SEO施策とリスティング広告は、互いのメリット・デメリットが明確に異なります。そこで記事では、SEO施策とGoogle広告(リスティング広告)の違いをわかりやすく解説します。そもそも、リスティング広告の運用とSEO評価には関係性はあるのでしょうか。目的や予算別に適切なWeb集客が行なえるよう、SEO施策とリスティング広告の情報をまとめました。
目次
SEO施策とは

はじめに、SEO施策とリスティング広告とは何かをご説明したいと思います。SEO施策とは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)を行なう施策のことです。
見込・顕在顧客がGoogleなどの検索エンジンで調べものをする際、必ずといっていいほどキーワードを入力して検索を行ないます。SEO施策とは、この検索キーワード別にサイトの上位表示を狙うマーケティング施策です。うまく上位表示されれば、費用をかけずにサイト流入者数を増やすことができます。
指定の検索キーワードで自社ページを上位表示させるには、検索ユーザーの検索ニーズを満たす良質なコンテンツを掲載し、検索エンジンに評価される必要があります。また、個別のコンテンツだけでなく、ドメイン自体の評価や検索エンジンが巡回しやすいサイト構造であるかも上位表示に影響します。
SEO施策のメリット
SEO施策のメリットは、検索結果画面に表示される自社ページがクリックされてもクリック費用がかからないことです。サイトの内部施策やキーワードごとのコンテンツ制作にはコストがかかりますが、検索上位を取れるようになるとコスパよく集客が可能です。このように資産性があるのが、SEO施策の特徴です。
また、SEO施策はサイトのブランド向上にも貢献してくれます。「ブランド」をユーザーの特定のイメージや想起を獲得することと定義するならば、SEO施策の成功によって検索結果画面上の存在感や接触数が増すことで検索ユーザーにイメージを定着させることができます。
検索ユーザーは購買ニーズが高くなったとき、あらかじめ頭に浮かんでいる候補企業から購入先を絞ることが多いです。そのため、ユーザーの第一想起を獲得できていることは、集客に大きなプラスとなります。
SEO施策のデメリット
SEO施策のデメリットは効果が出るまで一定の期間と費用がかかるということです。どのような制作体制をつくるかにもよりますが、中小企業であれば月10本ほどがSEO記事の制作上限かと思います。SEO記事は1本あたり制作費数万円はかかりますので、上位表示されるまでにある程度の予算が必要です。
また、Web上に掲載してから検索順位が安定するまで早くても3ヶ月ほどかかるといわれています※。また、SEO施策は効果が出るまで時間がかかるうえに、上位表示されるかは約束されていません。適切な運用ができなければ、投資(それまでの費用や時間)が無駄になる可能性もあるのです。
※ 検索キーワードの競合性や検索ボリュームに応じて異なるので、一概に断言することはできません
リスティング広告とは

リスティング広告は、検索結果画面の指定の場所に広告を出稿する施策です※。検索連動型広告の一部であり、Google広告の管理画面で設定した「検索キーワード」や「配信エリア」「配信デバイス」「上限CPC」などの内容に応じて、テキストベースの広告が表示されます。
広告配信は「キャンペーン別」「広告グループ別」「キーワード別」に設定することができ、配信条件別に細かく調整することが可能です。また現在は、機械学習による最適化が進んでおり、以前のような運用者の細かい調整がなくても、自動で一定の改善を進めてくれるようになっています。
※ 広告スコアの高い広告から順に検索結果画面の上部に表示されます
リスティング広告のメリット
リスティング広告のメリットは、広告費をかければ比較的どんなサイトでも上位表示できることです。「必ず上位表示される」と言い切れないのは、広告のランディングページが検索キーワードの検索ニーズにマッチしていないと判断された場合、広告スコアが下がり上位表示されないケースがあるためです。
また、同じキーワードで出稿する競合サイトが多い場合、設定された上限CPCの金額や広告ランクの差によって、上位表示が難しい場合があります。しかしSEO施策と違い、大半の場合、広告費をかけさえすればすぐに上位表示されるのがメリットです。
リスティング広告のデメリット
リスティング広告のデメリットは、広告の出稿を停止すると集客力がゼロになってしまうことです。「広告」という名前の通り、広告費を止めてしまうと検索上位に表示されていた広告は表示されなくなってしまいます。SEO施策と比べて即効性のあるリスティング広告ですが、継続的な運用に比例して集客力がアップしていくというような「資産性」はありません。
seoとリスティング広告の違い
では改めて、SEO施策とリスティング広告の違いを以下の表で確認してみましょう。それぞれの違いは以下の通りです。
項目 | SEO施策 | リスティング広告 |
検索上位獲得にかかる期間 | ・3ヶ月以上・キーワードやドメインによっては不可能な場合もある | ・広告費(上限CPC)をかければ基本的に上位表示を獲得できる |
クリックにかかる費用 | ・無料 | ・有料(キーワードによって単価は異なる) |
掲載順位の変更 | ・自分ではコントロールできない | ・ほぼ自由に設定できる |
タイトルや説明文の変更 | ・タイトルは概ね自分で設定できる・説明文はあまりコントロールできない | ・ほぼ自由に設定できる |
表示エリアや期間・時間の設定 | ・自分ではコントロールできない | ・ほぼ自由に設定できる |
検索順位別クリック率の違い
SEO施策とリスティング広告の違いを理解するうえで抑えておきたいのが、検索順位別のクリック率の差です。
以下表のように、同じ順位を獲得したとしてもリスティング広告のクリック率は相対的に低い傾向があります。理由として考えられるのは、ユーザーのインサイトとして「広告は見たくない」という動機が働くためと予想されます。
掲載順位 | SEO施策 | リスティング広告 |
1位 | 15.08% | 4.54% |
2位 | 10.26% | 1.79% |
3位 | 7.32% | 1.51% |
4位 | 4.94% | 1.17% |
5位 | 4.95% | 0.93% |
上記は2012年に『Web担当者 Forum』にて掲載された情報です。英語圏の検索データであるため現在の日本に必ずしも当てはまるとは言い切れませんが、現在も概ね上記の傾向があると推測されます。
※ 参考元:Web担当者 Forum「検索順位ごとのクリック率データ最新版 など10+2記事(海外&国内SEO情報)」
リスティング広告はSEO評価に影響するのか

