企業が国際市場で成功を収めるためには、効果的なSEO(検索エンジン最適化)戦略が必須です。
しかし、海外市場向けのSEOは言語や文化、検索エンジンのシェアなど、さまざまな違いがあります。そのため、正しい戦略を展開している企業は多くありません。「どのように展開すればよいのかわからない」という担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、海外市場向けSEO対策の基本から具体的な戦略、最新のトピックなどを詳しく解説します。さらに、海外の検索エンジンシェアや利用率、業者に外注する際の注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
海外SEO対策とは
海外SEO対策とは、特定の国や地域のユーザーを対象とした検索エンジン最適化戦略です。グローバル市場におけるオンラインプレゼンスを強化して、海外からのアクセスを増やすことを目的としています。
海外SEO対策の重要性
適切な海外SEO戦略を実施することで、検索結果の上位に表示される可能性が高まり、ターゲット市場での認知度向上につながります。そのため、海外SEO対策は、グローバル市場における企業の可視性と競争力を高めるために欠かせなくなっているのです。
インターネットが世界中のビジネスをつなぐ現代では、海外からのアクセス増加が新規顧客獲得や市場拡大において重要な要素となっています。
また、海外SEO対策はブランドの国際的な信頼性を構築する機会にもなります。現地に最適化された質の高いコンテンツを提供することで、海外ユーザーからの信頼を得て、長期的な関係を構築できるようになります。
海外SEO対策の最新動向
SEOの傾向や影響は、国や地域によって異なります。特に注目したいのは下記のポイントです。
- AIによる新機能実装の影響
- E-E-A-Tの重視
- 2024年3月のGoogleコアアップデート
AIによる新機能実装の影響
Googleの「AI Overview」は、検索クエリに応じた概要をAIが生成する新機能です。
※「How to brew coffee」で検索した例
AI Overviewへの対策は通常のSEO対策を行えば問題ありませんが、簡潔な文章を心がけるとAIが内容を理解しやすくなり、情報ソースとして採用される可能性が高まります。
ただし、Googleの自然言語処理技術は非常に高度であり、複雑な文章構造も比較的正確に解析します。簡潔さを追求しすぎて、内容の深さや専門性を犠牲にしないよう注意しましょう。
E-E-A-Tの重視
生成AIの浸透によって、今後はさらにE-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness)が重視される可能性が高まります。特に、専門知識や経験に基づくコンテンツの価値が増大すると考えられます。
なお、Googleは下記のような概念図を示しています。
- 信頼: ウェブサイトの評価で中心的な役割を果たす要素
- 経験、専門性、権威性: 信頼を支える要素
これらの要素のいずれかが欠けると、検索結果での上位表示は難しくなります。
2024年3月のGoogleコアアップデート
Googleは、2024年3月にコアアルゴリズムの大規模な更新を実施しました。アップデートの目的は「検索クエリに対する検索結果の品質向上」です。
すでに海外では低品質なサイトの多くが削減されており、国内でも同様の影響が見られます。コンテンツを排除されないようにするためには、下記の4つのポイントに注意する必要があります。
- AIで生成した独自性のないコンテンツは避ける
- ユーザーに実質的な価値を提供する
- コンテンツの多くを広告に依存しない
- ユーザーエクスペリエンスを向上させる
日本のSEO対策との違い
日本と海外SEO対策の違いは言語だけではありません。各国の文化や習慣、法規制なども考慮する必要があります。また、検索エンジンの市場シェアも国によって異なるため、Google以外の検索エンジンにも対応しなければいけません。
リンクの構築戦略やローカルSEOの手法についても、日本とは異なるアプローチが求められます。日本向けのコンテンツをそのまま翻訳するだけでは必ずしも受け入れられるわけではなく、現地で好まれるように対策し、調整を行うことが重要です。
英語に特化したSEOとの違い
海外向けSEO対策では、英語に特化したSEO対策よりも幅広い視点が求められます。英語だけに焦点を当てるのではなく、包括的でグローバルな戦略を立てることが重要です。
