オウンドメディアの集客を成功させ、企業の利益向上・事業課題の解決を実現するためには、長く継続的に運用する必要があります。
しかし目的や目標を明確に定めず、ただなんとなくオウンドメディアを運用していても成果は出ません。目的や目標を明確に定め、適切な戦略・計画のもと施策を打ち続ける必要があります。
「オウンドメディアを運用しているが、戦略・計画が適当なので成果が出ていない」
「オウンドメディア運用の適切な方法が分からない」
「これからオウンドメディアを立ち上げようとしているが、運用して成果を出す方法が知りたい」
このような課題・ニーズをお持ちの場合、適切な運用方法を知ることで成果の出続けるオウンドメディアを構築できます。
この記事では、オウンドメディア運用を成功させるためのポイントや、運用を通して発生する業務、また外注を活用するメリットやかかる費用感についてお伝えします。
目次
オウンドメディアとは?
すでにご存知かもしれませんが、改めてオウンドメディアとは何かを確認しておきましょう。
オウンドメディア(owend media)とは、「自社が保有(owend)しているメディア」のことです。自由に情報発信を行うことができ、アクセスを集めて見込み客や新規客の獲得などを行います。
オウンドメディアの定義は様々ですが、ブログサイトやコーポレートサイトなどの「Webメディア」を指してオウンドメディアと呼ぶことが多いです。
本記事では「オウンドメディアとは」の説明を深くはしませんが、オウンドメディアとは何かを深く理解したい場合は以下の記事をお読みください。
オウンドメディアを運用・運営する目的
企業がオウンドメディアの運用を通して目指しているものは、企業規模や業種などによって様々です。例えばトヨタ自動車と、創業3年程度のベンチャー企業がオウンドメディアの運用で目指しているものはおそらく異なるでしょう。
トヨタ自動車であれば、単なる集客という目的のみならず、世界的ブランドとして認知を獲得するためのブランディングや、もしかしたら社会課題解決のための情報発信といったマクロでグローバルなところを目指しているかもしれません。創業3年程度のベンチャー企業の場合、もちろん企業にもよりますが、オウンドメディアの運用を通してメルマガ登録者を増やしたり、商品の販売数を増やして利益を上げるという集客に特化した目的を持っている場合がほとんどでしょう。
オウンドメディアの運用目的は様々ですが、企業が運用しているわけなので、企業が「利益を生み出す」ことを重視している以上、オウンドメディアの目的も「利益を生み出す」という点では共通しているといえます。
オウンドメディアの運用を通して利益を生み出すためには、以下の3つが大切です。
見込み客の獲得
オウンドメディアは、見込み客を獲得する媒体として適しています。
見込み客とは、自社の商品・サービスを購入してくれる可能性が高い人のことです。適切にオウンドメディアを運営することで、この見込み客を大量に獲得できる可能性があります。
オウンドメディアの集客を成功させるために大切なのは、「自然検索からの流入獲得」です。Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力して検索してきたユーザーに対して、検索結果にオウンドメディアのページが表示されるようにし、検索ユーザーにページを訪問してもらいます。
検索エンジンからの集客を増やすための対策を「SEO対策」といいますが、SEO対策に取り組むことで幅広く様々なニーズを持った検索ユーザーをオウンドメディアに集客できます。そしてこの検索ユーザーのほとんどは、自社の商品・サービスに興味を持ってくれる可能性が高い見込み客です。
顧客の獲得
オウンドメディアの運営を通して、自社の顧客を獲得できます。
いくら見込み客を獲得したところで、見込み客のままでは自社の利益にはなりません。見込み客に対して価値ある情報を提供し、自社商品の活用により見込み客が抱えているニーズが解決されることを伝えて、商品を販売します。その結果、見込み客が顧客に変わります。
見込み客との違いを分かりやすくするために、ここでは顧客を自社の商品を購入した方と定義します。
顧客の数をいかに増やすかが、企業の利益向上において大切なのは言うまでもありません。
見込み客・顧客との関係性構築
オウンドメディアの運営を通して、「見込み客→顧客」に変換できます。また、顧客の中でも「初期顧客→優良顧客」に変換できます。
まず「見込み客→顧客」への変換についてですが、オウンドメディアで情報発信を行い見込み客を集客した後、見込み客にとって嬉しい情報を提供します。そうして見込み客との関係性を構築し、自社商品を買ってもらいやすい状態を作ります。そして、関係性が構築できた見込み客に対して商品を案内し、購入してもらうことで「見込み客→顧客」に変わります。
