「ファクトチェックのやり方は?」
「便利なツールやアプリはあるの?」
「確認しておくべきポイントはある?」
ファクトチェックは、正確な情報を発信するうえで重要なプロセスです。しかし、正しいやり方や目的を理解している人は少ないでしょう。
本記事では、ファクトチェックに関する基礎知識や具体的な方法などについて解説します。
ファクトチェックはメディアにおいてコンテンツ制作と深く関わるものですが、以下の記事では読み手から求められる情報を提供するWebライティングの方法を解説しています。興味があれば、ぜひ併せてお読みください。
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目次
ファクトチェックとは?ファクトチェックのメディアにおける重要性
ファクトチェックとは、情報の正確性や根拠の信頼性を検証することです。これを怠り内容に誤りがあると見なされてしまうと、読み手の信頼を失うだけでなく、Googleに記事として内容が不十分だと認識され、上位表示されにくくなります。
さらに、災害の発生や病気の蔓延など、我々の生活に深く関わるトピック(YMYL領域といいます)においては、正確かつ誤りない情報の提供がより求められています。
ファクトチェックの目的
Webメディア・オウンドメディア運営者にとってのファクトチェックの目的は、正確な情報の発信による、見込み顧客からの信頼性の向上です。
また、正確な情報を発信することにより、Googleが信憑性の高い情報だと認識し、記事コンテンツに対し正当な評価を下してくれます。内容に誤りがある記事コンテンツが多いWebサイトは検索順位の向上が見込めません。
ファクトチェックはメディアに必要不可欠
人間は一度「正確である」と判断した情報を手に入れた場合、その後新たに信憑性の高い情報を提示されても、その情報を避ける傾向があります。
2023年4月19日に国際会議論文で発表された名古屋工業大学などによる合同実験では、誤情報を「正確」だと答えた被験者のうち、43%もの人が事実に基づく訂正記事の閲覧を避ける傾向となりました。この結果から、メディアは情報を公表する前に、十分なファクトチェックを行ったうえで情報の共有を行わなければならないということがわかります。
ファクトチェックのやり方・方法
ここからは、ファクトチェックの方法として、次の3つを解説します。
- 方法1.公的機関の情報と照合する
- 方法2.専用サービスを利用する
- 方法3.一次情報を使用する
それぞれの状況に適した方法を使い分け、重要なポイントをおさえながら確実に情報の精査を行いましょう。
方法1.公的機関の情報と照合する
公的機関とは、国が管理している組織で、政府や行政法人、特殊法人などの政府系機関、学校や病院のことです。これらの機関は、調査やアンケートなど適切な方法でデータを取得し、情報を発信しています。
非公的機関でも適切な方法でデータを取得している場合もありますが、それを確かめる術がなかったり、営利目的で情報を発信していることによる弊害があったりします。公的機関は国から支援を受けて運営しているため、営利目的で情報を発信しているケースはあまりありません。そのため、公的機関の情報と照合するようにしましょう。そうすることで、その情報が確実な証拠のもと述べられている内容であるかどうかを確認できます。
方法2.専用サービスを利用する
ファクトチェックへの意識が高まるなか、現在インターネット上では誰しもが利用できるファクトチェック専用サービスが多く普及しています。
とくにGoogleが提供している「Fact Check Explorer」は、画面にある検索欄に気になるキーワードを入力すれば、簡単に情報の正誤を確認できる便利なサービスです(日本語の単語だと検索結果の出力がないケースがあります)。
キーワードを入力すると関連記事がずらりと表示され、記事を開くと格付け欄に記事の評価が記載されています。評価は20通りあり、真実か真実と虚偽が混同しているのか古い情報ではないかが細かく記載されています。
方法3.一次情報を確認する
ファクトチェックを行う際には、著者が直接経験した事実や検証結果をもとに作成される一次情報を確認しておく必要があります。
我々が普段検索エンジンを通じて目にしている記事の多くは、一次情報を元に作成された記事を参照し書かれています。インターネット上に存在する記事の中には、一次情報の確認を欠いたものや著者の自己見解が含まれたものが多く存在します。確実性の高い情報を得て発信するためには、まず一次情報を参考に情報の概要を掴み、ほかの信頼性の高い記事を複数参考にしながら事実の確認を進めていくことが重要です。
ファクトチェックを実施する際に確認すべきポイント