各国の検索エンジンシェアやユーザーの検索行動、利用率など、多様な要素も考慮する必要があります。
さらに、同じ英語圏でも、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど、国によって使用される表現や語彙が異なる点にも注意が必要です。
海外SEO対策を成功させるためのポイント【テクニカル編】
テクニカル面で海外SEO対策を成功させるためのポイントは、下記のとおりです。
- ディレクトリとドメインは言語・地域別に分ける
- ドメインを適切に使用する
- 現地のサーバーを利用する
- hreflang タグを適切に使用する
- HTMLにlang属性を使用する
- 国際的なSEOツールを活用する
- メタディスクリプションの長さに注意する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ディレクトリとドメインは言語・地域別に分ける
ディレクトリとドメインを言語・地域別に分けると、検索エンジンが海外向けコンテンツであると識別できるようになります。
たとえば、フランス向けのコンテンツは「example.com/fr/」、ドイツ向けのコンテンツは「example.com/de/」に配置するといった具合です。
このように構造化することで、各国のユーザーに適切なコンテンツを提供しやすくなり、検索結果での表示順位が向上する可能性も高まります。
ドメインを適切に使用する
海外SEO対策のドメインは「gTLD」か「ccTLD」のいずれかを選択するのが一般的です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
gTLD
gTLD(generic Top-Level Domain)は、「.com」「.org」「.net」などのドメインです。特定の国や地域と紐づいていないので、グローバルなブランディングに適しています。
ドメインの用途はそれぞれ異なりますが、海外SEOでは「.com」を選択しておけば問題ありません。
ccTLD
ccTLD(country code Top-Level Domain)は、「.jp(日本)」「.uk(イギリス)」「.de(ドイツ)」のような特定の国や地域に関連付けられたドメインです。
海外SEO対策でccTLDを使用すれば、特定の国や地域にターゲットを絞った配信が可能です。ただし、一度選択してしまうと他の国に対応するのが難しくなるので注意しましょう。
また、複数のドメインを管理することは技術的・経済的な負担も大きくなります。ターゲットの国が変わる可能性がある場合は、gTLDを使用する方が適しています。
現地のサーバーを利用する
ウェブサイトのホスティングを対象地域にあるサーバーで行うと、ページの読み込み速度が向上してユーザーエクスペリエンスが改善されます。
もし現地のサーバーを使用するのが難しい場合は、グローバルCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の利用が有効です。
CDNを利用することで、ユーザーがアクセスする際、もっとも近い場所のキャッシュサーバーからデータを受け取れるようになり、表示速度が改善されます。
hreflang タグを使う
hreflangは、検索エンジンに対して「特定の言語や地域向けコンテンツである」と知らせるためのタグです。たとえば、日本語ページには「hreflang=”ja”」、英語のページには「hreflang=”en”」のように指定します。
なお、Googleでは下記3種類のURLをタグで指定するように推奨しています。
- 他言語版URL
- 当該URL
- デフォルト言語のURL
・例
デフォルト言語のURLとは「特定の国や地域に対応しないURL」を指します。上記の例の場合、フランス以外のユーザーが検索するとフランス語のページが表示されます。
HTMLにlang属性を使用する
lang属性をHTML要素に追加すれば、ページの主要言語を明確に指定できます。
たとえば「<html lang=”fr”>」と指定すると、そのページがフランス語で書かれていることを示せます。スクリーンリーダーや自動翻訳などの支援技術にもページの言語を示せるので、積極的に活用しましょう。
フランス語のページであれば、下記のように記述します。
国際的なSEOツールを活用する
海外SEO対策を効果的に行うためには、国際的なSEOツールの活用が不可欠です。これらのツールを使用することで、各国の検索順位やキーワードの傾向、競合分析など、多様なデータを収集・分析できます。
