なぜインバウンドマーケティングに力を入れるべきか|コンテンツマーケティングとの違いやメリットを解説

 どの業種の企業にとっても、インバウンドマーケティングは重要な施策となっています。2020年からはじまったコロナウイルスの蔓延もそれを後押ししています。「見込み客が自ら問合せをしてくる」状況を作り出すことができれば、商談はスムーズに進み、クロージングのハードルも低くなります。

 本記事では、インバウンドマーケティングが重要となってきた背景とメリットを解説するとともに、インバウンドマーケティングにはどのような手法があるかを紹介します。そして、弊社自身も効果を強く実感しているコンテンツマーケティングの導入メリットについて述べていきたいと思います。

インバウンドマーケティングが重要となってきている背景

 インバウンドマーケティングとは、将来的に顧客となる可能性があるユーザーにとって、有益な情報発信を行うことで、自社の商品・サービスに興味を持ってもらい、顧客へと育成していくマーケティング手法です。

 反意語にアウトバウンドマーケティングがあります。インバウンドマーケティングがユーザーや顧客のアクションを起点とするのに対し、アウトバウンドマーケティングでは、自社から電話やダイレクトメールなどのアクションを起こし、顧客の購買意欲を高めます。アウトバウンドマーケティングはプッシュ型、インバウンドマーケティングはプル型とも呼ばれます。

 インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの最大の違いは、顧客側から問合せなどのアクションを起こすため、企業側の営業活動が非常にスムーズに進められる点にあります。

 また、ユーザーは、スマートフォンの高度化やSNSの乱立により、日々情報の洪水にさらされています。くわえてテレビやタクシー、SNSといった各種メディアでは常に広告を浴びています。そのため、押しつけられる情報に対しては、警戒感を示しますし、疲れているという状況もあります。

 そして、もうひとつコロナウイルスによる仕事環境の変化も大きく影響をもたらしています。まず、リモートワークが一般化したことで、アウトバウンドマーケティングの1手法である電話による営業の効率が悪くなりました。オフィスに担当者が出社していないことも増え、電話をかけてもつながらないのです。「飛び込み」など訪問型の営業も同様です。

 このような点から、インバウンドマーケティングの有効性が高まっています。

インバウンドマーケティング導入の3つのメリット

 インバウンドマーケティングのメリットを整理すると以下の3つになります。

 1. 見込み客からのアクションをもとに購買検討がはじまるため、営業効率が高い

 2. 制作したコンテンツが長期的に集客に寄与するため、費用対効果が高い

 3. 属人的な営業(セールス)に頼らず、仕組み化できる

インバウンドマーケティングにはどのような手段があるか

 インバウンドマーケティングには、以下のように複数の手段があります。「インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングの違い」がよく議題にあがりますが、コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの1手法になります。

インバウンドマーケティングアウトバウンドマーケティング
コンテンツマーケティングテレマーケティング(電話営業)
SNSマーケティング(画像、動画)飛び込み(訪問営業)
メールマガジンフォームDM
ダウンロードコンテンツ提供(ホワイトペーパーなど)チラシ投函
セミナー・ウェビナーダイレクトメール
などその他広告全般

コンテンツマーケティングの導入はなぜおすすめなのか

 コンテンツマーケティングとは、オウンドメディアでの記事コンテンツによる情報提供だけに限りません。SNSでの写真や動画の投稿もコンテンツマーケティングの1つです。ここでは「記事コンテンツ発信によるコンテンツマーケティング」のメリットを解説します。

1. 自ら「検索」というアクションを行う良質な潜在顧客を連れてこれる

 検索行動は、能動的なアクションです。ユーザー自ら検索窓にキーワードを入れ、目当てのモノや情報を探します。検索行動の中で、有用と思える情報を見つけると、その発信者である企業に興味を持ちます。具体的には以下のようなアクションを取ります。

  • スマートフォンでスクリーンショットを取る
  • ブラウザのブックマークやお気に入りに登録する
  • 企業の公式SNSアカウントをフォローする
  • 企業が発信するメルマガに登録する
  • SNSで情報を共有する