見込み客との関係性構築のために有益な情報を届けることを、Webマーケティングの用語で「教育」といいます。商品を販売するためには、まず見込み客を「集客」し、見込み客に対して価値ある情報を届けて「教育」します。そして、自社商品を買ってくれる可能性が非常に高い見込み客に対して商品を「販売」します。この「集客 → 教育 → 販売」の流れは、Webマーケティングで成果を出すための基本です。
また、「初期顧客→優良顧客」への変換についてですが、商品を買ってくれてすぐの顧客はまだ「初期顧客」の段階です。初期顧客に対して、商品の効果的な活用方法を伝えたり、商品の利用者だからこそ価値を感じてくれる情報を伝えることで、自社のファンになってもらえるようにします。このファンのことを「優良顧客」といいます。
優良顧客は、自社商品のリピーターになってくれたり、自社商品を知人や友人などにシェアして広めてくれる可能性が高いです。
見込み客、そして顧客に対して喜んでもらえる情報を提供して関係性を構築することで、結果として自社の利益向上につながります。
オウンドメディアを運用・運営するメリット
企業がオウンドメディアを運用するにあたって共通となる目的を理解できたところで、ここでは運用により得られる具体的なメリットを5つ紹介します。
企業のブランディングになる
オウンドメディアでは、自社の外部に対して自由に情報を発信できます。「外部からこういうふうに見られたい」というブランドイメージを考え、そのブランドイメージを多くの方に浸透させるために統一感のあるメッセージ・情報発信を行うことで、自社のブランディングになります。
ブランディングの定義は様々ですが、企業や商品・サービスに対しての共感や信頼を獲得し、自社を選んでもらえるようにするための取り組み全般を指してブランディングと呼ぶことが多いです。
自社を選んでもらいやすい状態を作るために自由に発信できるオウンドメディアは、ブランディングに適した媒体といえます。
蓄えたコンテンツが「資産」になる
集客効果の高いオウンドメディアを目指して運用していくには、多くの時間・コストが必要になります。オウンドメディアから記事などを通して発信する情報を「コンテンツ」といいますが、蓄えたコンテンツはメディアの「資産」となり、中長期的にお客様を集客し続けてくれます。
「24時間365日、お客様を運び続けてくれる集客装置」としてオウンドメディアが機能するようになると、広告に依存しないコストパフォーマンスの高い集客が実現できます。
広告のようにお金を払えば一過性的に集客できるものではなく、時間・コストをかけて構築した資産としてのオウンドメディアには、中長期的に安定した集客効果があります。
信用度が高まる
オウンドメディアを通して専門性や信頼性の高いコンテンツを提供し続ければ、多くの方から高い信用を得られます。
「こんなに価値のある情報を発信し続けているメディアの運営元の企業は、きっと質の高い商品・サービスを販売しているに違いない」というように、価値のある情報・コンテンツにより信用を得られて、その結果問い合わせや販売数の増加につながります。
また、質の高いコンテンツを提供し続けることによりサイト全体が検索結果で上位表示されやすくなります。
発信内容をコントロールできる
オウンドメディアでは、運営している自分たちの好きなように情報を発信できます。例えば広告で独自性の強いメッセージを発信する場合、広告のプラットフォームによっては広告を出せなかったりします。
オウンドメディアでは、発信するメッセージについて外部からの審査が入ることはありません。好きなタイミングで、企業が発信したい好きなメッセージを発信できる自由度は、オウンドメディアならではの特徴です。
広告費を削減できる
オウンドメディアで十分に集客できるようになれば、広告費を削減できます。
広告はお金を払えば出稿することができて、出稿してすぐに集客できるという即効性の高さが特徴です。その即効性の高さにメリットを感じ、集客を広告に依存している企業は多いです。
しかし近年、全体的に広告費が高騰し続けており、状況次第では広告に依存している多くの企業が広告費を払い続けられず、集客に苦しむことになるかもしれません。その点、オウンドメディアで安定的に集客できるようになれば、わざわざ広告に高いお金を払い続ける必要がなくなり、広告費の削減ができます。
オウンドメディアの運用・運営で成果を出すためのポイント
オウンドメディアの運用方法は、多種多様です。企業によって運用方法は異なり、絶対的な正解はありません。しかし、成果を出すためのオウンドメディア運用の方法には、共通点があります。
ただ闇雲に情報発信を行うだけでは、成果を出すことは難しいです。ここでは、オウンドメディアの運用で成果を出すためのポイントを5つ紹介します。紹介する順番通りに進めることで、運用の成功確率を上げられます。