実際にファクトチェックを行う際、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
確認すべきポイントは、次の3つです。
- ポイント1.複数のメディアで見られる事実か
- ポイント2.情報源の発信時期から情報は更新されていないか
- ポイント3.文章アプローチによって意味が変化していないか
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ポイント1.複数のメディアで見られる事実か
正確な情報を得るためには、1つのメディアに限らず複数のメディアでその事実を確認する作業が重要です。
1つのメディアで述べられている事柄だけを信用してしまうと、一面的な視点からしか物事を把握できず、偏った価値観や言説に基づく解釈をしてしまう恐れがあります。情報の正確性を確認する際には、必ず複数のメディアで述べられている事実であるかを確認してください。
ポイント2.情報源の発信時期から情報は更新されていないか
インターネットは多くの情報で溢れているため、同じトピックに関する情報であっても一瞬にして新たな情報へ塗り替えられてしまいます。
そのため、ファクトチェックを行う際には情報源の発信時期から現在まで、新たに情報が更新されていないかを慎重に確認する必要があります。とくに、実験結果や調査結果などが記載されている記事や論文に関しては、新たに実験や調査が繰り返されている場合、最新の情報を参考にすることが重要です。
ポイント3.文章アプローチによって意味が変化していないか
同じ情報について述べている文章でも、その文章を書いた著者の語彙や修辞表現によって意味が変化してしまうケースがあります。
たとえば、以下2つの文章は「ダイエットサプリの効果に科学的根拠はない」という趣旨において同じ内容を述べた文章です。
- このダイエットサプリによる効果は、いまだ科学的に証明されていません。
- このダイエットサプリによる効果については、まだ科学的な検証が試されている最中です。
前者は「ダイエットサプリの効果に関する科学的な検証が現段階で行われているかどうか」がわからないのに対し、後者は「ダイエットサプリの効果に関する科学的な検証が現在進行形で行われている」ことがわかる記述となっています。
このように、著者の文章アプローチによって大きく意味が異なってしまうケースは多々見受けられます。そのため、ファクトチェックを行う際には文章アプローチによって文意の齟齬が起きていないか、注意を払う必要があります。
【FIJ産】ファクトチェックができるアプリサービス
ファクトチェックに対する意識が高まってきている現在、記事を効率的にファクトチェックできるアプリも多く開発されています。
今回は、とくに手軽なファクトチェックアプリ「ファクトチェック・ナビ」を紹介しながら、その使い方についても詳しく解説します。
アプリ1.ファクトチェック・ナビ
ファクトチェック・ナビは、非営利団体「FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)」が提供するアプリです。
ファクトチェックナビでは、各団体・メディアが発表しているファクトチェックの記事がまとめられています。一覧では「ファクトチェックの対象となった文章全文」「ファクトの根拠」「記事の信頼性」を確認でき、手軽かつ重厚なファクトチェックが可能です。
FIJとは?
ファクトチェック・ナビの提供元、FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)は日本におけるファクトチェックの普及・推進を目指す非営利団体です。誤情報による社会の分断を課題意識とし、2017年6月にジャーナリスト10名へ呼びかけ発足しました。スマートニュースやLINEニュース、Yahoo!など、大手インターネットメディアも支援しています。
その後、FIJの事業に参画しているファクトチェックアソシエイトの協力を得ながら、疑義言説をモニタリングし、メディア等に情報提供を行い続けています。
ファクトチェックナビの使い方
ファクトチェックナビの利用方法は以下の通りです。
1. Web上で「ファクトチェックナビ」と検索し、以下のサイトを開きます。
2. 検索欄に気になるワードを入力し、検索を押します。
3. 気になる記事をクリックします。
4. 記事の最上部に情報の正誤が記載されています。
FIJのガイドラインに沿って以下の判定が表示され、一目で正確性がわかる作りになっています。
- 正確
- ほぼ正確
- ミスリード
- 誤り
- 根拠不明
そのほかフェイク記事にあたる文面と、該当箇所に関する正確な情報が表示され、ユーザーは既存の記事と正確な記事を比較しながら正しい情報を把握できます。
ファクトチェックサービスが意味ないって本当?やり方次第?