ここまで、SEO施策とリスティング広告の違いを解説してきました。では、リスティング広告の運用はSEO評価に何かしらの影響を与えるのでしょうか。
結論からいうと、原則的に「リスティング広告への出稿はSEO評価(オーガニック検索順位)に影響を与えない」と考えて問題ありません。ただし正確にいうと、完全に影響がないかと問われると判断が難しいです。
Googleの検索エンジンは、各コンテンツの質だけを評価するわけではありません。検索ユーザーの読了率やサイト内滞在時間、検索結果画面からのクリック率なども考慮されています。
となると、同じキーワードでリスティング広告とSEO記事が同時に上位表示されている場合、検索ユーザーがリスティング広告側のタイトルリンクをクリックすることで、SEO記事のクリック率が相対的に下がり、結果的にSEO評価を下げてしまう恐れが拭い切れないのです。
その逆に、リスティング広告のランディングページにSEO記事と同じドメイン配下ページを設定することで、リスティング広告経由のサイト流入者数が増え、結果的に同じドメイン配下のSEO記事の評価を底上げする可能性も考えられます。
これらはGoogleにより公式に発表されたレポートでも、SEOコンサル会社の報告レポートでもありません。SEO領域の権威である株式会社JADEの辻 正浩氏の発言を参考に考察したものです。
ネットでリサーチした限り、「リスティング広告への出稿はSEO評価に関係ない」と言い切っているブログ記事が多いですが、精緻に説明するのであれば、軽微ながらSEO評価に影響はある前提で双方の戦略と運用を考えるのが賢明でしょう。
※ 参考元:Web担当者 Forum「広告でSEOが有利に!? プロの考えるオーガニック検索と広告の関係と連携戦略【2021年版】」
SEO施策とリスティング広告の使い分け
これまでの情報をもとに、SEO施策とリスティング広告の使い分けは、以下の考え方を参考にして行なうのがおすすめです。
リスティング広告で対策するのが望ましいキーワード | 短期的な顧客転換率が高く、SEO施策で上位表示を獲得するのが難しいと判断されるビッグワード |
SEO施策で対策するのが望ましいキーワード | 直接的な顧客転換率は低いが、検索ユーザーと中長期的な信頼関係を築くのに効果的と判断されるテールワード |
また、SEO施策の効果が現れるまでには時間がかかるため、重要度の高いキーワードはSEO施策も進めながらリスティング広告に出稿する座組みがよく取られます。継続的なSEO施策のなかで、検索順位が上がってきたらリスティング広告への出稿を止める流れがよいでしょう。
このように、SEO施策とリスティング広告は上手に並行して進めるべきです。両者のメリット・デメリットを正しく理解したうえで、自社にとって効率的な投資・運用を行なうことを心がけてください。
2005年よりSEOに従事、年間3000本以上のSEOコンテンツを制作しているシンプリックコンテンツマーケティング事業部の監修記事です。