弊社シンプリックは、オウンドメディア運用で成果を出すために特に重要な「SEO」のスペシャリスト集団です。SEOコンサルティングサービスでは、サイトから発信する記事を検索結果で上位表示させ、莫大な数の流入を獲得するご支援を行います。現在、プロのSEOコンサルタントによる無料相談を受け付けておりますので、興味があればまずはぜひ資料をダウンロードしてサービス内容をご確認ください。
駆使して、お客様のSEOを成功に導きます
運用目的を明確にする
すでに運用目的が明確な状態でオウンドメディアを運用しているかもしれませんが、不明確な状態で運用している、もしくはこれから立ち上げようとしている場合は、まずオウンドメディアの運用目的を明確にするところから始めましょう。
「あなたの会社はなぜ、オウンドメディアを運営するのですか?」
この問いに対して自信を持ってすぐ回答ができない場合、運用目的が不明確である可能性が高いです。
ここで設定する運用目的は、できるだけ具体的なものが良いです。
また本来、何かに取り組むにあたって目的を設定する際は、一つに絞るのが普通です。しかし、オウンドメディア運用の目的は必ずしも一つである必要はありません。
運用目的として、例えば以下のようなものがあります。
- 広告費に依存しない集客モデルを確立する
- 「〇〇とは」と聞かれた際に、多くの方に第一想起されるようにする
例)「夢の国とは」→「ディズニーランド」 - 24時間365日、中長期的にお客様を運び続けてきてくれる集客装置を作る
- 見込み客からの問い合わせが毎月安定的に、一定数入ってくる状態を作る
運用目的は、企業の利益や事業課題の解決につながります。運用目的を達成することで、企業の利益は向上します。
運用目的を決める際は、それが1ヶ月などの短期的な目的であってはいけません。オウンドメディアで成果が出るのは、早くて半年〜1年、通常はそれ以上時間がかかります。中長期的にしっかり時間をかけて運用することを前提に、運用目的を明確にしましょう。
目標(KGI・KPI)を適切に設定する
運用目的が明確になったら、次に目標を設定しましょう。目標は、「KGI」と「KPI」に分けて設定する必要があります。
「KGI」とは「Key Goal Indicator」の略で、日本語で「重要目標達成指標」といいます。これは、オウンドメディアの運営を通して達成したい具体的な目標のことです。設定時のポイントは、「いつまでに何を達成するか」を「数値で」設定することです。
以下、KGIの例をいくつか挙げます。
- オウンドメディア経由で1年間で3,000万円の売上を出す
- 1年以内に、問い合わせ数を前年比150%にする
- 1年間でメルマガの会員数を0から1,000人にする
このように、「いつまでに何を達成するか」を数値で設定すれば、オウンドメディア運用に携わる人たちの間で目指すところに対しての認識の相違がなくなります。
KGIの設定ができたら、次に「KPI」を設定しましょう。「KPI」とは「Key Performance Indicator」の略で、日本語で「重要業績評価指標」といいます。これは、KGIを達成するための中間目標のようなものです。KGIの設定時と同じく、達成度合いが明確に測れるように期限を切って数値で設定しましょう。
KPIは、基本的に複数設定します。例えば「1年間でメルマガの会員数を0から1,000人にする」というKGIに対して、どのようにKPIを設定すればよいでしょうか。
まずメルマガの会員数を1人増やすために、メルマガの会員ページに20件のアクセスが必要だとします。またメルマガの会員ページに1件のアクセスを流すために、サイトへのアクセス数が30件必要だとします。その場合、まずメルマガの会員ページに20件のアクセスを流すためには、600件のサイトへのサクセスが必要になります。
600件のアクセスでメルマガの会員数が1人増えるということは、会員数を1,000人にするためには600,000件のサイトへのアクセスが必要になります。
1年間でサイトへのアクセス数を60万件にするためには、毎月5万件のアクセスが必要になります。そのため、「毎月累積のアクセス数を5万件ずつ増やす」というKPIが設定できます。
実際は初月から5万件のアクセスを集めることは難しいため、もう少し実現可能性の高いKPIを設定するべきです。しかし、このように目的を元にKGIを設定し、KGIを元にKPIを設定するというように逆算的に目標を設定していくことで、やるべきことがどんどん明確になっていきます。目標は、目的達成のための最も強力なツールです。
オウンドメディアのKPI設定については、以下の記事でより詳しく解説しています。
オウンドメディアのKPIを一挙紹介!適切な設定方法と達成のポイントを解説
目的・目標達成のための戦略を設計する
目的・目標の設定ができたら、達成するための戦略を設計しましょう。戦略もなしに「とにかくがむしゃらに頑張って目標を達成しよう!」と動いても、達成できる可能性は限りなく低いです。
戦略を設計することで、やるべきことが明確になります。
