LP(ランディングページ)は、インターネットユーザーが自社サイトの中で最初にアクセスする(降り立つ・ランディングする)ページのことです。初めてアクセスしてきたユーザーをどう顧客として獲得していくかという意味で、LPはビジネスの成功を左右する重要な役割を果たします。
まずは一人でも多くのユーザーにLPへアクセスしてもらいたいところですが、一般的な「1ページ完結型のLP」は、SEO対策には向いていません。
インターネット広告からの着地ページとしては有用ですが、広告運用には継続的な費用が発生します。運用結果によっては費用対効果が見合わない恐れもあるでしょう。
そのような場合に検討したいのが「サイト型のLP」です。サイト型でSEO対策に強いLPを構築すれば、検索結果でのランキングやユーザーエクスペリエンスの向上が期待できます。
そこで今回は、LPにSEO対策が必要な理由や、LPのタイプ別戦略などについて詳しく解説していきます。
LPにSEO対策が必要な理由
LPにSEO対策が必要な理由は次のとおりです。
- 検索上位を狙ってアクセス数を増やすため
- ブランドイメージを高めるため
- ユーザーエクスペリエンスを向上させるため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
検索結果の上位表示を狙ってアクセス数を増やすため
SEO対策を行って検索結果の上位を狙うと、LPの露出を増やせます。
近年では多くのユーザーが検索エンジンを利用するため、自社サイトが検索結果の上位に表示されるだけでも、アクセス数が増える可能性が高まります。また、アクセス数が増えればその分はコンバージョンの機会も増加します。
LPと言えばインターネット広告を活用して集客をする方法が主流です。しかし、出稿方法やマーケティング戦略の知見がなければ思うような成果に結びつかず、広告費用だけが増えてしまうリスクがあります。ユーザーは広告を敬遠する傾向もあるため、出稿がアクセス増加につながるとは限りません。
広告運用が主体でも、SEO対策と併用することによってサイトに訪問するチャネルを増やすことはできます。
ブランドイメージを高めるため
ユーザーは検索上位のサイトを信頼する傾向があるため、ブランドに対するポジティブな印象を形成・維持することが可能です。特定の分野における専門性と知識も示せます。
ユーザーエクスペリエンスを向上させるため
SEO対策は検索結果の上位表示だけでなく、ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザーが感じる使いやすさや満足度などの経験のこと)の向上のためにも不可欠です。
ユーザーがサイトに訪れた際に使いやすく魅力的なLPが表示されれば、ユーザーの満足度が上がり、滞在時間やコンバージョン率の向上につながります。
LPの種類によってもSEO対策の効果が異なる
LPには2種類あります。まず「1ページ完結型」は、商品やサービスにフォーカスして情報をまとめたLPです。
製品やサービスのプロモーション、キャンペーンへの参加、登録、購入など、特定のコンバージョンに焦点を当てています。
効果的な画像・ビデオなどの視覚的な要素を組み込み、製品やサービスの魅力を引き立てるのも特徴です。広告やキャンペーンへのリンクからアクセスされるのが一般的で、検索エンジンの上位に表示されるケースはほとんどありません。
そして「サイト型」は、通常のWebサイトと同様に複数のページで構成される形式のLPです。
通常のWebサイトよりも特定の目的に向けて効果的にデザインされています。コンバージョンへの導線に最適化しているのも特徴です。
1ページ完結型LPは広告運用向け
1ページ完結型は広告運用に向いています。SEO対策には適していません。その理由を詳しく見ていきましょう。
文字数が少ない
最大の理由は文字数の少なさにあります。広告運用が主体のLPは画像を多く使用して作成するのが一般的です。しかし、SEO対策ではテキストの内容が重要視されます。
文字は情報量として評価されるため、画像中心のLPはSEOで高い評価を得ることが難しくなるのです。
被リンク数が少ない
1ページ完結型のLPは被リンクの数が限られます。被リンクとは外部サイトから自社サイトに貼られたリンクのことで、良質な被リンクを集めているページは価値が高まり、検索結果の順位向上が期待できます。
被リンクしてもらうには、まずユーザーに役立つ情報を提供して、外部のブログやSNSなどに「参照サイト」として掲載されるのが自然です。しかし、購買や申込みなどのコンバージョンに特化した1ページ完結型LPは、有益な情報として紹介されるケースがほとんどありません。
そのため、一般的なサイトに比べて被リンクを獲得しにくく、検索エンジンの評価も低くなる傾向にあります。
品質が低くなりがち
