オウンドメディアの運営には、各工程ごとに対応が必要な業務があり、また業務内容に応じたスキルが求められます。たとえ、業務内容と求められるスキルが把握できたとしても、すべての業務を自社内で完結させるのはなかなか難しいという現実があります。「すでにオウンドメディアを運用しているが手が回らず外注を検討している」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に以下のポイントについて解説をしていきます。
- オウンドメディア運用に必要な業務とスキル
- 運営に必要な役割と人数
- 代行会社に委託できる内容
- 具体的な外注費用
オウンドメディアの運営で悩んでいる方や、運用代行を検討している方の参考になれば幸いです。
オウンドメディアを運営するメリット
まずは、オウンドメディア運営のメリットを見ていきましょう。
1.信用度が高まる
専門性の高い記事が自社メディアに蓄積されていけば、リピーターが増えていきます。潜在客が見込み客に変わる可能性も高まるでしょう。また、ユーザーにとって役立つ情報を提供し続けることで信用度が上がり、Googleなどの検索エンジンにも評価されやすくなります。
2.発信内容のコントロール
自社が持つノウハウや情報を他社との差別化を図りながら柔軟に発信できます。ただし、自社の主張だけに留まるとユーザー離れを引き起こすので注意しましょう。ユーザーファーストはオウンドメディア運営の鉄則です。
3.広告費の削減
サーバ管理費やWebデザイン料などの費用が発生しますが、恒常的な広告費は発生しません。質の高いコンテンツの提供を続けると検索結果で上位表示されやすくなるため、広告費をかけずに、自社メディアのアクセスアップが期待できます。
4.PDCAを回せる
ユーザーの行動データを活用したコンテンツ作成が可能になります。自社で収集したデータは貴重な財産です。
オウンドメディアの運営に必要な業務

オウンドメディアの運営に必要な業務は主に以下となります。
- 編集業務
- Webのデザインやカスタマイズ
- 構成案(プロット)の作成
- 記事のライティング
- 校正と校閲
それぞれの業務内容と必要人数を詳しく見ていきましょう。
1.編集業務
編集者はコンテンツの企画制作から情報の発信まで総合的に関わっていきます。
多岐にわたる編集者の主な役割は以下です。
- コンテンツの企画
- 予算の策定や管理
- 専門家やプロへのアサイン
- 各業務の進捗管理
- データ管理
このほかに、一定レベル以上の文章力やSEOの知識、クライアントやスタッフとスムーズな連携をとれるスキルも必要です。なお、記事数やオウンドメディアの規模によっては、編集長が編集者を兼務します。
2.Webデザインの制作やカスタマイズ
オウンドメディアの運営には、ユーザーの行動心理を意識できるデザイナーの確保が必須です。オウンドメディアのコンテンツデザインやレイアウトは、サイト滞在時間や閲覧ページ数、SEOに影響します。Webデザイナーの具体的な業務や必要なスキルは以下になります。
- トレンドに合わせたリニューアル
- 新しいデバイスに合わせたデザイン
- 企業サービスの方向性と一致したデザイン
- Googleのアップデートに詳しい
オウンドメディアのデザイン見直しは2年から3年に1度のペースが理想です。
なお、全体的なデザインの変更とは別に細かいリニューアルも都度行います。なお、Webデザイナーの仕事は頻度が低いケースが多く、社内にWebデザイナーが在籍していない場合は、外注するケースがほとんどです。
3.構成案(プロット)の作成
質の高い記事に欠かせない構成案の作成は構成者の役割です。業務の内容を具体的に見ていきましょう。
(1)キーワード選定
共起語やサジェスト、上位表示されるサイトを分析しながらキーワードを選定します。
(2)記事のタイトルと見出しの作成
読者がクリックしたくなるキャッチーなタイトルと、わかりやすい見出し構成を行います。
(3)書き方の指示と参考URLの付記
ライターが記事の執筆をしやすいように、各見出しの概要をまとめ、参考URLを付記します。
また、構成者には以下のようなスキルが求められます。
- 検索意図を正確に把握できるリサーチ力
- 記事タイトルや見出しにおける読了率をあげるためのコピーライティング力
- 選定キーワードで上位表示される構成力
なお、記事の公開頻度や記事数が少ない場合は、ライターが構成作業を兼務することもあります。
4.記事のライティング
Googleに評価されるためには、ユーザーファーストに徹した記事の作成が欠かせません。できれば自社内で記事数に応じたライターを確保したいところですが、記事制作を請け負う代行会社を利用する方法もあります。オウンドメディアのライターに求められる主なスキルを見てみましょう。
検索意図の推測
ユーザーが知りたいと思っている内容を、適切に盛り込む必要があります。
キーワードに応じた文字数にまとめる
重要なのは文字数ではなく「わかりやすさ」と「充実度」です。無駄に文字数を増やしても上位表示はされません。情報が不足していても同様です。
独自性の高い記事の作成
Googleは独自性の高い記事を評価する傾向にあります。記事の内容に過不足がなくても、他のサイトと似たような記事の上位表示は望めません。
執筆スピード
スピーディーにコンテンツを充実させるためには、最低でも1時間で2000字は書きたいところです。1日あたり10,000文字書ければ問題ないでしょう。
5.校正・校閲
校閲と校正はよく知られている言葉ですが、両者は混同されがちです。改めて、それぞれの意味と、各担当者に求められるスキルを確認しておきましょう。
校正
誤字や脱字のチェックをします。漢字や日本語表現についての深い知識が必要です。
校閲
人名や数字などに誤りがないか、参考資料と照らし合わせながらの確認作業を行います。文章表現や読者を不快にさせる表現の修正も必要です。正確な校閲を行うためには、文学に対する知識が不可欠といえるでしょう。細かい作業を根気強く続ける集中力も必要です。なお、出版社などでは校閲と校正は別担当ですが、オウンドメディアでは校正と校閲は同じ担当者や編集者によって行なわれるケースが多くなります。
自社スタッフだけでは不安…代行会社の活用も視野に