特に「Google Search Console」の活用は最低限必要です。実際の使い方は下記のとおりです。
1.ログイン後、「検索パフォーマンス→検索結果→国」と選択
2.調査したい国を選択して「適用」をクリック
この手順を踏めば、選択した国で検索されているクエリや掲載順位がわかります。
メタディスクリプションの長さに注意する
海外SEO対策では、各言語でメタディスクリプションの最適な長さが異なります。日本語は110〜120文字程度が推奨されますが、複合語の多いドイツ語や単語が長いフランス語などは適切な長さが変わるので注意が必要です。
言語 | メタディスクリプションの適切な長さ |
---|---|
日本語 | 110~120文字 |
英語 | 150~160文字 |
中国語 | 70~120文字 |
韓国語 | 110~130文字 |
ロシア語 | 130~150文字 |
フランス語 | 140~150文字 |
ドイツ語 | 150~160文字 |
スペイン語 | 140~150文字 |
イタリア語 | 140~150文字 |
ポルトガル語 | 150~160文字 |
さらに、モバイルとデスクトップの表示の違いも考慮する必要があります。各言語や端末ごとに最適なメタディスクリプションの長さを研究し、適切に設定することが大切です。
海外SEO対策を成功させるためのポイント【コンテンツ編】
海外SEO対策を成功させるためのコンテンツを作成するポイントは、下記のとおりです。
- 翻訳と監修はネイティブに依頼する
- 現地のターゲットと文化をリサーチする
- 類義語と同義語も意識する
- リンクビルディング戦略を展開する
- 現地のインフルエンサーやメディアと連携する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
翻訳と監修はネイティブに依頼する
ネイティブに翻訳と監修を依頼して、現地の文化や慣習に沿った表現を使いましょう。
機械翻訳や非ネイティブによる翻訳では、微妙なニュアンスや文化的な文脈を正しく伝えることが難しい場合があります。招く内容になる可能性もありますので、専門用語や地域特有の表現にも注不自然な表現や誤解を意が必要です。
現地のターゲットと文化をリサーチする
効果的な海外SEOを展開するには、言語や文化による表現と検索行動の違いを理解して対応する必要があります。
主な違い | 例 |
---|---|
アメリカ英語とイギリス英語 | 米: elevator、apartment、vacation英: lift、flat、holiday |
地域差 | スペイン: ordenador (コンピューター)ラテンアメリカ: computadora |
キーワード | 日本: 格安SIM英語圏: cheap mobile plan、affordable cell phone service |
ローカライズされた検索意図 | 日本: お土産英語圏: souvenirs、llocal gifts |
キーワードやターゲットを決める前に、実際の用法を確認しておきましょう。
類義語と同義語を意識する
主要なキーワードだけでなく、類義語や同義語を意識したコンテンツの作成も重要です。
たとえば「job」をメインキーワードとする記事では「occupation」「profession」「career」などの類義語を適切に活用することで、多様な検索クエリに対応した記事を作成できます。
ただし、キーワードの過度な詰め込みは厳禁です。自然な文脈で類義語や同義語を組み込みながら、読者に価値のある情報を提供することを心がけましょう。
リンクビルディング戦略を展開する
外部リンクの質を高めることで、ウェブサイトの信頼性と権威性が向上し、検索結果の順位向上が期待できます。
まずはターゲット国で信頼性の高いウェブサイトや業界関連のサイトを特定し、それらのサイトからバックリンクを獲得できるようにしましょう。また、その国特有のソーシャルメディアを活用するのも効果的です。
価値のある被リンクを時間をかけて構築できれば、長期的なSEOの成功にもつながります。ただし、スパム的な手法やリンクの購入はGoogleからペナルティを受ける可能性があるため、避けましょう。
現地のインフルエンサーやメディアと連携する
現地のインフルエンサーは、その国や地域の文化や嗜好を深く理解しているので、ターゲットに対して効果的なリーチが可能です。現地のメディアとの連携では、プレスリリースの配信やインタビューの提供、専門家としてのコメント寄稿などが有効です。