1ページ完結型LPの内容は、企業が主体となってアプローチをするプッシュ型営業に近くなります。
けれどもGoogleはユーザーファーストを掲げているため、企業主体のページは「質が低い」と判断される傾向にあるのです。近年ではプッシュ型営業が敬遠されているため、コンバージョンにつながりにくいという問題もあります。
サイト型LPはSEO対策に向いている
LPのSEO対策を検討するならサイト型LPが向いています。その理由を詳しく見ていきましょう。
広告運用とSEO対策のバランスがとれる
サイト型LPは一般的なWebサイトに形態が近く、広告配信と合わせたバランスの良い集客が可能です。
SEO対策によって検索結果からの流入を確保できれば、集客チャネルを2本に増やせます。安定的な集客には欠かせない戦略です。
広告を嫌うユーザーを獲得できる
SEO対策を行ったサイト型LPは、広告を敬遠するユーザーにもアプローチすることができます。幅広いターゲットを対象にできるのは大きなメリットです。
最近はネットリテラシーの高いユーザーが増えており、広告と一般的なサイトは簡単に見分けられてしまいます。広告と判断した瞬間に離脱されるケースも少なくありませんが、サイト型LPは一般的なサイトと構造が近いため拒絶反応も比較的薄く、滞在時間が長めの傾向にあります。
被リンクを獲得しやすい
サイト型LPはユーザーに価値のある情報やユニークな視点を提供できるため、他のサイトから価値のあるコンテンツとして共有されやすくなります。
業界のトピックに関する記事や専門知識の提供を続ければ、他のブロガーやWebサイトがリンクを貼りやすい状態を維持することも可能です。
サイトが資産になる
サイト型LPは「LPそのもの」が資産になっていきます。広告費を支払えば検索結果の上部に表示させられますが、継続的なコストが発生します。
一方、高品質なサイト型LPを作成すれば、費用をかけなくても継続的に上位をキープでき、安定的な流入数が確保されます。ユーザーの求めている情報や解決策を提示しながら、自然にコンバージョンへつなげられるのも特徴です。
ただし、検索順位は変動するので、コンテンツの更新と定期的なメンテナンスは欠かせません。
SEO対策に強いサイト型LPの構造と設計
サイト型LPはSEO対策に向いていますが、下記のように適切な構造と設計を理解しておく必要があります。
- 使いやすいデザイン
- シンプルなレイアウト
- ナビゲーションの作成
- モバイルフレンドリーへの対応
- クリックまでのステップ最小化
- 効果的なCTAの設置
- フォームの設置位置
- クローラブロッキングのコントロール
- 公開後の改善
それぞれ詳しく見ていきましょう。
使いやすいデザインを意識する
LPのデザインはユーザーエクスペリエンスに直結する大切な要素です。サイト内でのユーザーの行動は、検索エンジンの評価にも大きな影響を与えます。使いやすいデザインを意識することでユーザーはスムーズに情報を見つけられるようになり、滞りなくサイトを利用できるようになります。
特に注意したいポイントは下記です。
・情報を整理する
・各ページのテーマは1つにする
・テキストを詰め込み過ぎない
・イラストや画像を多用する
通常のWebサイトは「記事」のような形態になりますが、サイト型LPは「ホワイトペーパー」に近いイメージです。ビジネスに適したカラーコードやフォントを採用して、サイト全体の一貫性も保ちましょう。
シンプルなレイアウトを採用する
ユーザーの理解度と利便性を高めるためにも、シンプルなレイアウトを採用しましょう。複雑なデザインはユーザーを混乱させ、検索エンジンの評価を下げる恐れがあります。
シンプルなレイアウトには次のようなメリットがあります。
・見やすく読みやすい
・商品やサービスが際立つ
・洗練されたイメージを与える
・選択肢をシンプルに提示できる
コンテンツ内の重要な情報や、ユーザーにとって価値のある部分はマーカーで強調しましょう。強調されている箇所だけを読めば内容を理解できるようにするのが理想です。
ナビゲーションを作成する
ユーザーが目的のページに迅速にアクセスできるように「ナビゲーション」を設置しましょう。サイト内のページを階層的に整理し、トップページのメニューで分かりやすく表示します。
メニューの構造化は、検索エンジンの評価向上にも欠かせません。内部リンクやハイパーテキスト、ハイパーメディアなども活用すれば、ユーザビリティも高められます。
モバイルフレンドリーに対応させる
モバイルフレンドリーなデザインは検索エンジンによって評価され、検索結果の順位向上につながります。
デバイスの種類を問わず快適に閲覧できる「レスポンシブデザイン」の採用が理想です。ユーザーの満足度も高まり、回遊率とコンバージョン率の向上が期待できます。
レスポンシブデザインはURLが統一されてリンクの価値が分散しないため、SEO対策において大変有利です。
