「検索結果(サープス)を分析する際、どこに注目したら良いか分からない」シンプリック社内でも新人メンバーからよく疑問にあがるトピックです。弊社はコンテンツの制作を請け負っていますので、まずは競合他社のコンテンツをもとに、どのような見出しが必要なのか洗い出しを行います。 以下Search Engine Landの記事「How to analyze Google’s SERPs」でも言及されていますが、”網羅性”と”差別性”の両面をおさえることが必要です。”差別性”とは、単純に他社が取り上げていない内容を掲載するということにとどまりません。読者の理解を助けるために視覚的な要素、概念図や整理された表を用意することもその一つ。論旨や展開、順番を変えることもまた一つの要素です。 SEARPs(サープス)分析をどのように進めればよいか参考になれば幸いです。 |
SEOには、多くの構成要素があります。
どのようなコンテンツを用意するか、どのキーワードを狙うか、Googleの検索結果の特徴に合わせた対策、外部リンク対策、そして競合についての対策を考える必要があるのです。
クライアントから特定のキーワードで上位を獲得できるか尋ねられると、私はすぐにSERPs(Search engine results pages:検索結果ページ)の分析を行います。
GoogleのSERPsを分析しなければ、そのキーワードでのランクインがどれほど難しいかわかりません。
もし、基本的な分析を行っていなければ、上位表示の見込みがないキーワードにすべてのリソースを注ぎ込み、SEOを失敗させることになるかもしれません。
「そもそもSEOについてあまり理解できていない」という方は、以下の記事も併せてお読みください。
【2023年最新・完全版】SEO対策とは?初心者向けに「どこよりも」わかりやすく解説!
目次
SERPs(検索結果ページ)分析とは
では、SERPs分析とはどのようなことを指すのでしょうか。
SERPs(検索結果ページ)分析とは、目的のキーワードで上位表示されているページを分析し、そのキーワードでの上位表示の機会を見つけ、検索結果の上位に到達するための方法を突き止めることです。
SERPs分析では、以下のことが要求されます。
- 対象のキーワードで検索する
- 上位のサイトを評価する
- そのキーワードが自分のサイトと関係があるかどうかを判断する
- そのキーワードで上位表示できるか判断する
しかし、このリストの最後の項目「上位表示できるかの判断」は簡単なことではありません。
なぜなら、ほとんどの場合、競合他社は順位を維持するために日々懸命に努力しているからです。
Google SERPs(検索結果ページ)の分析方法
どのようにGoogleのSERPs(検索結果ページ)を分析すれば良いか学ぶことで、キーワードの検索意図(インサイト)をつかむ力、また該当キーワードでランクインさせる力を養うことができます。また、同時に以下のことにも気づけるでしょう。
- 検索上位を取れる可能性のあるキーワード
- 競合他社が見逃しているビジネスチャンス
- コンテンツのアイデア
- その他
SERPsを手動で調べることもできますが、競合性のある多数のキーワードの多岐にわたる要素(ページのリンクプロファイル、外部バックリンクの数など)を調べるためのツールが必要です。
この目的のためには、以下のようなツールの利用がおすすめです。
これらのツールで特定のキーワードを調べると、上位に表示されているページに関する豊富な情報を得ることができます。例えば、Ahrefsで「SEO」を検索してみると、以下のように表示されます。
Search Engine Landで公開されているWhat is SEOは、「seo」の検索結果で2位にランクインしており、以下のような統計が表示されています。
このキーワードでの上位獲得は非常に難しく、上位表示のためには「高額な予算」「多方面からの高い評価」「多数のバックリンク」がなければ、現実的ではないでしょう。
SERPs分析では、次のような他の要素に注目することが重要です。
- 検索意図(インテント)
- ランキングされているコンテンツの種類
- 競合他社
検索意図の理解と分類
実際に検索を行い、検索結果から訪れるページのレイアウトや種類の違いを見ていくことで、どのような検索意図があるクエリなのか判断することができます。
以下のいずれかに検索意図を分類することができます。
- コマーシャルクエリ(商用キーワード):購買を決定する前に調査しているユーザー
- インフォメーショナルクエリ :問題の解決策を見つけようとしているユーザー
- ナビゲーショナルクエリ :すでに知っているブランドやWebサイトを探しているユーザー
- トランザクショナルクエリ :商品やサービスを購入しようと考えているユーザー