このような活動を通じて作成されたコンテンツは、ソーシャルシグナルを強化し、間接的にSEOの効果を高めることができます。
海外各国特有のSEO戦略
ここからは、海外各国特有のSEO戦略について、検索エンジンシェアやインターネット利用率などのデータをふまえながら詳しく解説していきます。
北米市場向けSEO対策
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
87.92% | |
bing | 7.55% |
Yahoo! | 2.73% |
DuckDuckGo | 1.73% |
YANDEX | 0.2% |
主要国のインターネット普及率 | |
米国 97%カナダ 94%メキシコ 78.63% | |
主要国のインターネット利用率 | |
米国 93%カナダ 94%メキシコ 73.36% |
Googleが圧倒的なシェアを持つ検索エンジンであるため、SEO対策の主軸は必然的にGoogleの検索アルゴリズムに合わせることが不可欠です。
しかし、他の検索エンジンも合計で10%以上のシェアを占めているため、ニッチな市場で人気が高い可能性はあります。
米国とカナダではインターネットの普及率が90%を超え、利用率も高水準を維持しています。メキシコは他の2国と比べるとやや利用率が低いものの、潜在的な市場として価値は高いでしょう。
北米全体で広く使用されている言語は英語です。アメリカとカナダの大部分では英語が公用語または事実上の公用語となっています。一方、メキシコの公用語はスペイン語ですが、検索では英語が使用されるケースも少なくありません。
南米市場向けSEO対策
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
93.35% | |
bing | 4.19% |
Yahoo! | 1.55% |
YANDEX | 0.13% |
DuckDuckGo | 0.11% |
主要国のインターネット普及率 | |
ブラジル 80.53%コロンビア 72.8% | |
主要国のインターネット利用率 | |
ブラジル 84.13%コロンビア 75.36% |
検索エンジンのシェアはGoogleが圧倒的です。SEO戦略を立てる際には、Googleのアルゴリズムやガイドラインに注意を払う必要があるでしょう。bingとYahoo!のシェアは多くありませんが、追加的なトラフィックを獲得できる可能性はあります。
インターネットの普及率と利用率は比較的低めです。一部の国では高度なデジタルインフラが整備されている一方で、他の国ではアクセスが限られています。これらの違いはユーザーの行動にも影響するでしょう。
なお、南米では主にスペイン語が使用されていますが、ブラジルではポルトガル語が主要言語です。各言語で使用される表現、俗語、検索傾向は異なるため、SEO戦略も言語ごとに最適化する必要があります。
ヨーロッパ市場向けSEO対策
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
91.23% | |
bing | 3.68% |
YANDEX | 2.98% |
Yahoo! | 0.93% |
DuckDuckGo | 0.5% |
ヨーロッパでもGoogleが圧倒的なシェアを誇っていますが、bingやYANDEXのシェアも見逃せません。特にYANDEXはロシア圏において強い影響力があります。したがって、ロシア市場をターゲットにする場合は、YANDEX向けのSEO対策を展開する必要があるでしょう。
ヨーロッパを東西に分けて、それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
東ヨーロッパ
主要国のインターネット普及率 | |
スロバキア 91.4%ラトビア 91.03%エストニア 91.02%ロシア 90.42%ハンガリー 89.14%リトアニア 87.72%ポーランド 86.94%ルーマニア 85.5%チェコ 84.54%クロアチア 82.07%ブルガリア 79.13% | |
主要国のインターネット利用率 | |
エストニア 92.33% ラトビア 92.23% チェコ 91.62% スロバキア 90.19% ハンガリー 89.7% ルーマニア 88.86% ロシア 88.49% ポーランド 88.43% リトアニア 88.43% ブルガリア 83.11% クロアチア 82.92% |