例えば先ほど紹介した例の続きで、「1年間でメルマガの会員数を0から1,000人にする」というKGIと、「毎月累積のアクセス数を5万件ずつ増やす」というKPIを達成するための戦略を考えてみます。
集客の中心となるのは、オウンドメディアを通じた情報発信(記事作成)です。「どんなニーズを持った、どんな人にサイトを訪問してもらい、メルマガ登録してもらうか」というペルソナやターゲットの設定をした上で、訪問者のニーズを解決するための記事作成に努めます。
毎月質の高い記事を20本公開し、年間で合計240本記事を作成するとします。記事を作成してオウンドメディアへの集客を図る「SEO対策」においては、何本記事を作成したらどれくらいのアクセスを獲得できるかという目安は存在しません。記事が検索エンジンの検索結果で上位表示されるかどうかはGoogleが決めることであり、直接コントロールできないからです。
しかし、検索ユーザーに対しての価値提供を一番に考えて質の高い記事を作成し続ければ、徐々にサイトへのアクセス数が増えてくるはずです。
記事を作成してアクセスが集まるようになったとしても、そこからメルマガ登録ページに移ってもらい、フォームに情報を入力してメルマガ登録してもらえなければ意味がありません。
「アクセス(PV)を集めるために質の高い記事を作成し続ける「SEO対策」に取り組み、集まったアクセスをメルマガ登録(コンバージョン)につなげるための記事設計、またサイト設計を行い、アクセスを効率的にコンバージョンに変換させられるようにする」と良いかもしれません。
このようにして、目的・目標達成のための具体的な戦略・計画を立てていきます。深掘りしていくと、「じゃあ、目的・目標達成のために明日から何に取り組むべきか」という具体的な行動イメージが湧いてきます。
運用体制を整える
目的・目標設定ができて、それらを達成するための戦略設計ができたら、立てたプランを確実に実行するために運用体制を整えます。
「こうすれば成果が出る」という青写真を描いても、実行できなければただの絵に描いた餅で終わります。
例えば月に20本記事を作成するためには、自社内の人員だけでは手が回らないかもしれません。必要に応じて外注を活用するなどして、プランを確実に実行できる体制を整えていきましょう。
誰がいつまでにどこまで対応するのか、作成物を誰がチェックして、誰が公開作業を行なうのか。またスケジュール・タスク管理にはどのツールを使い、仮に進捗が遅れた場合はどのようにしてカバーするのかなど、可能な限り具体的に運用体制・プランを構築しましょう。
仮説検証のサイクルを回し続ける
運用体制が整ったら、あとは目的・目標達成のために実行し続けるだけです。しかし、最初に立てたプラン通りに一切の遅れなく完璧に進めることは、基本的に不可能と考えておきましょう。また、「こうすればうまくいく!」と思って立てた仮説が、ことごとく外れてなかなか成果の出ない期間が続くかもしれません。
オウンドメディアを中長期的に運用して成果を出すためには、「仮説検証のサイクルを回し続ける」ことが大切です。
まずは、「こうすればうまくいくのでは?」という「仮説」を立てます。次に、その通りに実行してみて仮説を「検証」します。検証結果が良ければそのまま継続で行い、悪ければ新たな仮説を立てて再度検証します。最初に立てた仮説がずっとうまくいくことはないため、失敗を繰り返しながら仮説の精度を高め、オウンドメディア集客の成功確率を上げていきます。
仮説の検証結果が良かったか悪かったかを判断するためには、作成した記事の検索順位を確認したり、実際にどれくらいサイトにアクセスが集まったかを確認する必要があります。
すでに設定済みかもしれませんが、「Google Analytics」や「Google Search Console」といったツールを使えば検索順位やアクセス数などの様々な成果が確認できるため、まだ設定できていない場合は早めに設定しておきましょう。
オウンドメディアの運用・運営に必要な業務
「オウンドメディア運用」といっても、これには様々な業務が含まれます。ここでは、オウンドメディア運用にあたって発生する業務内容をいくつか紹介します。
1. 編集者業務
オウンドメディア運用において重要な役割を果たすのが、「編集者」です。編集者はコンテンツ(記事)の企画制作からプロジェクト管理に至るまで、幅広く役割を果たします。
以下は、編集者の多岐にわたる業務の一例です。
- コンテンツの企画・制作
- 予算の策定や管理
- 運用体制の構築
- プロジェクト全体の進捗管理
編集者には、一定レベル以上の文章力やSEOの知識、またクライアントや自社メンバーとスムーズに連携をとるためのコミュニケーション能力が必要です。
2. Webデザインやサイトのカスタマイズ