ファクトチェックへの意識が高まるなか、ファクトチェックサービスの意義を疑問視する声も多く見られます。「ファクトチェックサービスは意味がない」と言われてしまう理由としては、次の3つが挙げられます。
- 理由1.照合先の情報が信用できないから
- 理由2.情報が古いから
- 理由3.文章の書き口によって意味が異なるから
それぞれ、詳しく解説します。
理由1.照合先の情報が信用できないから
インターネット上には数多くの情報が溢れているため、情報の正確性を確認するためにほかページを参照しても一次情報に辿り着けず、信用性の高い情報が得られないといった問題があります。
とくに、個人ブログやSNSの情報は「照合先の一次情報に恣意性が多分に含まれている」可能性が高いです。また、一般企業の検証結果だと「照合先で行われている検証に穴がある」などが理由で、信用できない、あるいはどの情報を信用すればよいかわかりにくいといったリスクが発生します。
理由2.情報が古いから
どれだけ信用度の高い情報・情報元であっても、その情報が古いために正確性が失われてしまうケースがあります。
しかし、更新日から時間が経っていても、国勢調査のように数年に1度更新される情報も存在します。たとえば5年ごとの更新の場合、次の更新が令和7年だとすると、令和5年現在であれば次の更新まで2年空いてしまうことになります。この場合だと、3年前である令和2年の情報が最新です。このように、情報の更新スピードも確認することで、その情報が古いかどうか明確になります。
理由3.文章の書き口によって意味が異なるから
同じ情報について述べていても、著者が異なれば文脈や語り口は変化します。たとえば「ダイエットサプリの成功例」について記載するとします。サプリのみ取り入れてダイエットに成功していたとしても、著者が過去にダイエットサプリを使ったダイエットに失敗した場合「サプリだけでなく運動も取り入れよう」と記載するでしょう。
このように、情報元とその後の著者によって異なる意図が発信される恐れがあります。
日本ファクトチェックセンターとは?
FIJと同じくファクトチェックに関する活動を日本国内で行っている機関が「日本ファクトチェックセンター」です。この機関は、よりよいインターネット環境を実現するための組織「セーファーインターネット協会(SIA)」によって立ち上げられました。
日本ファクトチェックセンターでは、インターネット初心者が情報の真偽を確かめることが難しい現状を課題として、誰もが安心して情報を把握・確認できるようなインターネット環境の改善を目指し活動が行われています。
FIJ同様、Webサイト内の検索欄から気になる記事を検索できます。
ファクトチェックのやり方に関するよくある質問
ファクトチェックのやり方に関するよくある質問として、主に以下の3つが挙げられます。
- Q1.ファクトチェックは難しい?
- Q2.ファクトチェックはどのタイミングで行うべき?
- Q3.ファクトチェックの最低条件は?
ここからは、それぞれの質問に対する回答を紹介します。
Q1.ファクトチェックは難しい?
ファクトチェックでは自ら情報の精査を行う必要があることから、難しい作業として捉えられることも少なくありません。
しかし、本記事で紹介したアプリやツールを活用すれば、気になるキーワードを入力するだけで情報の信憑性を簡単に確認できたり、確かな根拠に基づく正確な情報が関連記事として表示されたりするなど、初心者でも簡単にファクトチェックが行えます。
ただし、ファクトチェックはさまざまな情報ソースを確認し、多面的に進める必要があります。特に、医療や法律、金融など人々の生活に影響の大きい領域(YMYL領域)の情報を扱うメディアを運営する場合は、ファクトチェックに強い編集プロダクションや記事制作会社に委託するのが安心です。
Q2.ファクトチェックはどのタイミングで行うべき?
ファクトチェックは、記事を執筆する前の情報収集段階で行いましょう。そして、執筆後の最終段階でダブルチェックすることが望ましいです。
とくに、特定の記事が多くの注目を集めていたり、メディアによる偏向報道が話題になっていたりするテーマでは、ファクトチェックを意識し自ら正確な情報を手に入れにいく姿勢が重要です。
Q3.ファクトチェックの最低条件は?
ファクトチェックの最低条件として「事実」と「意見」を区別することが重要です。
「事実」は第三者が確かな根拠をもとに確認できる事柄を指し、「意見」は主観的な認識や内面的心理が反映された言説を指します。
たとえば「私の愛犬は目が大きい」という文章は「事実」にあたります。しかし「私の愛犬は可愛らしい」という文章には著者の感性や感情が用いられており、第三者が真偽を判別できない「意見」に区分されます。
ファクトチェックを行う際にはその情報が「事実」「意見」のいずれに区分されるのかをしっかり確認しましょう。
ファクトチェックは多面的な情報を参照し進めたい
ファクトチェックを行い正確な情報を発信することで、読み手や見込み顧客からの信頼を生み出し、定期的に記事を読んでもらえるなど、エンゲージメント向上につながります。ファクトチェックを通じて多面的な意見を取り入れながら、常に正確な根拠に基づく情報の発信を心がけましょう。
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