▶参考記事:「モバイルファーストインデックス(MFI)とは?SEOへの影響と注意点」
クリックまでのステップを最小化する
ユーザーが情報や製品に迅速にアクセスできるように、クリックまでのステップを最小限にしましょう。
シンプルで直感的なナビゲーションと合わせて、コンテンツ内の各所にクリックポイントを設置すると親切です。
効果的なCTAを設置する
効果的なCTA(Call To Action)はユーザーに特定の行動を促し、コンバージョン率を向上させます。
CTAボタンには、ユーザーのアクションを促す文言を採用しましょう。文章やイラストに合わせて戦略的に設置することも大切です。
ベネフィットと魅力はユーザー目線で打ち出しましょう。単純に「資料請求はこちらから」と書くよりも、「売上が倍増する戦略の資料はこちら」と書くほうが、行動した先のベネフィットがわかりやすいためクリック率が上がります。
キャッチコピーに添えるマイクロコピーの採用も不可欠です。「登録はこちら」のマイクロコピーに「1分で完了」と記載すればクリックのハードルを下げられるでしょう。クリックしたくなるような色やデザインの採用も重要です。
フォームを最適な場所に設置する
メールマガジンの登録、資料ダウンロードの申し込み、サンプルの注文、無料相談予約などを行うフォームは、最も重要なコンバージョンポイントです。適切な場所に配置することで、ユーザーのエンゲージメントが高まります。
ただし、フォームでの離脱率は総じて高いため、「フォームそのもの」の設計を意識する必要があります。
・項目は最小限にする
・入力項目は分割しない
・エラーメッセージは遷移前に表示する など
上記のようなポイントを意識して、ユーザーの離脱を防ぎましょう。
クローラブロッキングをコントロールする
検索エンジンのクローラがWebサイトを正しく理解できるよう、戦略的にクローラブロッキングをコントロールしましょう。クローラブロッキングを調整する目的は主に次のようなケースです。
・サイト内に似た内容のページがすでにあり、重複コンテンツとみなされることを回避したい場合
・画像がメインのページなど、内容が薄いと判断される可能性が高い場合
主な方法は次のとおりです。
・robots.txtの設定:
robots.txtファイルを使用して、検索エンジンのクローラに特定のページやディレクトリへのアクセスを許可・制限します。
・メタタグの利用:
メタタグを活用して特定のページやリソースのクローリングを禁止・許可します。
公開後の改善も重要
LPの公開公後も、定期的にモニタリングと改善を行いましょう。検索エンジンのアルゴリズム変更やユーザーの動向変化に対応すれば、LPの品質を維持・向上させられます。
「Google Analytics」などのアクセス解析ツールを使用して、ユーザーの行動とサイトのパフォーマンスを追跡して改善点を把握しましょう。
ユーザーからのフィードバックも積極的に収集し、LPの利便性や商品・サービスの不明点などを確認した上で、満足度向上につながるアクションを取りましょう。
サイト型LPの成功事例
ここからは、サイト型LPの成功事例をご紹介していきます。
- テクアカデミー
- 「かる・ける」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
テックアカデミー
「テックアカデミー」はプログラミングスクールの運営企業です。「受講生の声」や「コース紹介」などの充実したコンテンツが多く、情報の網羅性にも優れています。
2024年1月現在、「プログラミングスクール」のキーワードで検索順位3位です。CTAの設置やキャッチーなコピーもわかりやすいため、ユーザー満足度の高さもうかがえます。
「かる・ける」
「かる・ける」は、医療介護に特化した求人サイトです。
ひと目見ただけで簡単に求人を探せるレイアウトを採用し、ユーザーの利便性を高めています。また「情報かる・ける」という記事コンテンツを作成してSEO対策を強化しています。
2024年1月現在、「医療介護求人」のキーワードで検索順位3位です。
LPに適切なSEO対策を行ってビジネスを加速させよう
LPの適切なSEO対策はビジネスの成功に不可欠です。ただし、LPのタイプによって戦略の向き不向きがあります。
広告運用を主体とするなら1ページ完結型が向いていますが、SEO対策を展開するならサイト型も用意してアプローチできるターゲットの幅を広げるほうが効率的です。
「できるだけ運用コストを抑えたLPを用意したい」「1ページ完結型LPからサイト型LPに移行したい」といった方は、ぜひ一度弊社シンプリックの無料相談をご活用ください。弊社クライアントおよび弊社自身の成功事例をもとに、お客様にとっての最善策についてご説明させていただきます。
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