オウンドメディアを運営していくにあたって、Webのカスタマイズが必要な場面があります。訪問者のユーザビリティ(使いやすさ)を高めるために、オウンドメディアのデザイン・レイアウトは大切です。訪問者がサイトに長居したくなるようなデザイン・レイアウトを実現できれば、SEO面で有利になります。そのため、可能であればWebデザイナーを確保するべきです。
以下、Webデザイナーが担当する業務の一例です。
- 訪問者のユーザビリティ向上のためのWebカスタマイズ
- デバイスごとに最適なデザインの作成
- 企業や商品・サービスの方向性を意識した統一感のあるデザインの作成
オウンドメディアのデザイン・レイアウトは一度作成したら終わりではなく、成果に応じて適宜最適なものを模索しながら更新していくべきです。
なお、Webデザイナーの業務は多くの場合発生頻度が低く、社内にWebデザイナーが在籍していない場合は外注するケースが多いです。
3. 構成案の作成
質の高い記事を制作するためには、執筆前に「構成案」を作成する必要があります。構成案の作成は、その前段階も含めて以下の流れで行われます。
(1)キーワード選定
構成案の作成前に、「どのキーワードで検索された際に記事を上位表示させたいか」を決めます。キーワードの検索回数や上位表示されているサイト・ページを確認し、総合的に判断して決めます。
キーワード選定については、以下の記事で詳しく解説しています。
(2)記事のタイトルと見出しの作成
キーワードが決まったら、そのキーワードで検索するユーザーが興味を持ってくれそうな記事の「タイトル」を作成します。また、「どんな順番でどんな情報を伝えれば検索意図を満たせるか」を考え、見出しを作成します。
検索結果に表示された際に、検索ユーザーがクリックしたくなるタイトルを設定し、見出しを見ただけで記事の全体像がイメージできることを意識して見出し作成を行います。
SEOに効果的なタイトルと見出しの作成方法について、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
Webライティングの構成(見出し)の作り方を公開!ユーザーの理解から興味を引き出す6ステップ
(3)書き方の指示と参考URLの付記
構成案の作成者がライティングまで担当する場合もありますが、ライターに構成案に沿ってライティングを依頼するのが一般的です。ライターが執筆をしやすいように、各見出しでどんな情報を伝えてほしいか概要をまとめ、「このページを参考に執筆してください」という指示として参考となるURLを記載します。
構成案の作成者には、以下のようなスキルが求められます。
- 検索ユーザーの検索意図を正確に把握できるリサーチ力・想像力
- 検索意図を満たすためのタイトルや見出し、本文におけるライティング力
- 検索意図を網羅的に満たすための構成力
4. 記事のライティング
検索エンジンで上位表示を実現するためには、質の高い記事の制作が欠かせません。制作したい記事数に応じたライターを自社内で確保できれば良いですが、確保できない場合は記事制作を請け負う代行会社を利用するのも良いでしょう。ここでは、オウンドメディアのライターに求められる主なスキルを紹介します。
検索意図の推測
選定したキーワードを元に、そのキーワードで検索するユーザーがどんな検索意図を持っているか推測し、検索意図を満たすための記事を制作する必要があります。
検索意図については、以下の記事で詳しく解説しています。
SEOにおける検索意図の重要性|キーワード選定からUX最適化まで詳しく解説
キーワードに応じた文字数にまとめる
記事の文字数は、多ければ良いわけでも、少なければ良いわけでもありません。重要なのは「検索ユーザーの検索意図を満たしているかどうか」です。検索意図を満たすために3,000文字で十分であればそれで良いですし、30,000文字必要であれば文字数が多くても問題ありません。読みやすく理解しやすい文章作成を心がけ、ユーザーの検索意図を満たすことに注力して記事を制作しましょう。
ただし、一言二言だけの情報量が明らかに不足している記事であれば、検索上位を獲得できることは基本的にありません。ユーザーの検索意図を満たすために必要十分な文字数を担保しましょう。
記事の適切な文字数については、以下の記事でより詳しく解説しています。
独自性の高い記事の作成
Googleは、独自性の高い記事を検索結果で上位表示させようとします。記事の内容が検索ユーザーの検索意図を満たすものであったとしても、他のサイトが公開している記事のコピーコンテンツであれば上位表示はできません。
執筆スピード
一つの記事制作には、多くの時間がかかります。検索意図を十分に満たす記事を制作するために、場合によっては20,000文字を超えることもあります。
記事をコンスタントに継続して制作するためには、ある程度のタイピング・文章作成のスピードが必要です。
5. 校正・校閲
質の高い記事に仕上げるために、ライターが制作した記事をチェックする必要があります。チェックには「校正」と「校閲」があります。