インターネットの普及率・利用率ともに東ヨーロッパ諸国全体で高い数値を示しています。この地域におけるデジタルマーケティングの潜在的な影響力は大きいと考えていいでしょう。
言語はスラブ語派(ロシア語、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語、ブルガリア語など)やバルト語派(リトアニア語、ラトビア語)などが主流です。
これらの言語はそれぞれに独特の文法構造や語彙を持っており、単純な機械翻訳では十分な翻訳が難しい場合があります。そのため、各言語に精通したネイティブスピーカーによるローカライズが不可欠です。
西ヨーロッパ
主要国のインターネット普及率 | |
ルクセンブルグ 98.24%スイス 96.8%アイルランド 95.59%イギリス 95.34%スペイン 94.49%ベルギー 94.01%オーストリア 93.61%オランダ 92.52%ドイツ 91.63%フランス 85.33%イタリア 85.06%ポルトガル 84.5% | |
主要国のインターネット利用率 | |
スイス 98.41%ルクセンブルグ 98.36%イギリス 97.76%アイルランド 95.59%オランダ 95.52%スペイン 94.91%ベルギー 94.53%オーストリア 94.16%ドイツ 93.01%フランス 91.91%イタリア 86.14%ポルトガル 85.06% |
西ヨーロッパにおいても、ほぼ全ての人がインターネットにアクセスできる環境にあります。ただし、イタリアとポルトガルは他の諸国に比べてアクセス率が低い傾向にありますが、デジタルマーケティングの成長余地は確実に存在します。
言語は英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語など、多岐にわたります。そのため、各言語圏に合わせた戦いの展開が必須になります。また、多言語対応のウェブサイト設計も考慮するべきでしょう。
これらの国々は経済的・技術的に先進国であり、最新のテクノロジーとトレンドにも敏感です。たとえば、音声検索最適化やビデオコンテンツのSEOなど、最新のデジタルマーケティング手法を積極的に導入することが推奨されます。
アジア市場向けSEO対策
アジアでは、特に市場価値の高い中国と韓国の状況を見ていきましょう。
中国
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
Baidu | 52.07% |
bing | 25.53% |
Haosou | 10.66% |
Sogou | 5.43% |
Shenma | 3.07% |
インターネット普及率 | |
75.61% | |
インターネット利用率 | |
93.3% |
中国独自の検索エンジンBaiduがシェアの半分以上を占めています。Baiduは独自のアルゴリズムを持っているため、Google向けのSEO戦略は適用できません。また、中国語コンテンツを重視し、中国のサーバーでホストされているウェブサイトを優先する傾向にあるので、言語の最適化とローカルホスティングの検討は必須です。
さらに、Haosou、Sogou、Shenmaなど、中国特有の検索エンジンも一定のシェアを持っています。これらの検索エンジンへの対応も考慮に入れる必要があるでしょう。
また、WeChatやDouyinなど、中国特有のSNSと動画プラットフォームとの連携も重要です。これらのプラットフォームはユーザーの情報検索行動に大きな影響を与えています。
中国では厳格なインターネット規制も存在しますので、政治的に敏感な話題や中国の法律に抵触する可能性のあるコンテンツを避ける必要があります。
インターネットの普及率は利用率に比べて低いですが、これは一部の人々が複数のデバイスを使用したり、公共の場でインターネットにアクセスしたりするのが原因です。また、インターネットにアクセスできない人口も少なくありませんが、成長の余地があるとされています。
韓国
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
Naver | 52.9% |
41.91% | |
bing | 2.62% |
Daum | 1.17 |
CocCoc | 0.44% |
インターネット普及率 | |
97.17% | |
インターネット利用率 | |
92.27% |
検索エンジンは、韓国独自のNaverがシェアの半分以上を占めていますが、Googleも高いシェアを持つため、どちらも無視はできません。NaverとGoogleの両方に対応したデュアル戦略が効果的でしょう。
