のどちらの費用対効果が優れているかは、企業のリソースや運用フェーズによって異なります。
| 比較項目 | 内製運用 | 外注運用 |
|---|---|---|
| 初期コスト | 採用・教育コストがかかる | 比較的抑えやすい |
| 運用開始まで | 体制構築に時間がかかる | すぐに運用を開始できる |
| 専門性 | 担当者のスキルに依存 | SEO・編集の専門知見を活用できる |
| 運用工数 | 社内リソースを圧迫しやすい | 工数を大幅に削減できる |
| ノウハウ蓄積 | 社内に残りやすい | 社内に残りにくい場合がある |
| 中長期の費用対効果 | 体制が整えば高くなりやすい | 短期で成果を出しやすい |
内製運用は、ノウハウが社内に蓄積されやすく、中長期的に見ればコストを抑えられる点がメリットです。一方で、立ち上げ初期は人材の採用や育成に時間とコストがかかり、成果が出るまでに時間がかかるケースも少なくありません。外注を活用すれば、専門知識を持つ人材に任せられるため、短期間で成果を出しやすく、社内工数を抑えられます。ただし、継続的な委託費用が発生する点は考慮が必要です。
そのため、運用初期では外注で成果を出しつつ、安定してきたら業務の一部を内製化、自社に十分なノウハウが蓄積されたら完全内製化など、運用フェーズで内製と外注を使い分けると良いでしょう。
オウンドメディアの外注については、以下の記事で詳しく解説しています。
オウンドメディアの外注は必要?業務範囲や費用相場、選定ポイントを紹介
シンプリック支援によるオウンドメディアの成功事例
当社では、特定業種のDX支援を行う企業のオウンドメディア運用を支援しました。導入前は「どのキーワードを対策すべきか分からない」「コラムからの流入や自然検索からのCVが少ない」といった課題を抱えていました。
そこで、関連キーワードを軸にした内部施策コンサルティングを実施し、コンテンツ対策として月に一定本数の記事を継続的に公開しました。あわせて、ヒートマップを施策に活用した結果、支援開始から1年でコラムの自然検索流入数は約2倍に増加。コラム経由のCV数も約7倍に増加し、回遊率の向上にもつながりました。当社の支援を通じて、セッション数・CV数ともに安定して成果を生み出すオウンドメディアへと成長しています。
伴走型支援による課題解決
当社の特徴的な支援内容の一つが「伴走型支援」です。お客様とコミュニケーションを取りながら一緒に課題を分析し、具体的な改善プランを設計します。施策の実行から効果測定、改善提案までのプロセスを一貫して支援します。単なるコンテンツ制作に留まらず、継続的に成果を生み出す運営体制の構築までサポートできる点が当社の強みです。
質の高いコンテンツ制作
当社は質の高いコンテンツ制作を得意としています。SEOの知見を持つライター・編集者が連携し、検索意図を踏まえた記事を制作することで、検索エンジンからの安定した流入増加を実現します。さらに、コンテンツのテーマ選定から投稿スケジュールの管理まで一貫してサポートし、無理のない体制で効率的にオウンドメディアを運営できる点も当社の特徴です。
オウンドメディアの費用対効果を最大化するために
オウンドメディアは、短期的な効果を狙う広告とは異なり、中長期的に企業の資産として活用できる重要なマーケティング手法です。その費用対効果を最大化するためには、明確な目標設定、質の高いコンテンツ制作、そしてデータ分析に基づく改善が欠かせません。
また、これらの施策を長期的に安定して継続するための体制づくりも重要です。自社だけでの運用が難しい場合、外注を活用することで専門家の知見を取り入れ、費用対効果を高める選択肢も有効です。オウンドメディア運用に課題を感じている方は、ぜひ一度シンプリックへご相談ください。
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