「校正」は主に誤字脱字や表記揺れ、文章構成に問題がないかを確認することです。「校閲」はより踏み込み、文章内容が適切かどうか、事実に基づいた文章であるかを確認します。
出版社などでは校正と校閲は別担当であることが多いですが、オウンドメディアでは同じ担当者によって行なわれるケースが多いです。
校正・校閲について、より詳しくは以下の記事で解説しています。
文章の校正と校閲の違いとは?依頼できる外注先の種類や費用相場について
オウンドメディア運用・運営におけるコンテンツ制作のポイント
オウンドメディアを運用して多くの集客を実現するためには、コンテンツ制作に取り組む必要があります。ここでいうコンテンツとは「記事」のことです。今あなたが見ているこのページが、まさしく記事です。
オウンドメディア内で継続的に記事を制作して、各記事がGoogleなどの検索エンジンで上位表示されるようになれば、多くの流入を獲得できます。
ここでは、検索エンジンで上位表示される記事を制作する際のポイントをお伝えします。
キーワード選定
「質の高い記事を何本も公開しているのに、流入が集まらない」と悩んでいるWeb担当者の多くが、「どのキーワードで検索された際に記事を上位表示させたいのか」を決めていません。この時に設定するキーワードを「対策キーワード」といいます。
制作した記事は、検索エンジンで上位表示されるからこそ多くの流入を獲得できます。しかし対策キーワードが決まっていなければ、上位表示も何もありません。当たり前のことですが、記事を制作して検索エンジンで上位表示させたいのであれば、必ず対策キーワードを選定しましょう。
対策キーワードの選定は、「1記事1キーワード」が原則です。欲張って複数のキーワードで上位表示される記事を制作しようとしても、多くの場合全ての対策キーワードにおいて上位表示されません。
なぜ対策キーワードを選定する必要があるかというと、キーワードが決まらないと質の高い記事が書けないからです。そして質の高い記事でない場合、検索エンジンで上位表示されません。
キーワードには、検索ユーザーの検索意図が詰まっています。例えば「ダイエット 方法 おすすめ」というキーワードで検索するユーザーには、「おすすめのダイエット方法が知りたい」という検索意図があります。また、このキーワードで検索するユーザーには「自分に合ったダイエット方法が知りたい」というニーズもあるかもしれません。
これらの検索意図・ニーズを満たすために、ただおすすめのダイエット方法を列挙して紹介するだけでなく、「5つの質問に答えれば、自分に合ったダイエット方法が分かる!」といった見出しで一問一答形式のコンテンツを用意するのが良いかもしれません。
このように、対策キーワードが決まれば検索ユーザーの検索意図・ニーズを想像でき、それらを満たすための記事を制作できます。これこそが、質の高い記事です。
キーワード選定の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
質の高いコンテンツ
キーワード選定ができたら、質の高いコンテンツ(記事)を制作することに注力しましょう。
質の高い記事を制作するためには、対策キーワードから検索ユーザーのニーズを洗い出し、ニーズを満たすための「構成案」を作成した上で執筆を行うのがおすすめです。
構成案とは、「記事の設計書」のことです。検索ユーザーのニーズを満たすために、「どんな順番で、どんな情報を伝えるか」を整理します。
検索ユーザーのニーズを洗い出せたからといって、「さあ、ニーズを満たす記事を書こう」と思っても、それで仕上がる記事は多くの場合ユーザーニーズを満たすものにはなりません。執筆を始める前に構成案の作成を行い、「こうすればユーザーニーズを満たせる!」という確信を持った上で執筆を行えば、執筆もスムーズに進みますし、仕上がる記事の質も高くなります。
また対策キーワードでの上位表示を実現するために、タイトルには必ずキーワードを入れましょう。例えば2023年1月27日現在、「ライティング 相場」というキーワードで検索すると弊社のこちらの記事(https://simplique.jp/theprice-of-contents/)が検索結果の上から2番目に表示されます。
記事のタイトルは「Webライティングの外注費の相場は?原稿料の考え方やオプション料金を詳しく解説」です。「ライティング 相場」というキーワードが使われていますね。タイトルには、対策キーワードを「必ず」入れましょう。また、記事の見出しにも積極的にキーワードを入れましょう。
記事内でキーワードを使う際は、「使いすぎ」に注意すべきです。見出しや文章内で適宜自然に使うことを意識し、「無理やり感」が出ないようにしましょう。
執筆(ライティング)時のポイントなどは、以下の記事で詳しく解説しています。
SEOライティング基礎 | 初心者が最高の一記事を作り上げるために
顧客の購買段階に合わせてコンテンツを投下