これらの4つのクエリタイプをもとに、「SEO」というキーワードの検索結果を見ていくと、上位の検索結果はいずれも「SEOに関する情報」を提供することを目的としている記事のため、「SEO」というキーワードで検索するユーザーには、情報(インフォメーション)を提供するコンテンツを用意する必要があることがわかります。競合他社よりも上位にランクインするためには、SEOに関する充実した情報提供を行い、ユーザーに必要な情報を得てもらうことでしょう。
キーワードを「SEO 本」に変更した場合、購入を目的としたトランザクショナルクエリのため、多数の書籍が扱われているAmazonが検索結果に表示されるでしょう。
しかし、キーワードを「SEO 本 amazon」に変更した場合、ユーザーはAmazonの中でSEOの本を探しているため、ナビゲーショナルクエリとみなされます。
検索意図は、あなたが提供するコンテンツを決定する重要な要素です。
- ページレイアウト
- ページ内のナビゲーション
- パーソナライズ(ターゲットが見やすいか・理解しやすいか)
- サイトへのアクセスに使用される一般的なデバイス
検索意図が把握できたら、上記のようなサイトの技術的側面、UI/UXデザイン、コンテンツに目を向け、対策を進めることができます。
検索結果ページの傾向とパターン
多くの場合、特定のキーワードでランキングされているコンテンツには傾向があります。「SEO 本」というキーワードに話を戻すと、ランキングされているコンテンツの種類には複数の傾向があります。
- Eコマースストア
- 本をいくつも紹介するリスト記事
- 本の選び方
- 書評
このキーワードは、「SEO」単一キーワードでの上位表示よりもはるかに上位を獲得しやすく、このキーワードで検索する人のニーズに合わせて、上記のようなタイプのコンテンツを作成することが可能です。
SERPs分析を行うと、現在上位表示されている競合ページより、どのようなコンテンツが有効かを知ることができるため、ゼロベースで企画をする必要がありません。ひょっとしたら、SEOに関する人気書籍のビデオガイドを作成し、リスト記事やレビュー記事のように検索意図を満たすことで、上位表示ができるかもしれません。
ほんの数分のSERPs分析から、以下のような多くの情報を得ることができます。
- キーワードの難易度
- バックリンクプロファイル
- 検索意図
- 作成すべきコンテンツのアイデアや種類
たとえば、あるキーワードで動画が優先的に上位表示されていることを発見し、YouTube経由でのトラフィックを狙うという判断ができるかもしれません。キーワードによっては、情報系の記事コンテンツよりも、フィーチャードスニペット(検索結果に直接表示される説明)や動画の方が検索結果の上位に表示されやすいのです。
コンテンツ作成に活用できるSERPsのパターンは覚えておきましょう。
- 通常のランキング
- 商品の優先表示(Google ショッピング)
- 同じクエリを検索している人がよくする質問
- フィーチャードスニペット(強調スニペット)
- 画像・動画
キーワードごとに検索結果は異なるため、検索結果を分析することで、記事や動画などの各種コンテンツから効率良くトラフィックを生み出すことができるのです。
競合分析の進め方
上位表示されているサイトの基本的な分析方法についてこれまで確認してきました。これらのサイトをさらに詳しく調べてみましょう。以下のようなことを調べてみてください。
- キーワードの難易度
- ドメイン全体への外部からのバックリンク
- 各ページへの外部からのバックリンク
- ドメインオーソリティ/ページオーソリティ(またはそれに類するもの)
- トップドメインの権威性・強さ
- ソーシャルシグナル
競合ページに目を通し、作成されたコンテンツの種類や長さ、ページ内の内部対策状況、どのような構成か、画像や動画をどのように使用しているかについて時間をかけて調査する価値があります。
競合サイトを分析することで、狙っているキーワードに対して、何が有効なのか、競合サイトはどこが優れているか、つまりインサイトに合致しているかが分かります。
順位向上のために、より良いコンテンツを作成するためのヒントを得られたり、技術的なSEO対策のアイデアを見つけるたりすることができるかもしれません。
また、競合のコンテンツ戦略との違い(触れられていないトピック、視覚的な情報コンテンツなど)を見出し実装することで、順位を向上させることができるかもしれません。
しかし、ランキング上位(トップ10のサイト)を手強い競合他社が占有している場合、ターゲットとするキーワードを変更した方がいいケースもあります。例えば、上位がGoogle、Microsoft、Apple、Wikipediaなどだった場合、それらより高い順位を獲得するのは現実的ではありません。
SERPs分析をSEO対策とコンテンツ戦略に活用する
あなたは限られた予算、そして狙ったタイミングで、特定のキーワードの上位表示を実現することができますか?