自社内で業務を完結させるには、人材の確保と育成が必要です。しかし、自社スタッフだけですべてを賄うのは現実的ではありません。オウンドメディアの自社運営では、以下のような問題が生じる可能性があるのです。
- 人的リソースが確保できない
- 専門的な知識を有していない
- 記事作成などに割く時間がない
問題に直面する前にオウンドメディア運用代行会社を利用すれば、自社内の負担を軽減しながらコンテンツの充実を図れます。大幅な作業時間の短縮も可能です。
オウンドメディア運用代行会社を利用する4つのメリット
代行会社を利用する具体的なメリットを見てみましょう。
1.自社に最適なコンテンツの作成を委託できる
オウンドメディア運用代行を利用すれば、キーワードの選定から構成の作成、記事の執筆までというコンテンツ作成の全行程を委託できます。「記事の執筆だけ」といったピンポイントの依頼も可能です。とくに、ライティングや構成は記事のサクセス数などに大きな影響があるので、代行会社への委託を検討したほうがいいでしょう。
2.運用を委託できる
運用をすべて委託することも可能です。オウンドメディアの運用には想像以上に時間と手間がかかります。近年ではユーザー体験に起点を置いたSXO視点での運用が重視されているため、コンテンツの作成と兼務した運用ではコア業務がおろそかになってしまうでしょう。
3.SEOを意識したサイト改善を依頼できる
検索意図の把握や記事内容の質を意識するだけでは上位表示は望めません。クローラビリティの最適化や各デバイスへの対応、適切な内部リンクの設置なども必要です。代行会社を利用すれば、豊富な実績とノウハウで、トレンドに応じたサイト改善対応を行ってくれます。
4.運用上の誤りを指摘してもらえる
思い通りにアクセスが増えない場合、運用工程に誤りがある可能性もありますが、自社内での検討では問題点に気づかないケースも少なくありません。代行会社やコンサルタントといった第三者のチェックが入れば、見えなかった問題点や課題も浮き彫りになるでしょう。
ただし、いずれの業務を委託する場合でも代行会社の選定には注意が必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
運営代行の委託範囲や代行費用について

ほとんどの代行会社は、委託内容に応じた複数のプランを用意しています。具体的な費用感と委託できる業務の内容を見ていきましょう。
目的 | 月額費用 | 業務内容 |
簡単なレポート・アドバイスを委託する場合 | 5万円~ | サイト保守 CMS利用料 レポーティング |
記事制作を委託する場合 | 20万円~ | サイト保守 CMS利用料 レポーティング 5記事更新(記事単価3万円) |
アクセス解析を元にした本格的な運用支援を委託する場合 | 50万円~ | サイト保守 CMS利用料 レポーティング 10記事更新(記事単価3万円) データの収集・分析 各種フォームの設置・改修 リード獲得施策 |
記事の作成だけを外注したい場合は、1文字5円前後から依頼できる「記事作成代行会社」の利用も検討してみましょう。
必要な業務を洗い出し外注範囲を設定する
リソースが不足している状態でオウンドメディアを運営しても、コンテンツの質低下は避けられません。高品質なコンテンツを維持するためには、適材適所に人材を配置し、無理のない運営をする必要があります。人材や時間が足りない場合には、運営代行会社の利用も検討してみてください。

シンプリックのSEO事業全体を監修。海外のマーケティングカンファレンスにも足を運び、最新のSEOおよびコンテンツマーケティング動向に精通。「競合が少なくコンバージョンを生み出せるキーワードの選定」「読みやすくロジカルな記事コンテンツの監修」を得意としています。
【実績】2005年に設立した株式会社ブルトア(サクラサクマーケティング株式会社)では、多数のクライアント、パートナー企業の検索エンジン集客に貢献し、SEO事業を年商7億規模に伸張させる。その後、設立した株式会社シンプリックでは、自社の海外通販事業を検索エンジンからの集客により2年で月商3000万規模に拡大。