さらに、KakaoTalk、Bandなど、韓国特有のSNSや動画プラットフォームとの連携も重要です。これらのプラットフォームは情報共有やコミュニケーションの中心となっており、SEO戦略の一部として考慮する必要があります。
韓国語は漢字、ハングル、外来語が混在し、同じ意味でも多様な表現方法がありますので、キーワード分析を通じてその特性を考慮する必要があります。また、韓国ではインターネットの浸透度は極めて高く、ほぼすべての韓国人が日常的にインターネットにアクセスできる環境にあります。
東南アジア市場向けSEO対策
東南アジアでは主にGoogleが利用されており、次いでBingが使われています。
スマートフォンが主要なインターネットアクセス手段になっている国が多く、一部ではモバイルファースト、あるいはモバイルオンリーの傾向が強くなっています。ウェブサイトの読み込み速度を向上させることが極めて重要です。
出典:Nativex「APAC MARKETING SPOTLIGHT」
言語の多様性も重要です。インドネシア語、タイ語、ベトナム語、マレー語、タガログ語など、多くの言語が使用されています。
SNSでは、FacebookやInstagramなどのグローバルプラットフォームに加え、LINEやZaloなどメッセージングアプリも広く使用されています。これらのプラットフォームを活用したソーシャルメディアマーケティングとSEO対策との統合は効果的でしょう。
インド市場向けSEO対策
検索エンジンのシェアはGoogleが97.95%と圧倒的ですが、インターネットの普及率は低く48.08%にとどまっています。そのため、SEO対策を行ってもターゲットに届かない可能性もあります。ただし、インドでは「アーダール(アドハー)」という12桁の固有番号制度が普及し、急速なデジタル化が進んでいます。
インドには多くの公用語と方言が存在しますが、SEOの観点では英語が特に重要です。多くのインド人が英語を理解し、ビジネスや教育の場で使用しています。
ローカルコンテンツやニッチ市場を狙う場合は、ヒンディー語や他の地域言語によるSEO対策も考慮したほうがいいでしょう。
インドではソーシャルメディアの影響力は大きく、特にWhatsAppとInstagramの利用率が高くなっています。また、YouTubeの人気も高いため、SNSや動画コンテンツのSEO最適化も重要な戦略になります。
法規制面では、インドのデータ保護法やコンテンツ規制に注意を払う必要があります。特に政治的・宗教的に敏感な内容には慎重なアプローチが求められるでしょう。
中東市場向けSEO対策
主に使われている検索エンジンはGoogleです。多くの中東諸国ではアラビア語が公用語とされているため、検索言語も大半はアラビア語で行われます。アラビア語は右から左に書かれる言語であり、この特性を考慮したウェブデザインや、アラビア語特有の文法構造に基づいたキーワード選定が特に重要となるでしょう。
コンテンツ戦略においては、イスラム教の影響を強く受けた中東の文化的価値観と慣習の深い理解が欠かせません。
一部の国では世界最高水準の高速インターネットが普及していますが、接続速度が遅い地域も存在します。そのため、ウェブサイトの最適化や画像の圧縮、CDNの利用などを取り入れて、あらゆる環境でのパフォーマンスを向上させる取り組みが求められます。
アフリカ市場向けSEO対策
アフリカの主要な検索エンジンはGoogle であり、シェア率は97.19%と圧倒的です。したがって、SEO対策はGoogleに特化して問題ないでしょう。
広大なアフリカは、地域によって言語、文化、経済状況が大きく異なります。一括でのアプローチは適切ではありません。
多くのアフリカ諸国では、旧宗主国の英語やフランス語などを公用語としていますが、地域言語や方言も広く使用されています。ターゲットとする地域の言語を事前に十分にリサーチすることが重要です。
アフリカの多様な文化的背景や価値観の理解も欠かせません。宗教や地域性、歴史的背景などを配慮しつつ、各国や地域の興味関心に合わせたコンテンツを提供することで、ユーザーエンゲージメントを高めることができます。
ただし、電力供給が不安定な地域も存在するため、オフライン機能の提供やPWA(プログレッシブウェブアプリ)の導入など、柔軟な対策も検討すべきでしょう。
オセアニア市場向けSEO対策
検索エンジン | シェア率 |
---|---|
93.66% | |
bing | 4.72% |
Yahoo! | 0.75% |
DuckDuckGo | 0.55% |