 もちろん、初回の検索行動で、購入や問合せなどのコンバージョンに至るケースもありますが、それらのケースでは発信者である企業やブランドが既にユーザーによく認識されている場合です。

 はじめてキャンプに行くシーンを考えてみて下さい。テントや寝袋が必要ということで、「テント 初心者」や「寝袋 おすすめ」などのキーワードで検索をしたり、インスタグラムで「キャンプ道具」「コールマンテント」などのハッシュタグ検索をしたりするでしょう。ここでは「コールマン」というブランド名が既に想起されています。企業側のマーケティング活動により、企業イメージや商品ラインナップ、特徴などが伝わっている状況です。このようなブランディングが浸透している企業やブランドの商品は、初回の検索行動がすぐに成約に結びつくケースもありますが、はじめて接触する企業や商品に対して、ユーザーは慎重な姿勢で情報収集を行い、購買の検討を行います。

 記事コンテンツ発信によるコンテンツマーケティングは、商品やサービスの認知がそこまで浸透していない中小企業・ベンチャー企業にとっても、有効な見込み客獲得の手段です。ただし、ナーチャリングと呼ばれる顧客育成が必要であることを前提に、コンテンツマーケティング活動を設計していく必要があります。

2. 制作したコンテンツが資産となり恒常的に来訪ユーザーを獲得できる

 記事コンテンツの公開を続けていくと、蓄積するコンテンツは恒常的にユーザーを連れてくる資産となります。弊社では「集客資産になる」という説明をしていますが、掛け捨て型の広告と大きく異なる点です。

 弊社自身も2020年1〜3月に自社Webサイトにて、コラムの公開をはじめました。当初は20本のコンテンツを制作・公開しましたが、安定して毎月5〜10件の有効な商談を生み出しています。この20本のコンテンツ制作に費やした費用は、社内の人件費も含めて100万円程度。1つのお問合せが1000万円以上の発注につながったケースもあるため、費用対効果という面でも非常にコストパフォーマンスが高いことを実感しています。

 制作したものを放置していても、安定した集客を見込めるということではありませんが、定期的に情報のメンテナンスや追加などのリライトを行うことで、検索順位の維持を図ることはできます。また、コンテンツを外注している場合は、リライトなどコンテンツのメンテナンスに外注費用を払うメリットが十分にあると言えます。

3. 自社独自のマーケティング方法を見出せる

 記事コンテンツの公開により、「問合せが生まれ、商談が進み、成約に至る」というプロセスを体験していく中で、ペルソナや顧客像が明確になるということも、コンテンツマーケティングの魅力です。

 特に、商品・サービスの販売をはじめたばかりのときは、想定しているペルソナやターゲットに確信が持てないでしょう。コンテンツマーケティングというプル型のマーケティング活動を進めることで、どのようなユーザーが顧客となり得るのか、自社商品のどんなところが興味喚起につながっているか、というところが浮かびあがってきます。このようなプロセスを通して、ランディングページなどの広告素材でアピールすることを軌道修正できたり、広告の配信ターゲットを是正できたりということにもつながります。

 また、プッシュ型と言われるアウトバウンドマーケティングでは、いわゆる営業力のあるチームメンバーが必要です。断られてもめげないメンタルを持ち、顧客視点に立った充実したコミュニケーションができる優秀な営業パーソンをどの企業も必要としています。ただし、そのような人材を採用したり育成したりすることは簡単ではありません。

 インバウンドマーケティングの1手法であるコンテンツマーケティングにより、新規顧客の獲得を確立できれば、優秀な営業パーソンの存在がなくても、クロージングまでの営業活動を設計できる可能性があります。

 「どのように新規の顧客を獲得するか」という営業の仕組み化は、企業の成長に欠かせない課題です。あまり声高に主張されていませんが、私は、コンテンツマーケティングの導入は企業の営業活動に新たな可能性が見いだせる手法だと考えています。

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