もしそうなら、次の方法で深堀りを始めることができます。
- 競合他社よりも深く、優れたコンテンツを作成する
- 競合が見落としているコンテンツに重点を置く(触れられていないトピック、視覚的な情報など)
- 内部SEO対策とテクニカルSEOを強化する
- 上位表示されているサイトのバックリンク元をチェックし、同じようなリンクを獲得できないか確認する
検索結果に強調スニペットが表示されている場合、ぜひあなたのサイトにも構造化データを取り入れるようにしてください。競合他社ほど上位でなくても、例えば検索結果で上位にランクされている書籍の写真などの簡単なものを取り入れることで、クリック率を劇的に向上させることができるケースもあります。
特に、公開してから時間が経っているページが検索結果の上位にランクインしている場合、それらは構造化データを実装していないことも多いため、あなたのページで構造化データを実装すれば、絶好のトラフィック獲得の機会となり得ます。
次に、どのようなコンテンツにするかアイデアを練るにあたり、競合のウィークポイントを探していきます。
例えば、競合サイトが紹介している書籍がすべて5年以上前のものだったとします。その場合は、直近において、有用性の高い書籍をリストアップし紹介するべきです。ブログ形式の記事や動画、画像など、複数タイプのコンテンツを作成して、検索結果の上位に表示される可能性を高めることができるでしょう。
コンテンツには、USP(独自の視点や見解を元にした差別性のある特徴)が必要です。そのため、コンテンツを作成する際は、一歩引いて客観的に考えることが大切です。
- 私のコンテンツが競合他社のものよりも好かれるものか?
- 独自の洞察やデータを提供できているか?
- 読みやすさを向上させることができるか?独自の画像や図表を追加することはできないか?
独自性のあるデータの提供ができていなかったり、差別性のあるインサイトを意識できず、ありふれたコンテンツを作ってしまうと、期待したような結果が得られません。何か「特別」なものを加えることが、読者と検索エンジンへのアピールになるでしょう。
コンテンツやページを “特別で最高”のものにするために、時間をかけてください。
ただし、検索意図が特定のブランドの検索(ナビゲーショナルクエリ)や商品の購入などのトランザクショナルクエリの場合、コンテンツを特別にしたとしても上位表示を実現するのは難しいことがあります。それ以外の場合は、しっかりとしたコンテンツ戦略を描くことで、上位表示を実現することができるでしょう。
コンテンツの制作が完了し記事を公開して、外部SEO対策に取り組む段階になったら、必ず狙ったキーワードの順位を追跡してください。
記事の前半で紹介したSEOツールの多くは、順位の追跡機能を備えており、次のようなことが可能です。
- キーワードの順位を長期的に記録する
- 特定のキーワードの順位が上がり始めた時期を確認する
- 順位が落ちた時の通知(アラート機能など)
順位状況をチェックすることで、特定のキーワードの上位表示のためには「何が有効で、何が有効でないか」理解するのに役立ちます。
数ヶ月後に改めてSERPs分析を行えば、実施前と比べてどのような変化があったのか、また上位表示という結果を得るためには、どのように改善を進めれば良いか改めて確認することができます。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How to analyze Google’s SERPs」を翻訳したものです。
シンプリックのSEO事業全体を監修。海外のマーケティングカンファレンスにも足を運び、最新のSEOおよびコンテンツマーケティング動向に精通。「競合が少なくコンバージョンを生み出せるキーワードの選定」「読みやすくロジカルな記事コンテンツの監修」を得意としています。
【実績】2005年に設立した株式会社ブルトア(サクラサクマーケティング株式会社)では、多数のクライアント、パートナー企業の検索エンジン集客に貢献し、SEO事業を年商7億規模に伸張させる。その後、設立した株式会社シンプリックでは、自社の海外通販事業を検索エンジンからの集客により2年で月商3000万規模に拡大。