顧客の購買段階に合わせてコンテンツ(記事)を投下することで、サイトのPV数(アクセス数)やコンバージョン数を上げられます。コンバージョンとは、商品購入や問い合わせ、資料請求などの具体的な「成果」のことです。
「顧客の購買段階に合わせる」とは、どういうことでしょうか。
これを分かりやすく整理して説明するために、「DECAX」という顧客の購買行動モデルを紹介します。
これは顧客の購買段階を、「DECAX」の各文字から始まる以下5つに整理したものです。
- Discovery:発見
- Engage:関係構築
- Check:確認
- Action:行動
- eXperience:体験
「Discovery:発見」は、まずオウンドメディアで提供するコンテンツ(記事)を発見してもらう段階です。質の高い記事数を増やして検索エンジンの検索結果にあらゆるキーワードでヒットさせることにより、多くの方からまず「発見」してもらいます。
「Engage:関係構築」では、オウンドメディアから発信する情報(記事)をいくつも読んでもらうことで、オウンドメディアの運営元に対して好意的な印象を持ってもらう段階です。
「Check:確認」では、関係構築した見込み客に対して商品を案内し、商品が自分にとって価値あるものか、対価となるお金を支払うだけのメリットがあるかを確認・検討してもらう段階です。
そして「Action:行動」では、購入を促すための情報を提供し、実際に商品を購入してもらいます。
「eXperience:体験」では、商品を体験してもらい、SNSなどでシェアしやすい状態・仕組みを作ります。
この各購買段階において、適切な情報を提供します。例えば健康食品を販売している企業であれば、「健康食品の種類と効果」を伝える記事などを複数本作成し、検索ユーザーにオウンドメディアを「発見(Discovery)」してもらいやすい状態を作ります。
オウンドメディア内に見込み客が興味を持ってくれる記事を用意して「関係構築」し、自社に好意を抱いてくれている方に対して商品を案内して「確認」してもらい、購入を促す情報を伝えて「購入(行動)」してもらいます。
このように、顧客の購買段階別に適したコンテンツ(記事)を用意しておくことで、多くのPV・コンバージョンを獲得できるようになります。
オウンドメディア運用・運営において持っておくべき、3つの意識
ここまで、オウンドメディアの運用で成果を出すための手順や、コンテンツ制作におけるポイントを解説してきました。ここまでに解説してきた手順・ポイントに沿って運用することで、成果を出せる確率は大幅に上がります。
しかし、運用するにあたってこれから紹介する「3つの意識」が欠けている場合、成果を出せないかもしれません。ここでは、成果を出すために持っておくべき意識を紹介します。
一番大切なのは、「質の高いコンテンツ」を投下し続けること
オウンドメディアの運用で成果を出すために一番大切なのは、質の高いコンテンツ(記事)を投下し続けることです。質の高いコンテンツを投下し続けることで、様々な記事が検索結果で上位表示されるようになり、多くのアクセスが集まります。
オウンドメディア運用の中核は「SEO」であり、SEOの中核は「コンテンツSEO」です。コンテンツSEOとは「質の高いコンテンツを継続的に発信すること」です。
多くのアクセスが集まらないことには、商品を購入してくれたり、メルマガ登録、問い合わせ、資料請求などの行動(コンバージョン)を起こしてくれる方の数も増えません。
「記事を通して、どうすれば訪問者・読者の人生をより豊かにできるか」という大きな視点で記事制作を行うことに注力しましょう。
立てた戦略を、「やり切る」こと
オウンドメディアの運用目的を明確にし、KGIやKPIなどの目標を設定して目標達成のための戦略を立てても、やり切れなければ意味がありません。
オウンドメディアの運用に失敗する原因の多くは、「途中で辞めてしまう」ことです。オウンドメディアは、広告のようにすぐアクセスを集めることができず、目に見える成果が出ないため「やり方が間違っている」「そもそもオウンドメディアで成果を出すのは難易度が高い」と思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、立てた戦略をやり切らずに辞めてしまうと、期待した成果を出せないどころか戦略が正しかったのか間違っていたのかも分かりません。
KGIとKPIを設定したら成果が出る出ないにかかわらず、目標達成のために最後までやり切りましょう。当然ながら、成果が出ない場合には「なぜ成果が出ていないのか」を考えて、改善し続ける必要があります。
全ては、企業の目的・目標達成のために運用する
オウンドメディアを運用する目的や達成したい目標は、全て企業の目的・目標達成につながっていることを理解しましょう。