Ecosia | 0.11% |
主要国のインターネット普及率 | |
オーストラリア 94.88% | |
主要国のインターネット利用率 | |
オーストラリア 94.16% |
SEO戦略はGoogleのアルゴリズムやガイドラインに沿った最適化が効果的でしょう。インターネット利用率・普及率ともに高い数値を示しています。
主要市場としては、オーストラリアとニュージーランドが挙げられますが、これらの国々でも地域によって言葉遣いと表現が異なることがあります。太平洋諸島の国々も含める場合は、さらに多様な言語や文化への対応が必要です。
海外SEO対策は外注も有効
自社で海外SEO対策を実施するのが難しい場合は、外部の専門業者に依頼するのも効果的です。
海外SEOの専門業者は最新のアルゴリズムや効果的な戦略に詳しく、現地の言語や文化も熟知しています。そのため、適切な表現や文化的な配慮もまかせられるので安心です。また、複数の海外市場に向けて同時に展開する際のリソースも削減できるでしょう。
ただし、外注するには一定のコストが発生します。外注を検討する場合は、自社の目標や予算、リソースなどを考慮しながら、適切なパートナーを慎重に選ぶことが大切です。
それでも、すべてを外注するのは避けたいところです。外注先に丸投げしてしまうと自社内にノウハウを蓄積できません。社内のチームと専門業者が協力して進める「ハイブリッドアプローチ」を取り入れてノウハウを共有できるようにしましょう。
SEO対策を外注する際のポイントについて、下記の記事で詳しく解説しています。
SEO対策の依頼で失敗しないためのステップガイド
https://simplique.jp/stepbystep-guide-of-seo-outsourcing/
コンテンツSEOを外注する意義と成功のポイント
https://simplique.jp/benefits-of-seo-outsourcing/
海外SEO対策を外注する際の業者の選び方
海外SEO対策を外注する際には、下記のようなポイントを意識しながら業者を選択しましょう。
- 現地にチームがある
- ネイティブが対応できる
- ターゲット国での実績がある
- 日本のSEOについても知見がある
それぞれ詳しく解説します。
現地にチームがある
現地に拠点を持つ業者であれば、検索エンジンのアルゴリズムや現地のトレンド、ユーザーの行動パターンなどをリアルタイムで把握できます。
競合他社の動向と市場の変化にも迅速に対応することが可能になり、効果的なSEO戦略を立案・実行することができます。また、コンプライアンスリスクも最小限に抑えることができます。
ネイティブが対応できる
海外のSEO対策では、技術的なSEOの知識だけではなく、言語と文化への深い理解を持つネイティブのサポートが不可欠です。
ネイティブが対応してくれれば、言語の微妙なニュアンスの違いや文化的な背景を正確にコンテンツに反映することが可能になります。
また、自然で流暢な文章はユーザーエンゲージメントを高め、パフォーマンスの向上にもつながります。
ターゲット国での実績がある
ターゲットとする国での過去の実績や成功したプロジェクトの事例を確認しましょう。実績のある業者は、その国の市場特性、ユーザーの行動パターン、競合状況などを深く理解していると判断できます。
業者の信頼性と専門性にも直結するので、具体的な成功事例やケーススタディを詳しくチェックしておきたい所です。
日本のSEOについても知見がある
日本のSEO事情を理解している業者は、日本のウェブサイトや事業モデルの特性を踏まえながら、海外展開に向けた適切なアドバイスを提供できます。
具体的には、日本語のコンテンツを効果的に多言語化する方法や、日本特有の商品・サービスを海外市場に適応させる戦略など、課題に対する的確な解決策を提案してくれるでしょう。
海外SEO対策は各国の事情の理解とコンテンツの質が成功のカギ
海外SEO対策は国際市場でのビジネス成功に不可欠な戦略です。成功させるためにも、ターゲットとする市場の文化や言語に合わせたキーワードリサーチを徹底し、高品質なコンテンツの作成を意識しましょう。
本文は単なる翻訳ではなく、現地のユーザーに響くローカライズが重要です。技術的なSEO対策としては、hreflangタグの実装やドメイン選択、サイト速度の最適化も見逃せません。
SEOは継続的な取り組みが求められます。常に最新の情報をキャッチアップし、戦略を進化させましょう。自社内での対応が難しい場合は専門業者に外注するのも有効な方法です。
駆使して、お客様のSEOを成功に導きます