そもそも、あなたはオウンドメディアの運用元である企業が実現したいこと(目的)や、中長期的にどのような目標を立てて経営活動を行なっているか理解していますでしょうか。理解できていない場合、オウンドメディア運用に対するモチベーションが上がらなかったり、「やってる感」を演出するためだけのただの作業的な運用になるかもしれません。
企業の目的・目標があるからこそ、オウンドメディアの運用目的・目標があります。そしてオウンドメディアの運用目的・目標を達成すれば、それは直接企業の目的・目標達成につながります。このことを理解し、自信と誇りを持ってオウンドメディア運用に取り組みましょう。
オウンドメディア運用代行会社の利用について
オウンドメディアの運用には、非常に多くのリソースを要します。自社内で業務を完結させるのがベストですが、リソースの確保が難しい企業も多いでしょう。
オウンドメディアを自社で運営しようとする場合、以下のような問題が発生するケースが多いです。
- 人的リソースが確保できない
- 専門的な知識を有していない
- 記事作成などに割く時間がない
これらの問題は、オウンドメディアの運用代行会社を利用することで解決できます。代行会社を利用すれば、自社内の負担を軽減しながら質の高い記事を継続的に制作できます。
利用する4つのメリット
ここでは、オウンドメディアの運用代行会社を利用する具体的なメリットを紹介します。
自社に最適な方法でコンテンツ作成を委託できる
オウンドメディアの運用代行会社を利用すれば、キーワード選定から構成案の作成、執筆までのコンテンツ(記事)制作における全行程を委託できます。もちろん「記事の執筆だけ」といった依頼も可能です。
運用を委託できる
記事制作のみならず、オウンドメディア運用のすべてを委託することも可能です。オウンドメディアの運用には、想像以上に時間と手間がかかります。運用を代行会社に委託することで、コア業務を疎かにすることなく中長期的に安定して運用ができるでしょう。
SEOを意識したサイト改善を依頼できる
適切にキーワードを選定して質の高い記事を継続的に制作すれば、検索結果での上位表示を獲得しやすくなります。さらに上位表示される可能性を高めるために、上位表示されやすいようにサイトを改善する方法もあります。
代行会社を利用すれば、豊富な知識・技術を駆使してSEOに強いサイトに改善してくれます。
運用上の誤りを指摘してもらえる
どれだけリソースをかけてオウンドメディアを運用しても、方法が間違っていれば成果が出ない可能性が高いです。そしてこの運用における間違いは、自社内での確認・調査だけでは気づかないことが多いです。そこで代行会社に運用を依頼して第三者のチェックを挟むことで、自社内では気づかなかった問題点が浮き彫りになるでしょう。
ただしオウンドメディアの運用代行会社を利用する場合には、会社選びに注意が必要です。会社選びの方法は以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひお目通しください。
運用代行の委託範囲や代行費用について
ほとんどの運用代行会社は、委託内容に応じた複数のプランを用意しています。具体的な費用感と委託できる業務の内容を見ていきましょう。
目的 | 月額費用 | 業務内容 |
簡単なレポート・アドバイスを委託する |
5万円~ |
サイト保守 CMS利用料 レポーティング |
記事制作を委託する |
20万円~ |
サイト保守 CMS利用料 レポーティング 5記事更新 |
アクセス解析を含めた本格的な運用を委託する |
50万円~ |
サイト保守 CMS利用料 レポーティング 10記事更新 データの収集・分析 各種フォームの設置・改修 リード獲得施策 |
記事の制作だけを外注したい場合は、1文字5円前後から依頼できる「記事作成代行会社」の利用も検討してみましょう。
外注も活用して、運用体制を整えよう
リソースが不足している状態でオウンドメディアを運用しようとする場合、質の高い記事を継続的に制作することはできません。また、制作本数の目標が達成できたとしても質の低い記事ばかりになってしまう可能性も高いです。質の高い記事を継続的に制作するためには、運用体制を整え、無理のないプランで運営していく必要があります。運用のリソースが足りない場合は、ぜひ運営代行会社の利用を検討してみてください。
シンプリックのSEO事業全体を監修。海外のマーケティングカンファレンスにも足を運び、最新のSEOおよびコンテンツマーケティング動向に精通。「競合が少なくコンバージョンを生み出せるキーワードの選定」「読みやすくロジカルな記事コンテンツの監修」を得意としています。
【実績】2005年に設立した株式会社ブルトア(サクラサクマーケティング株式会社)では、多数のクライアント、パートナー企業の検索エンジン集客に貢献し、SEO事業を年商7億規模に伸張させる。その後、設立した株式会社シンプリックでは、自社の海外通販事業を検索エンジンからの集客により2年で月商3000万規模に拡大。